役員社宅で家賃を経費にする方法|賃貸料相当額の計算と注意点
会社借り上げの社宅について、会社家賃と役員負担を分け、賃貸料相当額の計算・給与課税の注意点を国税庁の基準で整理します。
2026年時点の制度会社が住居を借り上げて役員に貸し、役員から「賃貸料相当額」を受け取る方法が役員社宅です。役員が賃貸料相当額を会社へ支払っていれば、社宅貸与による経済的利益は給与として課税されません。仕組みと物件区分ごとの計算、注意点を整理します。
役員社宅の仕組み
会社が賃貸契約を結んで住居を借り、役員に社宅として貸します。役員は会社に「賃貸料相当額」を支払い、会社は実際の家賃を経費にします。
会社が支払う家賃と役員から受け取る賃貸料相当額との差額が、会社側の負担になります。賃貸料相当額は任意に決めるのではなく、物件の区分と固定資産税の課税標準額などから計算します。
賃貸料相当額の計算(小規模な住宅)
小規模な住宅の場合、賃貸料相当額は次の3つの合計です(国税庁が計算方法を定めています)。
- (1) 建物分:その年度の建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2%
- (2) 床面積分:12円 ×(建物の総床面積(㎡)÷ 3.3㎡)
- (3) 敷地分:その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%
計算例:建物の課税標準額800万円・敷地の課税標準額1,000万円・床面積66㎡の場合、(1)800万円×0.2%=16,000円、(2)12円×(66÷3.3)=240円、(3)1,000万円×0.22%=22,000円で、合計は月額38,240円が賃貸料相当額(月額)です。
小規模な住宅の範囲
上の計算式が使える「小規模な住宅」は、建物の法定耐用年数によって床面積の基準が決まります。
- 法定耐用年数が30年以下:床面積132㎡以下
- 法定耐用年数が30年超:床面積99㎡以下
区分所有の建物は、共用部分の床面積を按分して専用部分へ加えた面積で判定します。専用部分だけで132㎡・99㎡の基準を判定しないようにします。
一般の社宅・豪華社宅
小規模住宅にあたらない借り上げ社宅では、会社が貸主へ払う家賃の50%と、固定資産税の課税標準額から計算した金額のうち、多い方が賃貸料相当額です。役員が会社へ支払う家賃がこの金額より少ない場合、その差額が給与として課税されます。
「賃貸料相当額の50%以上を徴収すればよい」という扱いは使用人の社宅に関するもので、役員社宅には使えません。豪華社宅は、240㎡超の住宅について取得価額・支払家賃・内外装などを総合して判定し、240㎡以下でもプールなど一般的でない設備や役員の好みを著しく反映した設備があれば該当することがあります。
「固定資産税の課税標準額から計算した金額」は、(イ)建物の課税標準額×12%(法定耐用年数30年超は10%)と(ロ)敷地の課税標準額×6%の合計額を12で割った月額です(自社所有の場合はこの金額がそのまま賃貸料相当額、借り上げの場合はこの金額と家賃の50%のいずれか多い方)。
計算例:借り上げ住宅で、会社が貸主へ支払う家賃30万円(耐用年数30年以下の建物)・建物の課税標準額1,000万円・敷地の課税標準額2,000万円の場合、(イ)1,000万円×12%=120万円、(ロ)2,000万円×6%=120万円で、(イ+ロ)÷12=月額20万円。家賃の50%(15万円)と比べて多い方の20万円が賃貸料相当額になります。
注意点
- 賃貸契約が役員個人名義だと、社宅の貸与とは認められません。
- 会社が全額負担して役員が無償で住むと、賃貸料相当額が給与として課税されます。
- 賃貸料相当額より低い家賃しか徴収しない場合、その差額が給与課税の対象になります。
公式一次情報
よくある質問
- 役員社宅の賃貸料相当額はどう計算しますか?
- 会社が借り上げて役員に貸し、役員から賃貸料相当額を受け取ると、会社が支払う家賃との差額を会社が負担します。小規模住宅の賃貸料相当額は、建物の固定資産税課税標準額×0.2%+12円×(総床面積÷3.3㎡)+敷地の固定資産税課税標準額×0.22%の合計です。
- 小規模な住宅とはどのくらいの広さですか?
- 建物の法定耐用年数が30年以下なら床面積132㎡以下、30年超なら99㎡以下が小規模住宅です。小規模住宅でない借り上げ社宅では、会社が貸主へ払う家賃の50%と固定資産税の課税標準額から計算した金額のうち、多い方が賃貸料相当額になります。
- 役員が無償で社宅に住んでもいいですか?
- 会社が全額負担して役員が無償で住むと、賃貸料相当額が給与として課税されます。賃貸契約は会社名義で結び、役員から賃貸料相当額を実際に徴収することが要件です。