年収の壁とは?令和8年分の税の壁(136万)と社保の壁(106万・130万)
令和8年分の税要件と、勤務先の短時間労働者加入、健康保険の被扶養者認定、国民年金第3号を別々に整理します。
令和7・8年分の制度「年収の壁」は1本の境界ではありません。本人の所得税、扶養する人の配偶者・扶養控除、勤務先での健康保険・厚生年金加入、家族の健康保険の被扶養者認定は、それぞれ判定方法と時点が異なります。
先に分ける4つの判定
- 働く本人の所得税:給与所得、基礎控除、他の所得・控除を使って本人の税額を計算します。
- 家族を扶養する人の税:配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除の所得要件を確認します。
- 勤務先の社会保険:正社員の4分の3基準または短時間労働者の勤務先規模・週時間・雇用見込み・学生要件等で加入を判定します。
- 家族の健康保険・年金:勤務先で加入しない場合に、健康保険の被扶養者と国民年金第3号の要件を加入先へ確認します。
家族が個人事業の青色事業専従者・白色事業専従者として給与を受けている場合は、収入額にかかわらず同一生計配偶者・扶養親族にはなれない点に注意してください。
壁の早見表
本記事で扱う税・社会保険の壁を、対象者・基準額(給与収入換算)・判定主体の3点で並べます。詳しい要件は各節を確認してください。
| 壁の種類 | 対象者 | 基準額(給与収入換算) | 判定主体 |
|---|---|---|---|
| 税:配偶者控除・扶養控除 | 配偶者・扶養親族 | 136万円以下(令和8年分。令和7年分は123万円以下) | 扶養する人の確定申告・年末調整 |
| 税:特定親族特別控除 | 19歳以上23歳未満の親族 | 136万円超197万円以下(令和8年分。令和7年分は123万円超188万円以下) | 扶養する人の確定申告・年末調整 |
| 税:本人の課税最低限(目安) | 給与収入のみの本人 | 178万円(給与所得控除74万円+基礎控除104万円の単純合計・令和8年分) | 本人の確定申告・年末調整 |
| 社保:勤務先の社会保険加入(通称106万円) | 短時間労働者 | 月額8.8万円以上(週20時間以上・雇用見込み2か月超・非学生・企業規模51人以上等) | 勤務先経由で日本年金機構・協会けんぽ等 |
| 社保:健康保険の被扶養者 | 家族の被扶養者 | 130万円未満(60歳以上・一定の障害者は180万円未満、配偶者を除く19〜22歳は150万円未満) | 家族の保険者 |
税の壁と社会保険の壁は基準額も判定主体も別で、税が扶養する側の申告、社会保険は勤務先または家族の保険者が確認します。令和7年分・令和8年分で数値が変わる項目は表内に両方を残しています。
税の壁(令和7・8改正で変更)
- 扶養・配偶者の壁:103万円 → 136万円:配偶者控除や扶養控除の対象でいられる合計所得金額の要件が、48万円以下から62万円以下(給与収入では103万円から136万円)に引き上げられました(令和7改正で58万円・給与123万円、令和8改正でさらに62万円・給与136万円)。
- 給与所得控除の最低額:55万円 → 74万円:パート収入から差し引く給与所得控除の最低保障額が引き上げられました(令和7改正で65万円、令和8改正で74万円・令和8・9年分)。
- 本人の所得税:令和8年分は、給与収入だけで合計所得489万円以下、他の所得・控除がない等の単純条件なら、給与所得控除74万円と基礎控除104万円の合計178万円が課税最低限の目安です。住民税は別に判定します。
特定親族特別控除(大学生世代)
令和7年度改正で新設された「特定親族特別控除」も、税の壁の一種です。19歳以上23歳未満(大学生世代)の親族の合計所得金額が62万円超123万円以下(令和7年分は58万円超123万円以下)の場合に、扶養する側が段階的に控除を受けられます。給与収入だけなら、令和8年分は136万円超197万円以下、令和7年分は123万円超188万円以下が目安です。
子のアルバイト収入が一定額を超えても、扶養する側の控除がいきなりゼロにならない仕組みです。
所得帯ごとの控除額の段階(63万円〜3万円)と、この控除を含む所得控除16種類の全体像は所得控除まるわかり一覧で解説しています。
勤務先の社会保険(通称106万円)
