個人事業主の確定申告の延納|所得税を5月末まで分けて納める
3月の納付が厳しいときに、所得税を分けて納められる延納の仕組みを整理します。
国税庁の制度確定申告で税額が大きくなると、3月15日までに全額を納めるのが厳しいこともあります。そんなときに使えるのが「延納」です。
半分以上を納めれば、残りを5月末まで延ばせます。仕組みと注意点を整理します。
延納とは(2分の1以上・5月31日まで)
延納の対象として考えるのは、確定申告で納める所得税です。住民税、個人事業税、国民健康保険料などはそれぞれ納付時期や相談先が違うため、所得税を延納できても他の支払いが自動的に延びるわけではありません。
期限日が土日祝日に当たる年は、申告・納付の期限が翌平日に動く場合があります。記事内では原則の3月15日・5月31日で説明し、実際の年分では国税庁の確定申告情報で日付を確認します。
延納期間にかかる利子税
延納した期間に応じて、「利子税」がかかります。利率は年によって異なります。
これは、申告を忘れたり納付が遅れたりしたときの延滞税(ペナルティ)とは違い、正規の手続きによる利息です。とはいえ、コストはかかるので、資金に余裕があれば期限内に全額納めるほうが得です。
利子税の税率は本来は年7.3%ですが、銀行の短期貸出金利をもとに財務大臣が毎年告示する「利子税特例基準割合」がこれを下回る年は、その低いほうの割合が適用されます。令和8年分の利子税の割合は年1.3%です(令和7年分は年0.9%)。
利子税は「延納した税額 ×(年の利子税割合 ÷ 365)× 延納した日数」で計算します。100円未満の端数は切り捨て、計算結果が1,000円未満なら利子税はかかりません。
| 項目 | 金額・日数 |
|---|---|
| 延納する所得税額 | 15万円 |
| 延納期間 | 3月16日〜5月31日(77日間) |
| 利子税の計算 | 150,000円×1.3%×77日÷365日=411円 |
| 実際の利子税額(100円未満切り捨て) | 400円 |
延納は「支払いを後ろにずらす制度」であって、税額そのものを減らす制度ではありません。利子税まで含めて、3月に全額納付する場合と5月末まで分ける場合の資金残高を比べて判断します。
振替納税・猶予との違い
振替納税は、事前に口座振替を届け出て、指定日に口座から引き落としてもらう納付方法です。延納は、確定申告で納める税額の一部を5月末まで後ろへ回す制度なので、役割が違います。
さらに資金繰りが厳しく、5月末にも納める見込みが立たない場合は、延納ではなく納税の猶予を検討する領域です。延納は「半分以上は期限内に払える」人向けの選択肢と考えると整理しやすいです。
手続き
延納を使うには、確定申告書の「延納の届出」欄に、延納する金額(納める税額の2分の1以下)を記入します。そして、3月15日までに残りの2分の1以上を納付します。特別な申請書は不要で、確定申告書に記入するだけです。
記入する金額は「5月末まで延ばしたい金額」です。3月に納める金額が2分の1未満になると制度の前提を満たさないため、納付書やキャッシュレス納付の金額を分けて管理します。
個人事業主が確認する資金繰り
個人事業主は、所得税のあとに住民税、個人事業税、国民健康保険料などの支払いが続きます。3月の所得税だけを見て延納すると、5月末の延納分とその後の地方税・社会保険料が重なり、資金繰りが苦しくなることがあります。
- 3月に最低いくら納めるかを先に決める。
- 5月末に延納分と利子税を払える残高を残す。
- 6月以降の住民税・国保・個人事業税の通知時期も見込む。
- 前年の所得税額が一定額以上なら、7月・11月に予定納税も発生する点を先に確認する。
- 売掛金の入金予定と、外注費・仕入れ・家賃などの固定支出を同じ表に並べる。
「払えるか不安」な段階であれば、申告書を作る前に概算税額を出しておくと判断しやすくなります。確定申告の税額試算で所得税・住民税・社会保険料の目安を先に確認できます。
よくある質問
- 所得税の延納とは?
- 確定申告期限(3月15日)までに、納める所得税の2分の1以上を納付すれば、残りの納付を5月31日まで延ばせる制度です。一度にまとまった税金を払うのが難しいときに使えます(出典:国税庁)。
- 延納すると利息はかかりますか?
- 延納した期間に応じて「利子税」がかかります。利率は年によって異なり、令和8年分は年1.3%です。延滞税(期限に遅れた場合のペナルティ)とは違い、正規の手続きによる利息です(出典:国税庁・財務省)。
- 延納の手続きはどうしますか?
- 確定申告書の「延納の届出」欄に、延納する金額(納める税額の2分の1以下)を記入します。3月15日までに残りの2分の1以上を納付しておく必要があります(出典:国税庁)。
まとめ
- 所得税の延納は、3月15日までに2分の1以上を納めれば、残りを5月31日まで延ばせる。
- 延納期間中は利子税がかかる(利率は年によって異なる)。
- 確定申告書の延納の届出欄に金額を記入するだけで使える。
- 住民税・個人事業税・国保などは別の支払いなので、年間資金繰りも一緒に見る。
- 5月末にも納付が難しいなら、納税の猶予など別制度を確認する。
納付方法は納付方法、もっと納税が難しいときは納税の猶予を参照してください。税額の目安は確定申告の税額試算で確認できます。
公式一次情報
- 国税庁「手順5 延納の届出」(納める税金の2分の1以上を3月15日までに納付すれば残りを5月31日まで延納可、延納期間中は年7.3%と利子税特例基準割合のいずれか低い割合で利子税がかかる)
- e-Gov法令検索「所得税法」(第131条3項:延納税額に対し延納期間の日数に応じ年7.3%の割合を乗じて計算した金額の利子税を課すと規定)
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」(第93条:各年の利子税特例基準割合が年7.3%に満たない場合は、その年はその特例基準割合を適用すると規定)
- 財務省「延滞税・利子税・還付加算金について」(令和8年分の利子税特例基準割合は年1.3%、令和7年分は年0.9%と告示)
- e-Gov法令検索「国税通則法」(第119条4項:附帯税〈利子税を含む〉の確定金額は100円未満の端数を切り捨て、全額が1,000円未満のときはその全額を切り捨てると規定)