法人の経費はどこまで?役員社宅・退職金・出張日当の条件
会社側の損金と、役員・従業員側の給与課税を分け、国税庁の基準で整理します。
2026年時点の制度役員社宅・役員退職金・出張日当は、法人で使われることがある仕組みです。ただし「会社が支払えば経費」「規程があれば非課税」とは限りません。
会社側の損金算入と、受け取る個人側の所得区分・課税を分けて確認します。
役員社宅
会社が住宅を借りて役員へ貸す場合、会社が家主へ払う賃料と、役員から受け取る賃料は別に記録します。役員が国税庁の定める「賃貸料相当額」以上を負担していれば、社宅貸与による経済的利益は給与課税されません。
| 住宅区分 | 賃貸料相当額の算定 |
|---|---|
| 小規模住宅 | 固定資産税の課税標準額と床面積による算式 |
| 小規模でない借上住宅 | 会社家賃の50%と所定算式のうち多い額 |
| 豪華社宅 | 通常支払うべき使用料で判定(家賃の一定割合が必ず会社負担になる制度ではない) |
個人側は、無償なら賃貸料相当額、相当額より低い家賃ならその差額が給与課税されます。本人が直接契約した家賃を会社が負担する場合や現金の住宅手当も、社宅貸与とは扱われません。
賃貸料相当額の具体的な計算例は役員社宅の記事で解説しています。
役員退職金
役員退職金は適正な額であれば会社側で損金算入できます。原則の算入時期は、株主総会決議等で金額が具体的に確定した日の属する事業年度です。
| 退職手当等の区分 | 個人側の課税方法 |
|---|---|
| 一般の退職手当等(役員等勤続年数5年超 等) | 退職所得控除後の残額を2分の1にして課税 |
| 特定役員退職手当等(役員等勤続年数5年以下) | 退職所得控除後の残額を2分の1にせず課税 |
給与との税負担比較は、金額、支給時期、勤続年数、他の退職金、会社側の税負担等で変わります。会社所有資金を将来の本人手取りと同一視せず、出口時点まで比較します。
具体的な手取り額は役員退職金の手取り計算で試算できます。
出張日当(旅費規程)
職務上の旅行に必要な支出へ充てる旅費・宿泊費・日当のうち、その旅行に通常必要と認められる範囲は、受け取る側で非課税となります。範囲の判定では、会社内の役員・従業員間の支給バランスや、同業・同規模企業の支給水準等を考慮します。
非課税の範囲内かどうかを判断するため、次を記録します。
- 職務上の旅行の事実
- 旅行の目的・行程
- その旅行に通常必要と認められる額
範囲を超える部分は給与所得等として扱い、会社側でも業務との関連と金額の相当性を確認します。
その他(共済・保険など)
このほか、経営セーフティ共済(倒産防止共済)の掛金や、一定の生命保険料なども、要件のもとで経費にできる場合があります。制度ごとに損金算入の範囲や出口の課税が異なるため、導入前に確認が必要です。
注意点
- いずれも会社側の処理と個人側の課税を別々に判定します。契約名義や規程だけでなく、住宅区分、実際の徴収、退職・決議、職務上の旅行、支給水準を裏付ける資料が必要です。
- 会社で損金になる額と本人の手取り増加額は同じではありません。導入前に税額だけでなく、会社からの支出、本人負担、給与課税、社会保険、将来の出口まで確認します。