個人事業主が税金を払えないとき|納税の猶予・換価の猶予
国税を期限までに払えないときの「納税の猶予」「換価の猶予」と、申請のしかたを整理します。
国税庁の制度事業の調子が悪く、所得税や消費税を期限までに払えそうにない。そんなときは、放置せず税務署に相談しましょう。一定の事情があれば、納税を待ってもらう「猶予」の制度が用意されています。
分割で納められ、延滞税も軽くなります。2種類の猶予と、申請のしかたを整理します。
税金を払えないときの最初の対応
税金を期限までに納めないと、納付までの日数に応じて延滞税がかかり、放置すると財産の差押えに進むこともあります。しかし、払えない事情があるのに何もしないのが一番よくありません。早めに税務署に相談し、猶予を申請すれば、延滞税が軽くなり、差押えも猶予されます。
換価の猶予
国税を一時に納付すると、事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがある場合に使えるのが「換価の猶予」です。納期限から6か月以内に申請します。納める意思はあるが、一度に払うのは厳しい、というケースが対象です。
所得税の確定申告分については、まず延納で5月末まで分けられないかも確認するとよいでしょう。
納税の猶予
「納税の猶予」は、次のような事実があって納付が困難な場合に使えます。災害・盗難にあった、本人や家族が病気になった、事業を廃止・休止した、事業に著しい損失が生じたなどです。これらの事情で納税が難しいときに申請します。
猶予が認められると
免除される割合は猶予の種類で異なります。災害等による納税の猶予は、猶予期間に対応する延滞税の全額が免除されます。一方、換価の猶予・事業の廃止等による納税の猶予は、納期限の翌日から2か月を経過した日以後の期間に対応する延滞税の2分の1が免除されます(国税通則法第63条)。
計算例(換価の猶予):令和8年分の延滞税の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以降が年9.1%です。所得税50万円を法定納期限から180日間滞納し、換価の猶予が認められたとします。猶予がない場合の延滞税の概算は、最初の60日分(500,000円×2.8%×60/365)が約2,301円、残り120日分(500,000円×9.1%×120/365)が約14,959円で、合計約17,260円です。
換価の猶予では、このうち2か月経過後の120日分(500,000円×9.1%×120/365)の2分の1にあたる約7,479円が免除されるため、納付する延滞税は最初の60日分2,301円とあわせて約9,781円まで軽減され、差額の約7,479円が免除される計算です。実際の税額は端数処理(1万円未満切り捨てなど)や猶予期間・日数で変わるため、あくまで概算の目安として確認してください。
まとめ
- 税金を払えないときは放置せず、税務署に猶予を申請する。
- 一時納付が困難 → 換価の猶予(納期限から6か月以内に申請)。
- 災害・病気・廃業・大きな損失など → 納税の猶予。
- 猶予が認められると、原則1年以内の分割・延滞税の軽減・差押えの猶予。
そもそも納税額がいくらになるかを早めに把握しておくと、資金の準備がしやすくなります。確定申告の税額試算で目安を確認し、予定納税もあわせて備えておきましょう。災害・盗難で資産に損害を受けた場合は雑損控除も確認してください。
公式一次情報
- 国税庁「G-9 換価の猶予の申請手続」(納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請)
- 国税庁「No.8002 災害により被害を受けたときの納税の猶予」(猶予期間は原則1年以内、やむを得ない理由があれば既に認められた期間と合わせて2年を超えない範囲で延長可、猶予をした場合は延滞税が全額または2分の1相当額免除)
- 国税庁「第8章 第1節 猶予をした場合における延滞税の免除」(災害等による納税の猶予は猶予期間に対応する延滞税の全額、事業の廃止等による納税の猶予・換価の猶予は納期限の翌日から2か月を経過した日以後の期間に対応する延滞税の2分の1を免除することを規定。2026-09-15確認)
- 国税庁「延滞税の割合」(令和8年1月1日から12月31日の期間は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以降が年9.1%であることを掲載。2026-09-15確認)
よくある質問
- 税金を期限までに払えないときはどうすればいいですか?
- 放置せず、税務署に「猶予」を申請できます。一時に納付すると事業継続や生活が困難な場合は「換価の猶予」(納期限から6か月以内に申請)、災害・病気・廃業・大きな損失などがある場合は「納税の猶予」が利用できます(出典:国税庁)。
- 猶予が認められるとどうなりますか?
- 原則1年以内(延長で最長2年)の分割納付ができ、猶予期間中の延滞税が軽減または免除されます。財産の差押え・換価が猶予される効果もあります(出典:国税庁)。
- 猶予の申請に必要なものは?
- 申請書と、収支や財産の状況がわかる書類を税務署に提出します。猶予額によっては担保が必要な場合があります。早めに税務署に相談するのがおすすめです。