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法人成りのデメリット・注意点まとめ

設立後の固定費、社会保険、事務負担、会社資金の所有、実態要件を整理します。

令和8年度・東京・公式一次ソース準拠
編集:法人成りシミュレーション編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人成りで本人の手取りが増えるとは限りません。個人事業にはなかった固定費や手続きに加え、会社所有資金を本人の財布と分ける必要があります。比較前に確認する項目を整理します。

設立・維持のコスト

会社の設立には登録免許税、株式会社では定款認証手数料等がかかります。定款の作成方法、資本金、専門家への依頼で総額が変わるため、法定費用と任意の代行費用を分けて見積もります合同会社と株式会社の違いを参照)。

法人化すると、交際費の損金算入にも上限が生まれます。資本金1億円以下の法人は「接待飲食費の50%」または「年800万円の定額控除限度額」のいずれかまでしか損金にできませんが、個人事業主の所得税にはこの上限がありません。

廃業・解散時のコスト

注意:法人をやめるときも、解散・清算の登記や公告に法定費用がかかります。個人事業主の廃業届(無料)とは異なり、閉じる際にも一定の出費が発生します。

株式会社の解散・清算では、解散登記の登録免許税3万円、清算人(代表清算人を含む)選任登記の登録免許税9千円、清算結了登記の登録免許税2千円がかかります(法務局の登記申請書様式で確認、合計4万1千円)。

また、解散した旨を知らせる官報公告も必要です。公告料は掲載内容の行数で決まり、会社等の各種公告は1行3,947円(税込)が現行の料金です(全国官報販売協同組合)。

解散する事業年度の役員報酬にも、通常の定期同額給与のルールが適用されます。詳しくは役員報酬の決め方を参照してください。解散から清算結了までの手続きの流れ、清算所得のみなし配当課税は法人の解散・清算手続きと税務で解説しています。

赤字でもかかる均等割

法人住民税には所得割とは別に「均等割」があります。東京都23区内に事務所があり、資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の場合は年額7万円が一例です。赤字でも均等割の申告・負担が生じ得ますが、所在地、資本金等、従業者数、事務所を置いた月数で確認します。

年額7万円は月あたり約5,833円にあたり、利益が出ない月でも固定費として発生し続けます。個人事業主にはこれに相当する固定費がないため、法人化の損益分岐点を考える際に見落としやすい負担です。

社会保険の会社負担

法人の事業所は事業主だけの場合を含め、健康保険・厚生年金の強制適用事業所です。そのうえで、役員本人が被保険者になるかは、会社での労務提供とその対償としての報酬等から使用関係を判定します。役員という名称や報酬額だけで加入・非加入を決めるものではありません

被保険者なら標準報酬月額等に基づく本人負担と会社負担が生じます。本業の勤務先ですでに加入していても、新法人側の加入手続きが自動で不要になるわけではありません。両方で加入要件を満たす場合は二以上事業所勤務届を提出し、各社の報酬を合算して保険料を計算し、報酬額に応じて各社へ按分します。

例えば役員報酬を月50万円(年600万円)とした場合、協会けんぽ・厚生年金保険料の合計は年間約170万円(本人負担・会社負担それぞれ約85万円)になります(東京都・40歳未満・令和8年度料率での機械計算)。個人事業主の国民健康保険・国民年金と異なり、会社負担分がまるごと上乗せされる点が実務上の負担増につながります。

退職して法人の役員だけになる場合の健康保険は、退職後の健康保険シミュレーターで任意継続と国民健康保険を比較できます。

事務負担と税理士費用

法人税・地方税の申告、決算書、源泉所得税、社会保険等の事務が増えます。税理士への依頼は法的な必須条件ではありませんが、内製する時間・ソフト代と、依頼する場合の顧問・申告費用を継続費として比較します。決算・申告の具体的な流れと期限は法人の決算・申告で整理しています。

