法人成りでよくある質問が「いくらから得になるのか」です。結論から言うと単一の正解額はありませんが、目安となる損益分岐は計算できます。ここでは目安と、それが変わる要因を整理します。
「いくらから」に唯一の正解がない理由
手取りの損益分岐は、次の条件で変わります。だから「年商◯◯万円から」と一律には決まりません。
- 事業の利益額:利益が大きいほど法人が有利になりやすい
- 本業の社会保険の有無:会社員の副業なら、役員報酬ゼロで内部留保でき、早く有利になる
- 業種:個人事業税がかかるか(エンジニアやライターは原則非課税)で個人側の負担が変わる
- 家族構成・各種控除:扶養や所得控除の状況
損益分岐の目安(試算)
東京・単身・40歳未満・青色申告特別控除65万円という前提で当サイトのエンジンが試算すると、損益分岐の目安は次のとおりです。
- 一般の個人事業主(個人事業税5%):年間利益およそ450万円から法人成りが有利
- フリーランスエンジニア(個人事業税が原則非課税):年間利益およそ575万円から有利
一般の個人事業主の場合、利益別の手取り差(マイクロ法人−個人事業主)は次のように推移します。
| 年間利益 | 手取り差(法人−個人) |
|---|---|
| 300万円 | −8.5万円(個人が有利) |
| 400万円 | −1.8万円(ほぼ均衡) |
| 500万円 | +8.3万円 |
| 600万円 | +26.8万円 |
| 800万円 | +63.6万円 |
| 1,000万円 | +94.4万円 |
| 1,500万円 | +157.1万円 |
注意:これは東京・単身・概算の数字です。実際の損益分岐はあなたの条件で変わるので、シミュレーターで自分の数字を入れて確認するのが確実です。
利益が大きいほど差が広がる理由
個人の所得税は課税所得が増えるほど税率が上がる超過累進(5〜45%)に住民税10%が加わります。一方、中小法人の法人税は年800万円以下が15%、超過分が23.2%とほぼ一定です。利益が大きくなるほど個人の限界税率が上がるため、法人に残した方が税率が低くなり、差が広がります。
損益分岐を早める要因
- 本業で社会保険に入っている:会社員の副業なら役員報酬ゼロで法人に利益を内部留保でき、より低い利益から有利になります
- 消費税の免税を活かせる:資本金1,000万円未満なら原則最長2期は消費税が免税になり得ます(消費税の2年免税を参照)
- 社会保険料の負担が重い:国民健康保険が高くなっている人ほど、マイクロ法人での社会保険の最適化の効果が大きくなります
まとめ
法人成りの損益分岐に唯一の正解はありませんが、東京・単身・概算の目安では一般の個人事業主で約450万円、エンジニアで約575万円からです。利益が大きいほど、また本業の社保がある人ほど有利になります。最終的な損益は下のシミュレーターで確認してください。