フリーランス新法とよく比較されるのが、下請代金支払遅延等防止法です。同法は令和8年(2026年)1月1日施行の改正法により「取適法」(正式名称:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)へ名称が変わりました。適用の決め方が異なるため、同じ取引に両方が適用されることもあります。
禁止行為の類型はフリーランス新法と取適法でかなり重なりますが、完全に同一ではありません。取適法には、フリーランス新法に無い「有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止」(委託側が支給した原材料等の対価を、報酬の支払いより早く決済させてはならないという規定)が禁止行為の1類型として定められています。また、代金の支払いが遅れた場合の遅延利息(年14.6%)の支払義務は、禁止行為とは別に取適法だけが定めており、フリーランス新法には対応する規定がありません。両法が適用される取引では、両方の規定に注意する必要があります。
取適法の適用対象は、取引の内容(製造委託・修理委託・特定運送委託・情報成果物作成委託・役務提供委託等)と、委託事業者側の資本金額または常時使用する従業員数の区分(取引内容によって基準額が異なります)の組み合わせで決まります。例えば情報成果物作成委託・役務提供委託(プログラム作成・運送・物品の倉庫保管・情報処理を除く)では、委託事業者の資本金が5,000万円を超える場合、または常時使用する従業員が100人を超える場合が対象の目安の一つです。
両方が適用される場合:委託事業者の規模が取適法の基準を満たし、かつ受託者がフリーランス新法の特定受託事業者にも該当する取引では、両法の書面明示義務が重複して生じますが、公正取引委員会のQ&Aでは1枚の書面で両法の記載事項を併せて明示すれば足りるとされています。