個人事業主・フリーランスの国民年金保険料が払えないとき|免除・納付猶予の申請
所得が少ない・失業などで国民年金保険料が払えないときの免除・納付猶予を整理します。
日本年金機構の制度個人事業主・フリーランスは、国民年金保険料(令和8年度は月17,920円)を自分で納めます。所得が少ない時期や、失業・廃業などで払うのが難しいとき、未納のまま放置するのは禁物です。
申請すれば、保険料の「免除」や「納付猶予」が受けられます。仕組みと申請を整理します。
未納のまま放置しない
保険料を未納のままにすると、将来の年金が減るだけでなく、万一のときの障害年金・遺族年金が受けられなくなることもあります。一方、免除や納付猶予を申請して承認されれば、未納とは扱いが変わり、受給資格期間にも算入されます。払えないときは、放置せず申請するのが大切です。
支払能力があるのに未納を続けると、日本年金機構は納付勧奨のあと最終催告状→督促状→財産の差押えの順に強制徴収の手続きを進めます。令和7年度(同年9月末時点)は最終催告状99,260件、督促状60,242件、差押執行11,252件が実施されています。「催告状が来たら急いで対応すればよい」ではなく、免除・猶予の申請でこの段階に入ること自体を避けるのが安全です。
申請は、市区町村の国民年金窓口や年金事務所で行います(郵送・電子申請も可)。さかのぼって申請することもできます。
免除・猶予・未納の比較表
令和8年度の月額保険料17,920円を基準にすると、各区分の「今払う額」と将来の年金への反映は次のとおりです。一部免除の金額は、承認後に納める必要がある減額後の月額です。
| 区分 | 今払う月額 | 所得審査 | 受給資格期間 | 年金額への反映 |
|---|---|---|---|---|
| 全額納付 | 17,920円 | なし | あり | 全額 |
| 全額免除 | 0円 | 本人・配偶者・世帯主 | あり | 2分の1 |
| 4分の3免除 | 4,480円 | 本人・配偶者・世帯主 | あり | 8分の5 |
| 半額免除 | 8,960円 | 本人・配偶者・世帯主 | あり | 8分の6 |
| 4分の1免除 | 13,440円 | 本人・配偶者・世帯主 | あり | 8分の7 |
| 納付猶予 | 0円 | 本人・配偶者 | あり | なし |
| 未納 | 0円 | 申請なし | なし | なし |
免除か猶予かの選び方
- 本人・配偶者・世帯主の所得が基準以下:まず全額免除・一部免除の対象を確認する。免除期間は老齢基礎年金額にも一部反映されます。
- 世帯主の所得だけが基準を超える:20歳以上50歳未満なら、世帯主を審査しない納付猶予を確認する。
- 失業・倒産・廃業をした:その人の前年所得にかかわらず審査する特例を使える可能性があるため、事実を確認できる書類を添える。
- 学生:免除・納付猶予ではなく、学生納付特例を確認する。
免除は本人・配偶者・世帯主、納付猶予は本人・配偶者の前年所得で審査します。1月から6月に申請する場合は前々年所得を使います。
申請できる期間と年度
免除・納付猶予の年度は7月から翌年6月までです。令和8年度分は2026年7月から2027年6月までで、2025年中の所得をもとに審査されます。
- 1枚の申請書で申請できるのは1年度分。複数年度は年度ごとに申請書を出す。
- 保険料の納付期限から2年を過ぎていない期間、目安として申請時点から2年1カ月前まで遡って申請できる。
- 期限例:2024年6月分を遡って申請できる期限は2026年7月31日。期限は月ごとに異なる。
遡及申請を待っている間に初診日や死亡日が来ても、事故や病気の後から遡って申請した期間は障害基礎年金の納付要件に算入されません。払えなくなった時点で早めに申請します。
申請手順と必要書類
- マイナポータルの電子申請、住所地の市区町村窓口、年金事務所、郵送のいずれかを選ぶ。
- 基礎年金番号が分かる書類、またはマイナンバーと本人確認書類を用意する。
- 申請する年度ごとに免除・納付猶予申請書を作成する。
- 失業・廃業特例を使う場合は、その事実を確認できる書類を添付する。
会社を離職した人は「雇用保険被保険者離職票」「雇用保険受給資格者証」「雇用保険受給資格通知」のコピーなどを使います。廃業した個人事業主は、税務署等へ提出した「個人事業の開廃業等届出書」の写しなどを使える場合があり、別途、失業状態の申立てが必要です。
所得証明書は原則として添付不要です。ただし本人・配偶者・世帯主の対象年所得について確定申告や年末調整がされていない場合は、市区町村民税の申告をしたうえで免除・猶予を申請します。
年金額への影響・追納
金額の目安で見ると、令和8年度の老齢基礎年金の満額(月額70,608円、昭和31年4月2日以後生まれの場合)をもとに、1年間(12か月)全額免除だった期間があると、全額納付していた場合と比べて将来受け取る老齢基礎年金が年額でおよそ10,591円少なくなります(満額年額847,296円のうち80分の1。加入可能月数480か月のうち12か月分が、年金額の計算式で2分の1として反映されるために生じる差額)。免除期間が複数年に及ぶほど、この差は積み重なります。
余裕が出たら追納を検討しましょう。追納した保険料は、社会保険料控除として全額が所得控除になります。
よくある質問
- 実家暮らしで親の所得が高い場合は?
全額免除・一部免除は世帯主の所得も審査するため、親が世帯主なら本人の所得が少なくても承認されない場合があります。20歳以上50歳未満なら世帯主所得を審査しない納付猶予も確認します。
- 確定申告をしていなくても申請できる?
対象年の所得について税の申告が済んでいない人が審査対象にいる場合は、先に市区町村民税の申告が必要です。所得がなかった場合も申告の要否を市区町村窓口で確認します。
- 追納はどの期間から始める?
追納できるのは承認月の前10年以内で、原則として古い期間から納めます。承認期間の翌年度から数えて3年度目以降は加算額が上乗せされるため、免除と猶予の両方がある場合は年金事務所に納付順序を確認します。
公式一次情報
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(審査対象、月額、年金額への反映、失業等特例)
- 日本年金機構「免除等の申請が可能な期間」(年度区分、遡及申請、月別期限)
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除を受けるとき」(申請書と電子申請)
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」(10年、加算額、納付順序)
- 日本年金機構「国民年金保険料の強制徴収」(令和7年度9月末時点:最終催告状99,260件・督促状60,242件・差押執行11,252件)
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」(老齢基礎年金の満額:月額70,608円〈昭和31年4月2日以後生まれ〉)
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」(年金額の計算式、加入可能月数480か月、全額免除月数は8分の4=2分の1で反映)
まとめ
- 国民年金保険料が払えないときは、未納放置せず免除・納付猶予を申請する。
- 免除(全額・一部)は本人・配偶者・世帯主、納付猶予は本人・配偶者の所得で審査する。
- 一部免除は減額後の保険料を払わないと未納扱いになる。
- 令和8年度は2026年7月〜2027年6月。遡及申請は月ごとの期限を確認する。
- 全額免除は年金が満額の1/2、猶予は反映なし。追納(10年以内)で満額に近づけられる。
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