決算公告とは?株式会社の義務・公告方法・過料|合同会社は不要
会社法440条が定める貸借対照表の公告義務と、官報・日刊新聞紙・電子公告の3つの方法、費用と過料の根拠を整理します。
法人化(法人成り)決算公告とは、株式会社が毎年の決算内容を外部へ知らせる会社法上の手続きです。会社法440条1項は、株式会社は定時株主総会の終結後遅滞なく貸借対照表を公告しなければならないと定めています(大会社は損益計算書も対象です)。
法人化を検討している人にとっては、株式会社を選ぶと毎年発生し、合同会社を選ぶと発生しない手続きという違いがあります。本記事では義務の範囲・方法・費用・怠った場合の扱いを、条文と公式資料で確認します。
誰に義務があるか(合同会社は対象外)
会社法440条1項の主語は「株式会社は」であり、持分会社である合同会社はこの条文の対象に含まれていません。合同会社を選んだ場合、毎年の決算公告とその掲載費用は発生しません。
ただし株式会社でも例外があります。会社法440条4項は、金融商品取引法24条1項により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社について、440条1項から3項までを適用しないと定めています。
公告する内容は、大会社以外の株式会社なら貸借対照表、大会社なら貸借対照表と損益計算書です。会社形態の選び方は合同会社と株式会社の違いで比較しています。
公告方法は官報・日刊新聞紙・電子公告の3つ
会社法939条1項は、会社の公告方法として1号「官報に掲載する方法」、2号「時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法」、3号「電子公告」の3つを定めています。定款で公告方法を定めていない会社の公告方法は、939条4項により官報に掲載する方法になります。
公告方法が官報または日刊新聞紙の場合、会社法440条2項により貸借対照表の要旨を公告すれば足ります。一方で電子公告を公告方法にしている会社は扱いが異なります。
法務省は電子公告制度の説明で、電子公告を公告方法とする会社等が決算公告をする場合には、官報または日刊新聞紙により決算公告をする場合と異なり、要旨の公告をすることはできず必ず全文を公告しなければならないとしています。あわせて決算公告は、他の公告事項と異なり電子公告調査機関の電子公告調査を受けることを要しないとも説明しています。
自社サイトへの5年間掲載という選択肢
会社法440条3項は、貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後5年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができるとしています。この措置をとった場合、440条1項・2項は適用されません。
実務上は自社ウェブサイトに貸借対照表を掲載し続ける形が該当します。定款の公告方法を官報のままにしていても選べる点が、公告方法そのものを電子公告に変更する場合との違いです。
ただし5年間の継続掲載が条件になるため、サイトの移転・閉鎖やURLの変更で掲載が途切れないよう管理する必要があります。
官報に載せる場合の掲載料金
官報公告の掲載料金は全国官報販売協同組合が公表しています。会社等(特殊法人・地方公共団体以外)の各種公告は1行あたり本体3,589円・税込3,947円で、1行は22文字詰めとされています。
料金は「本体価格×行(枠)数+消費税(端数切捨)」で計算され、同組合の例では10行で39,479円、20行で78,958円、30行で118,437円となっています。決算公告専用の料金区分はなく、掲載する行数で決まる仕組みです。
- 貸借対照表の要旨でも行数に応じた掲載料がかかり、毎年発生する固定費になる。
- 会社法440条3項の措置(自社サイトへの5年間掲載)を選べば、この掲載料はかからない。
- 掲載までに日数を要するため、定時株主総会の日程から逆算して申し込む必要がある。
怠った場合は100万円以下の過料の対象
会社法976条は、取締役・執行役・清算人などが一定の行為をした場合に100万円以下の過料に処すると定めています。同条2号は「この法律の規定による公告若しくは通知をすることを怠ったとき、又は不正の公告若しくは通知をしたとき」を対象に挙げています。
過料は刑事罰ではなく行政上の秩序罰で、会社ではなく役員個人に科される点が特徴です。決算公告を長年していない株式会社は実務上多いとされますが、条文上は過料の対象になります。
法人の決算と申告そのものの流れは法人の決算・申告、設立時に決める事項の全体像は法人化の手続きで解説しています。
まとめ
- 会社法440条1項により、株式会社は定時株主総会の終結後遅滞なく貸借対照表を公告する義務がある(大会社は損益計算書も)。
- 440条1項の主語は「株式会社は」であり、合同会社は対象外。有価証券報告書提出会社も440条4項で適用除外。
- 公告方法は939条1項で官報・日刊新聞紙・電子公告の3つ。定款に定めがなければ官報になる(939条4項)。
- 440条3項により、自社サイト等へ定時株主総会終結の日後5年を経過する日まで掲載し続ける措置も選べる。
- 官報の掲載料金は会社等の各種公告で1行(22文字詰め)税込3,947円。
- 公告を怠った場合は会社法976条2号により100万円以下の過料の対象。
設立時の資本金額の決め方は法人設立時の資本金の決め方、法人化した場合の税負担は法人成りシミュレーターで確認できます。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法第440条(計算書類の公告)」(公告義務・要旨での公告・5年間の電磁的措置・適用除外)
- e-Gov法令検索「会社法第939条(会社の公告方法)」(官報・日刊新聞紙・電子公告の3方法、定めがない場合は官報)
- e-Gov法令検索「会社法第976条(過料に処すべき行為)」(100万円以下の過料、第2号の公告懈怠)
- 法務省「電子公告制度について」(決算公告は電子公告調査が不要、電子公告では全文公告が必要)
- 全国官報販売協同組合「官報公告掲載料金」(会社等の各種公告 1行本体3,589円・税込3,947円、22文字詰め)
よくある質問
- 合同会社にも決算公告の義務はありますか?
- 会社法440条1項は「株式会社は」と定めており、持分会社である合同会社は同条の対象に含まれていません(出典:e-Gov法令検索・会社法440条)。
- 決算公告の方法にはどんな選択肢がありますか?
- 会社法939条1項が官報・時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙・電子公告の3つを定めており、定款に定めがない場合は官報に掲載する方法になります(出典:e-Gov法令検索・会社法939条)。
- 自社のホームページに載せる方法でもよいのですか?
- 会社法440条3項は、貸借対照表の内容である情報を定時株主総会の終結の日後5年を経過する日まで継続して電磁的方法により提供する措置をとることができるとしており、この場合は同条1項・2項が適用されません(出典:e-Gov法令検索・会社法440条)。
- 決算公告をしないとどうなりますか?
- 会社法976条2号は、この法律の規定による公告を怠ったときを100万円以下の過料の対象として挙げています(出典:e-Gov法令検索・会社法976条)。