ガイド

合同会社から株式会社への組織変更|手続き・費用(登録免許税・官報公告)

会社法上の組織変更の要件、債権者保護手続き(官報公告・催告)、登録免許税の金額を、法務省・国税庁の一次情報で整理します。

2026年時点の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

合同会社を株式会社にする「組織変更」は、会社をいったん解散して新設するのではなく、同じ法人格を保ったまま形だけを変える手続きです(会社法743条・747条)。総社員の同意、債権者保護手続き、登記の3段階を、費用と一緒に確認します。

組織変更の要件

合同会社が組織変更をするには、組織変更計画を作成し、効力発生日の前日までに総社員の同意を得る必要があります(会社法746条・781条1項)。定款に別段の定めがある場合はその定めに従います。

組織変更計画で定める主な事項内容
組織変更後の株式会社の基本事項目的・商号・本店所在地・発行可能株式総数、定款で定める事項
役員組織変更後株式会社の取締役の氏名(監査役設置会社等なら監査役の氏名等も)
持分から株式への割当て社員が取得する株式の数(または算定方法)と割当てに関する事項
効力発生日組織変更の効力が生じる日

効力発生日に合同会社は株式会社となり、総社員の同意で定めた定款事項どおりに定款変更があったものとみなされ、社員は割り当てられた株式の株主になります(会社法747条1項〜3項)。

債権者保護手続き(官報公告・催告)

組織変更をする合同会社は、官報に公告し、かつ知れている債権者には個別に催告しなければなりません(会社法779条・781条2項)。異議申述期間は1か月を下ることができません。

  • 公告事項:組織変更をする旨、債権者が一定期間内に異議を述べることができる旨。株式会社が組織変更する場合と異なり、合同会社の場合は計算書類に関する事項の公告は不要です(会社法781条2項が779条2項2号の適用を除外)。
  • 催告の省略:官報公告に加えて、定款の定めに従い日刊新聞紙または電子公告でも公告したときは、知れている債権者への個別の催告を省略できます(会社法781条2項・779条3項)。合名会社・合資会社は各別の催告を省略できませんが、合同会社は省略できる点が異なります(法務局公式の申請書記載例による)。
  • 異議があったとき:期間内に異議を述べた債権者には、弁済・相当の担保提供・信託のいずれかで対応します。組織変更をしてもその債権者を害するおそれがないときは対応不要です(会社法779条5項)。
登記時の添付書類:公告及び催告をしたことを証する書面(官報の写し・催告書の控え等)が必要です。異議を述べた債権者がいない場合は、申請書に「異議を述べた債権者はない」と記載すれば足り、上申書の添付は不要です(法務局公式の申請書記載例による)。

登録免許税はいくらか

組織変更による株式会社の設立登記の登録免許税は、資本金の額の1,000分の1.5(組織変更の直前の資本金の額を超える部分は1,000分の7)で、税額が3万円に満たないときは3万円です(国税庁タックスアンサーNo.7191、法務局公式の申請書記載例で確認)。資本金を増やさずに組織変更するマイクロ法人では、多くの場合この最低額3万円が適用されます。

あわせて、組織変更前の合同会社の解散登記の登録免許税は一律3万円で、添付書類は不要です(法務局公式の申請書記載例による)。合計すると、資本金を増やさない一般的なケースの登録免許税は最低6万円(設立分3万円+解散分3万円)になります。

登記登録免許税
組織変更による株式会社の設立登記資本金の額×1,000分の1.5(直前資本金超過分は1,000分の7)、最低3万円
組織変更による合同会社の解散登記一律3万円

なお、合同会社を組織変更する場合、直前の資本金の額は登記事項から明らかであるため「資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面」の添付は不要です(合名会社・合資会社の組織変更では必要)。

官報公告の掲載料金

官報公告の掲載料金は全国官報販売協同組合が公表しています。決算公告と同じ「会社等(特殊法人・地方公共団体以外)の各種公告」の枠が適用され、1行あたり本体3,589円・税込3,947円で、1行は22文字詰めとされています。組織変更公告に専用の料金区分はなく、掲載する行数(公告の文字数)で総額が決まります。

公告文には「組織変更をする旨」と「債権者が一定期間内に異議を述べることができる旨」を記載します。文面が長くなるほど行数・費用が増えるため、必要事項を過不足なくまとめることが費用面でも実務上のポイントです。

効力発生から登記までの流れ

手続きタイミング・期限
組織変更計画の作成・総社員の同意効力発生日の前日まで
官報公告・催告異議申述期間は1か月以上確保
効力発生(合同会社→株式会社)組織変更計画で定めた効力発生日
設立登記・解散登記効力発生日から2週間以内(会社法920条)

設立登記と解散登記は同一の法務局・支局へ同時に申請します(法務局公式の申請書記載例では、解散登記申請書に「組織変更による株式会社の設立の登記申請書と同時に提出してください」との注記があります)。登記記録には、株式会社側に「合同会社を組織変更し設立」、合同会社側に「株式会社に組織変更し解散」という趣旨の登記事項が記録されます。

よくある質問

組織変更で会社の法人格は変わりますか?
変わりません。会社をいったん解散して新しい会社を作るのではなく、同じ法人格のまま合同会社から株式会社になります(会社法747条1項)。契約・許認可の扱いは、解散を伴う場合と異なる可能性があるため、取引先や許認可の窓口へ個別に確認してください。
官報公告を省略する方法はありますか?
官報公告そのものは省略できません。ただし定款の定めに従い官報に加えて日刊新聞紙または電子公告でも公告した場合は、知れている債権者への個別の催告を省略できます(会社法781条2項・779条3項)。
登録免許税はいくらかかりますか?
資本金を増やさない場合、設立登記分の登録免許税は最低3万円、解散登記分は一律3万円で、合計最低6万円です(国税庁タックスアンサーNo.7191、法務局公式の申請書記載例による)。資本金を組織変更にあわせて増額する場合は、直前資本金を超える部分に1,000分の7の税率がかかります。

合同会社と株式会社を先に比較する

組織変更を検討する前に、設立費用・公告義務・任期など制度上の違いを確認しておくと、組織変更後の運用イメージがつかみやすくなります。

公式情報

本記事について。税理士監修前の概算です。個別の資本金額や定款の定め、公告文の分量によって税額・費用は変わります。実際の手続きは法務局・司法書士・税理士へご確認ください。