個人事業主の社会保険は、国民健康保険と国民年金です。負担を軽くするには「国民健康保険料を下げる方法」と「所得税・住民税を下げて将来の年金を増やす方法」を分けて考えるのが大切です。両者は効く対象が違うため、混同すると誤解します。
国民健康保険・国民年金の仕組み
国民健康保険は前年の所得に応じて保険料が上がるのが特徴で、東京特別区の令和8年度は所得割の合計が約10〜13%(40〜64歳は介護分込み)、年間の上限は113万円です。国民年金は所得に関係なく定額で、令和8年度は月17,920円です。つまり、国保は「所得を下げる」ことで軽くなり、国民年金は定額なので別の工夫が必要です。
国民健康保険料を下げる方法
国保の所得割は、所得控除を引く前の所得(おおむね総所得から基礎控除を引いた額)が基礎になります。したがって、国保を下げるのは次のような「所得そのものを下げる」か「制度を使う」方法です。
- 経費を漏れなく計上する・青色申告特別控除(最大65万円)を使う:事業所得そのものが下がるため、国保も下がります。
- 国民健康保険の軽減制度:世帯の所得が一定以下の場合、均等割が7割・5割・2割軽減される制度があります(自治体が自動判定)。
- マイクロ法人化:法人から低めの役員報酬を受け取る形にすると、報酬連動の健康保険に切り替わり、国保より安くなる場合があります(後述)。
所得税・住民税を下げ、年金を増やす方法
次の制度は、掛金が所得控除になって所得税・住民税を下げつつ、将来の年金や退職金を増やせます(ただし上で述べたとおり国保は下がりません)。
- 付加年金:国民年金保険料に月400円を上乗せして納付すると、65歳から「200円×納付月数」が毎年受け取れます。受給2年で支払額と同額になる、効率の良い制度です。
- 国民年金基金:第1号被保険者向けの上乗せ年金で、掛金は全額が社会保険料控除の対象。付加年金とは併用できません。
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象。国民年金基金とは合算の上限内で併用できます。
- 小規模企業共済:個人事業主の退職金制度。掛金が全額所得控除になります。
マイクロ法人という選択肢
所得や社会保険の負担が大きくなってきたら、マイクロ法人を作って役員報酬を低めに設定し、社会保険を最適化する方法があります。国民健康保険(所得連動)から、報酬にもとづく健康保険・厚生年金に切り替わるため、保険料を抑えられる場合があります。詳しくはマイクロ法人で社会保険料はいくら安くなるを参照してください。
注意点
「国民健康保険を0円にする」といった極端な節約をうたう情報もありますが、実態の伴わない方法は税務上問題になり得ます。制度の範囲内で、実態を伴って行うことが前提です。自分の状況でいくら変わるかは、シミュレーターで確認できます。