個人事業主の年金を増やす方法|付加年金・国民年金基金・iDeCo
国民年金だけでは手薄な個人事業主の年金を上乗せする3つの方法と、併用のルールを整理します。
公的機関の情報にもとづく会社員は国民年金(老齢基礎年金)に加えて厚生年金がありますが、個人事業主・フリーランス(国民年金の第1号被保険者)は国民年金だけ。そのぶん老後の年金が手薄になりがちです。そこで、自分で年金を上乗せする3つの方法があります。
付加年金・国民年金基金・iDeCoの仕組みと、どれを組み合わせられるかを整理します。
なぜ個人事業主の年金は手薄?
会社員は「国民年金+厚生年金」の2階建てですが、個人事業主は国民年金(1階)だけです。将来受け取る年金を増やすには、自分で上乗せの制度を使う必要があります。上乗せの方法は、掛金が安く効率のよい「付加年金」、受取額が決まっている「国民年金基金」、自分で運用する「iDeCo」の3つが代表的です。
いまの保険料を納めることが難しい場合は、上乗せを検討する前に国民年金保険料の免除・納付猶予を確認してください。老後の上乗せだけでなく、万一のときの障害年金にも国民年金と厚生年金で対象範囲の違いがあります(障害年金、自営業者は3級だと無支給)。
付加年金(月400円)
国民年金の保険料に、月額400円を上乗せして納めると、将来の老齢基礎年金に「200円×付加保険料を納めた月数」が毎年上乗せされます。
ただし金額は固定で、物価による増減はありません。付加保険料を納められるのは国民年金の第1号被保険者・65歳未満の任意加入被保険者に限られます。
法人成りして厚生年金保険に加入し第2号被保険者になると、その時点から付加保険料は納められなくなります。届出の要否は、加入している年金事務所に確認してください。
国民年金基金
国民年金基金は、第1号被保険者が加入できる、上乗せ年金の制度です。掛金は全額が社会保険料控除になり、所得税・住民税が下がります。受け取る年金額があらかじめ決まっている(確定給付)のが特徴で、終身年金や確定年金などの型から選べます。
法人成りして厚生年金保険に加入すると、第1号被保険者でなくなるため国民年金基金の加入員資格を失います。脱退の手続きや納めた掛金の扱いは、法人成り後の国民年金基金の脱退手続きを参照してください。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で運用する私的年金です。掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)、運用益が非課税、受取時も控除と、税制優遇が大きいのが魅力です。国民年金基金と違い、受取額は運用成績で変わります。
詳しくは個人事業主のiDeCo掛金上限の解説を参照してください。法人成り後に区分が変わる場合の掛金上限と届出は、法人成り後のiDeCo掛金上限と区分変更の届出で解説しています。なお、NISAの投資額は経費にも所得控除にもなりません。違いは個人事業主のNISAは経費になるかで整理しています。
組み合わせのルール
- 付加年金と国民年金基金は併用できません(どちらか一方)。国民年金基金に加入すると、付加保険料は納められません。
- 国民年金基金とiDeCoは、掛金を合算して月68,000円が上限です(2026年12月からは75,000円)。
- 付加年金とiDeCoは併用できます(付加保険料を納める場合、iDeCoの上限はそのぶん調整されます)。
まとめ
- 個人事業主は国民年金だけで年金が手薄。上乗せの方法は付加年金・国民年金基金・iDeCoの3つ。
- 付加年金は月400円で「200円×納付月数」が毎年上乗せ。受け取り2年で元が取れる終身の上乗せ。
- 国民年金基金は受取額が確定、iDeCoは自分で運用。どちらも掛金は全額所得控除。
- 付加年金と国民年金基金は併用不可。国民年金基金とiDeCoは合算で月68,000円(2026年12月から75,000円)が上限。
- 法人成りして第2号被保険者になると付加年金は納められなくなる。国民年金基金は加入員資格を喪失し、iDeCoは掛金上限が変わる。
iDeCo・小規模企業共済での節税額は、節税シミュレーターに掛金を入れて確かめてみてください。法人成り後、国民年金基金は脱退の手続き、iDeCoは掛金上限の変更届出が必要です。
法人成りして厚生年金に加入した場合の上乗せ額は、マイクロ法人の役員報酬で増える老齢厚生年金の額で比べられます。
よくある質問
- 付加年金とは何ですか?
- 国民年金の保険料に月400円を上乗せして納めると、将来の老齢基礎年金に「200円×付加保険料を納めた月数」が毎年上乗せされる制度です。2年受け取れば納めた額のもとが取れる、効率のよい上乗せです(出典:日本年金機構)。
- 付加年金・国民年金基金・iDeCoは併用できますか?
- 付加年金と国民年金基金は同時に使えません(どちらか一方)。国民年金基金とiDeCoは掛金を合算して月68,000円が上限です。付加年金とiDeCoは併用できます(出典:日本年金機構・国民年金基金連合会)。
- 国民年金基金とiDeCoの違いは?
- どちらも掛金が全額所得控除になりますが、控除の区分が異なり(国民年金基金は社会保険料控除、iDeCoは小規模企業共済等掛金控除)、国民年金基金は受け取る年金額があらかじめ決まっているのに対し、iDeCoは自分で運用し成績で受取額が変わります。
- 法人成りすると、付加年金・国民年金基金・iDeCoはどうなりますか?
- いずれも国民年金の被保険者区分にもとづく制度のため、法人成りして厚生年金保険に加入し第2号被保険者になると扱いが変わります。付加年金は納められなくなり、国民年金基金は加入員資格を喪失(脱退の届出が必要)し、iDeCoは掛金上限が下がります(区分変更の届出が必要)。国民年金基金の脱退手続きとiDeCoの掛金上限変更は、それぞれ別のガイドで解説しています。
公式一次情報
- 日本年金機構「付加保険料の納付」(月400円の付加保険料、「200円×納付月数」が老齢基礎年金に上乗せ)
- 国民年金基金連合会「老後のお金のギモン全部お答えします」(国民年金基金と付加保険料の併用不可、国民年金基金・iDeCoそれぞれ月68,000円の上限)