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法人成りで36協定・就業規則はどうなる?法人としてあらためて必要な届出

個人事業のときに労働基準監督署へ届け出ていた36協定・就業規則が、法人化したらどうなるかを整理します。適用事業報告の根拠条文と、36協定・就業規則の基本ルールを一次資料にもとづき確認します。

労働基準法の制度
編集:法人成りシミュレーション編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

個人事業のときに従業員を雇い、時間外労働・休日労働をさせるために36協定を、常時10人以上の従業員がいて就業規則を、それぞれ労働基準監督署へ届け出ていた場合、法人成りをするとこれらの届出はどう扱われるのかを整理します。法人の設立は労働基準法上「事業を開始した場合」にあたり、法人として新たに適用事業報告を提出する義務が生じます。

36協定・就業規則そのものの「再届出の要否」を名指しで案内する公式ページは確認できませんでした。この記事では、確認できた一次資料(条文・様式)の範囲を明確にしたうえで、法人成りに伴う実務上の考え方を整理します。

個別の要否は、届出前に所轄の労働基準監督署へ確認してください。労災保険・雇用保険の手続きは法人成りの労働保険の引継ぎを参照してください。

法人設立は「事業を開始した場合」=適用事業報告の対象

労働基準法施行規則第57条は、「使用者は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、遅滞なく、第一号については様式第二十三号の二により、(中略)所轄労働基準監督署長に報告しなければならない」と定め、その第一号に「事業を開始した場合」を挙げています。これが「適用事業報告」で、事業所が労働基準法の適用対象となった事実を労働基準監督署へ報告する届出です。

法人成りにより設立した法人は、個人事業のときから従業員を引き継いでいても、労働基準法上は事業主(使用者)が個人から法人という別の法人格に変わります。設立時点ですでに従業員がいる場合、法人の設立と同時に労働基準法の適用事業所となるため、法人として適用事業報告を提出する必要があるという整理が、会社設立を扱う専門家の解説でも案内されています。

適用事業報告そのものに添付書類は不要です。

36協定:時間外・休日労働をさせるなら必要

法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えて時間外労働をさせる場合、または法定休日に労働させる場合は、あらかじめ「時間外・休日労働に関する協定」(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。36協定は、使用者と、労働者の過半数で組織する労働組合(無ければ過半数代表者)との間で、事業場ごとに締結する書面協定です。

有効期間は原則1年間で、期間満了ごとに締結し直し、届け出る必要があります。36協定届の様式には、法人の場合は法人番号を、個人事業の場合は屋号・事業主氏名を記載する欄があります。

個人事業のときに締結・届出していた36協定は、個人事業主(使用者)と労働者代表との間の協定です。法人成りにより使用者が法人という別の法人格に変わるため、法人としてあらためて労働者代表を選出し、36協定を締結・届出するのが実務上の基本的な考え方です。

ただし、この点を「法人成りの場合は再締結が必要」と名指しで案内する厚生労働省・労働局の公式ページは確認できませんでした。前述の適用事業報告の考え方(法人設立=事業を開始した場合)と、個人事業主と法人は別人格であるという原則(法人成りの労働保険の引継ぎで整理)から導かれる整理として理解し、実際の要否は届出前に所轄の労働基準監督署に確認してください。

就業規則:常時10人以上で作成・届出義務

労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と所轄労働基準監督署への届出を義務付けています。「常時10人以上」には正社員だけでなくパート・アルバイトも含めて数え、届出には労働者の過半数代表者(または労働組合)の意見書を添付します。個人事業主も、常時10人以上を使用していれば労働基準法第89条の対象です。

法人成りにより使用者が法人に変わるため、就業規則についても、法人として使用者名義をあらためた規則を作成・届出するのが実務上の基本的な考え方です。個人事業のときに作成・届出していた就業規則をそのまま流用する場合でも、事業主・使用者名の記載を法人名義に修正したうえで、あらためて所轄の労働基準監督署へ届け出るのが安全です。この点についても、法人成りを名指しで案内する公式ページは確認できておらず、個別の要否は所轄の労働基準監督署に確認してください。

まとめ

  • 法人の設立は労働基準法上「事業を開始した場合」にあたり、法人として適用事業報告(労働基準法施行規則第57条・様式第23号の2)を提出する義務が生じる。
  • 36協定は使用者と労働者代表との事業場ごとの書面協定で、有効期間は原則1年。使用者が法人に変わるため、法人としてあらためて締結・届出するのが実務上の基本的な考え方だが、法人成りを名指しした公式案内は確認できていない。
  • 就業規則は常時10人以上の使用者に作成・届出義務(労働基準法第89条)。法人成り後は使用者名義を法人にあらためて届け出るのが実務上の基本的な考え方。
  • 36協定・就業規則いずれも、実際の要否・様式は所轄の労働基準監督署に事前確認するのが確実。

公式一次情報

よくある質問

法人成りすると、労働基準監督署への届出は何が必要になりますか?
法人の設立は労働基準法上「事業を開始した場合」にあたるため、法人として適用事業報告(労働基準法施行規則第57条・様式第23号の2)の提出が必要です。時間外・休日労働をさせる場合は36協定、常時10人以上を使用する場合は就業規則についても、法人として手続きを行うのが実務上の基本的な考え方です。
個人事業のときの36協定は、法人になってもそのまま使えますか?
使用者が個人事業主から法人という別の法人格に変わるため、法人としてあらためて労働者代表を選出し、36協定を締結・届出するのが実務上の基本的な考え方です。ただし、この点を法人成りに限定して案内する厚生労働省・労働局の公式ページは確認できておらず、実際の要否は所轄の労働基準監督署に確認してください。
個人事業のときに就業規則を作っていた場合、法人になっても再提出は不要ですか?
使用者が法人に変わるため、事業主名義を法人名義にあらためた就業規則を、法人としてあらためて所轄の労働基準監督署へ届け出るのが安全です。個人事業時代の届出をそのまま流用できるかどうかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。
就業規則の「常時10人以上」には、パート・アルバイトも含まれますか?
含まれます。正社員だけでなく、パート・アルバイトを含めて事業場単位で人数を数えます。役員のみの場合は対象外です。
本記事について。税理士監修前の概説です。36協定・就業規則の再届出の要否については、法人成りに限定して案内する厚生労働省・労働局の公式ページを確認できておらず、本記事は確認できた一次資料(適用事業報告の根拠条文、36協定・就業規則の基本ルール)から導かれる実務上の考え方として整理しています。実際の要否・様式は、法人成りの前に所轄の労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。