役員報酬の決め方|比較方法と定期同額給与のルール
本人手取りと会社所有の資金、法人税・社会保険を分けて比較する方法と、守るべきルールを令和8年度(2026年度)の税率で解説します。
令和8年度・東京・公式一次ソース準拠マイクロ法人をつくると、最初に決めるのが役員報酬です。これは単なる給料ではなく、会社に残す利益と、自分が受け取る報酬の配分を決める意思決定で、手取りを大きく左右します。決め方と、守らないと損をするルールを整理します。
役員報酬で考える3つのこと
- 個人の税・社会保険:役員報酬を上げると、個人の所得税・住民税・社会保険料が増えます。ただし令和8年分の所得税では、給与所得控除の最低保障額74万円が使えます。
- 法人税:役員報酬を下げると、会社に残る利益が増えます。一定の中小法人は、所得年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%の法人税率です。
- 社会保険料:社会保険は役員報酬(標準報酬月額)にもとづくため、報酬を抑えると保険料も下がります(マイクロ法人と社会保険を参照)。
報酬を抑えつつ生活コストを会社側で負担する方法として、役員社宅を使う会社もあります。賃貸料相当額以上を本人が負担すれば給与課税されません。
役員報酬を比較する考え方
役員報酬を上げる効果(給与所得控除が効く)と、下げる効果(社会保険料が減る)は逆方向に働きます。年齢・所在地などの前提を固定すると、本人手取りと会社所有・出口課税前の内部留保の合計が最大になる探索値を比較できます。
当サイトの役員報酬の比較シミュレーターは、入力条件の範囲内で法人側合計が最大になる探索値を表示します。本人が今使える手取りの最大額や、万人に共通する最適額ではありません。
定期同額給与のルール(重要)
役員報酬は、自由に毎月変えられるわけではありません。法人税法上、損金(経費)として認められる役員給与は原則「定期同額給与」で、次のルールがあります。このルールで報酬を改定しても、社会保険の標準報酬月額が自動的に見直されるわけではなく、別の要件で改定時期が決まります。
- 金額の改定は、原則として事業年度開始の日から3か月以内に行う必要があります。
- それ以外の時期に増額・減額すると、増額分や一定の超過部分が損金に算入できず、法人税の負担が増えることがあります。
- 期中改定の例外には、役職・職務の重大な変更などの「臨時改定事由」と、経営が著しく悪化した場合の「業績悪化改定事由」があります。業績悪化改定は減額に限られ、一時的な資金繰りや単なる目標未達は含まれません。
本業がある場合の注意
会社員が副業法人から役員報酬を受け取り、両方の適用事業所で社会保険の加入要件を満たす場合は、「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」が必要です。標準報酬月額は両事業所の報酬月額を合算して決まり、保険料は各事業所の報酬に基づいて按分されます。
所得税も本業の給与と役員報酬を合算して計算します。役員報酬を出すか、法人に利益を残すかは、法人税・所得税・社会保険料を合わせて比較します。
まとめ
役員報酬は「会社に残す利益」と「自分が受け取る報酬」の配分を決める意思決定で、手取りを左右します。原則として事業年度開始から3か月以内に改定し、その後は同額を維持します。本業がある人は二以上事業所勤務の社会保険も含めて比較します。
毎月の役員報酬とは別に、賞与のようなまとまった支給を経費にしたい場合は事前確定届出給与の届出期限(設立法人は設立日から2か月)を確認してください。