お金を自由に使えない

注意:法人のお金は会社のものであり、個人の財布とは分かれます。本人へ移すには役員給与、配当、実費精算、貸付・返済等の法的・会計上の根拠が必要です。
対処:本人へ移す場合はそれぞれの税務処理を記録します。法人に残す内部留保は本人手取りではなく、退職金・配当等で将来受け取る場合の課税も別に確認します(内部留保の出口を参照)。

実態要件・否認リスク

注意:個人と法人の区分が実態に沿っていないと、役員給与の損金算入、個人・法人間取引、社会保険の被保険者資格等で否認されることがあります。「節税スキーム」という名称だけで一括して適否は決まりません
対処:契約主体、売上、費用、人員、口座、成果物を実態に沿って区分し、それぞれ別の規定で判定します。

個人事業主と法人の比較(要点)

ここまでのデメリットを、個人事業主のままの場合と比べる形で整理します。数値はいずれも本記事の各節で確認したものです。

項目個人事業主法人
廃業・解散の費用廃業届は無料解散・清算の登録免許税合計4万1千円+官報公告料(1行3,947円)
赤字の年の固定費発生しない均等割が発生(東京23区内の一例で年7万円・月あたり約5,833円)
社会保険(役員報酬月50万円の例)国民健康保険・国民年金協会けんぽ・厚生年金で年間約170万円(本人・会社それぞれ約85万円)
交際費の損金算入上限なし資本金1億円以下は接待飲食費の50%または年800万円の定額控除限度額
会社・事業のお金の使い方事業用口座も本人の財布と一体会社のお金であり、本人へ移すには給与・配当等の根拠が必要
個別の金額は前提(所在地・資本金等・従業者数・報酬額・料率の年度)で変わります。実際の比較は法人化シミュレーターで試算してください。

よくある質問

法人化すると個人事業主より必ず手取りが増えますか?

いいえ。本人手取り、会社所有資金、固定費、将来給付、出口課税を同じ期間で比較する必要があり、法人化すれば必ず増えるとは限りません。

赤字の年でも法人だと税金はかかりますか?

かかる場合があります。法人住民税の均等割は所得に関係なく発生し、東京都23区内・資本金等1,000万円以下・従業者50人以下なら年額7万円が一例です。個人事業主にはこれに相当する固定費はありません。

会社をやめる(解散する)ときも費用がかかりますか?

かかります。個人事業主の廃業届は無料ですが、株式会社の解散・清算では登記の登録免許税(解散登記3万円・清算人選任登記9千円・清算結了登記2千円で合計4万1千円)と官報公告料(1行3,947円)が必要です。

社会保険は個人事業主のときと比べてどう変わりますか?

法人の事業所は原則として健康保険・厚生年金の強制適用事業所です。役員報酬を月50万円(年600万円)とした場合、協会けんぽ・厚生年金保険料の合計は年間約170万円(本人負担・会社負担それぞれ約85万円)になり、会社負担分がまるごと上乗せされます(東京都・40歳未満・令和8年度料率)。

法人のお金は個人事業主のときのように自由に使えますか?

いいえ。法人のお金は会社のものであり、個人の財布とは分かれます。本人へ移すには役員給与・配当・実費精算・貸付などの法的・会計上の根拠が必要です。

デメリットを踏まえた判断

本人手取り、会社所有資金、固定費、将来給付、出口課税を同じ期間で比較します。当サイトのシミュレーターは表示された前提の均等割と社会保険料を概算しますが、税理士費用、個別の資格判定、組織運営の時間、すべての出口課税までは自動判定しません。個人事業主と法人の違いの比較表もあわせて確認してください。

デメリットを踏まえたうえで、いつ法人化するかは法人成りのタイミングを判断する4つの軸で整理しています。

メリット・損益分岐・手順まで全体像を確認したい場合は法人成り(法人化)完全ガイドを参照してください。

コストと所有区分を分けて確認する

均等割や本人・会社の社会保険料を含め、個人本人の手取り、法人側本人、会社所有内部留保を分けて確認できます。

公式情報

本記事について。税理士監修前の概算です。税務・社会保険の扱いは個別事情で異なります。実際の判断は税理士・年金事務所等へご確認ください。