「106万円」は所定内賃金月額8.8万円を年換算した通称で、年収額だけの加入基準ではありません。正社員の所定労働時間・日数の4分の3以上なら、次の短時間要件とは別に加入対象です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超えて使用される見込み
- 学生ではない(休学中・夜間等には例外あり)
- 対象となる企業規模等(2026年7月時点は厚生年金被保険者51人以上。任意適用等を除く)
企業規模要件は2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、2035年10月に規模要件撤廃へ段階的に拡大される予定です。
健康保険の被扶養者(130万等)
勤務先の社会保険に加入しない場合でも、家族の健康保険の被扶養者になれるかは年末の確定額だけでなく、認定時点からの年間収入見込みと生計維持関係等で保険者が判定します。
- 原則:年間収入130万円未満。60歳以上または一定の障害者は180万円未満、配偶者を除く19歳以上23歳未満は150万円未満の基準があります。
- 生計維持:同居・別居に応じ、被保険者の収入や仕送りとの関係など金額以外の条件もあります。
- 2026年4月以後の認定:労働契約上の年間収入が基準未満で他の収入が見込まれない場合の取扱いが導入されています。想定外の臨時収入は保険者が事情を確認します。
- 一時的な増収:人手不足による労働時間延長等は事業主証明により引き続き認定される場合がありますが、恒常的な基準超過や他要件不足まで認める制度ではありません。
扶養する側が個人事業主で国民健康保険に加入している場合、国保には被扶養者の仕組みがありません。法人化して健康保険に加入したときに家族を扶養に入れられるかは法人化すると配偶者・親を健康保険の扶養に入れられるかで整理しています。
まとめ
- 本人税、扶養する人の税、勤務先社会保険、健康保険被扶養者を別々に判定する。
- 令和8年分の扶養・配偶者所得要件は給与のみなら136万円換算。本人所得税の単純な課税最低限は178万円の条件例。
- 19〜22歳の子は特定親族特別控除(給与123万円超188万円以下)で段階的に控除(令和7年分から適用)。
- 勤務先加入は週20時間・企業規模等、被扶養者は収入見込み・年齢・生計維持・一時収入等で確認する。
確定申告の税額試算は配偶者控除対象と確認済みの場合の概算で、配偶者特別控除と社会保険資格は判定しません。退職後の健康保険シミュレーターも任意継続と東京23区国保参考の比較で、勤務先加入・被扶養者認定ツールではありません。所得税の各種所得控除では地震保険料控除も確認できます。
公式情報
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等」
- 国税庁タックスアンサー No.1177「特定親族特別控除」
- 厚生労働省「パート・アルバイトの方への社会保険の適用」
- 厚生労働省「年収の壁への対応」
- 厚生労働省「令和8年3月31日 大臣会見概要」
よくある質問
- 令和7年の改正で扶養の壁はどう変わりましたか?
- 配偶者や扶養親族でいられる年間の合計所得金額の要件が48万円から62万円(給与収入では103万円から136万円)に引き上げられました(令和7改正で58万円・給与123万円、令和8改正で62万円・給与136万円)。いわゆる「103万円の壁」が令和8年分で「136万円の壁」になりました(出典:国税庁)。
- 税の壁と社会保険の壁の違いは?
- 本人の所得税、扶養する人の配偶者・扶養控除、勤務先の社会保険加入、家族の健康保険の被扶養者は別判定です。年収額だけでなく、所得、週時間、企業規模、雇用見込み、生計維持等を確認します。
- 特定親族特別控除とは?
- 19歳以上23歳未満(大学生世代)の親族の合計所得金額が62万円超123万円以下(令和7年分は58万円超123万円以下)の場合に、扶養する側が段階的に控除を受けられる、税の壁の一種です。給与収入だけなら令和8年分は136万円超197万円以下、令和7年分は123万円超188万円以下が目安です。所得帯ごとの控除額の段階は所得控除まるわかり一覧で解説しています。
- 106万円の壁はいつ撤廃されますか?
- 厚生労働省は2026年3月、全国最低賃金が時給1,016円以上となり、最低賃金で週20時間以上なら月額8.8万円以上になるため事実上解消したと案内しました。ただし企業規模、2か月超見込み、学生除外等は残るため、年収だけで加入を判定しません(出典:厚生労働省)。