法人成りで外国人従業員の届出はどうなる|入管への届出(14日以内)とハローワークの外国人雇用状況届出
個人事業主が法人成りして、雇っている外国人の雇用主が個人から法人に変わるときの届出を、出入国在留管理庁とハローワークの公式資料で整理します。届出者・期限・在留資格ごとの違いを表にしています。
外国人雇用外国人を雇っている個人事業主が法人成りすると、雇用主が個人から法人に変わります。このとき必要になる届出は、出入国在留管理庁(入管)への届出と、ハローワークへの届出の2系統で、届出をする人も期限も違います。
入管への届出は、外国人本人が事由の発生から14日以内に行うのが基本で、事業主側の届出は在留資格と雇用保険の加入状況で分かれます。公式Q&Aには「個人事業主から法人」を直接の例にした項目がないため、この記事は合併・事業譲渡などの例示を読み替えて整理し、最後に確認先を示します。
届出は2系統:入管とハローワーク
| 届出 | 届出をする人 | 主な期限 |
|---|---|---|
| 所属(契約・活動)機関に関する届出 | 中長期在留者本人 | 事由の発生から14日以内 |
| 所属機関による届出 | 受け入れる企業等 | 外国人雇用状況の届出を出していれば不要 |
| 外国人雇用状況の届出 | 外国人を雇う全ての事業主 | 雇用保険の加入者は翌月10日まで(離職は翌日から10日以内)、加入しない人は雇入れ・離職とも翌月末日まで |
ハローワークへの外国人雇用状況の届出は、雇入れと離職のときに全ての事業主に義務づけられています。届出を怠ったり虚偽の届出をしたりした場合は、30万円以下の罰金の対象です(厚生労働省)。
入管への本人の届出(14日以内)
入管の本人届出は、在留資格によって2つに分かれます。どちらも期限は事由が生じた日から14日以内で、届出者は中長期在留者本人です。
| 区分 | 主な在留資格 | 届出の事由 |
|---|---|---|
| 契約機関の届出(入管法19条の16第2号) | 技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能、介護、研究、高度専門職1号イ・ロ など | 契約機関の名称変更、所在地変更、消滅、契約の終了、新たな契約の締結 |
| 活動機関の届出(入管法19条の16第1号) | 経営・管理、教授、企業内転勤、留学、技能実習、高度専門職1号ハ など | 活動機関の名称変更、所在地変更、消滅、離脱、移籍 |
届出は、出入国在留管理庁の電子届出システム、地方出入国在留管理官署の窓口、郵送のいずれかです。
契約の相手方が個人事業主の場合、届出書の機関の名称には、その個人事業主の氏名を書くとされています(入管Q&A)。法人成りでは、この「契約の相手方」が個人から法人に変わる点が出発点です。
個人から法人へ:労働契約が承継されるかで分かれる
入管のQ&Aは、契約機関が合併や事業譲渡で変わる場面について、原則として労働契約は承継されるので、その場合は消滅・名称変更・所在地変更の届出が必要としています。契約機関との労働契約が承継されない場合は、契約の終了と新たな契約の締結の届出が必要です。
活動機関の区分でも、合併や吸収で機関が消滅した場合は、消滅および新たな活動機関への移籍の届出が必要とされています。
- 法人成り後も、同じ労働契約が法人に引き継がれる扱いか
- 法人と外国人本人が、新しい雇用契約を結び直す扱いか
- 外国人本人が、経営・管理など活動機関の区分の在留資格か
どちらの届出が必要かは、法人成りの際に労働契約をどう扱うかで決まるため、契約の扱いを決めてから本人に届出の種類を伝えます。公式Q&Aに個人事業主から法人への例示はないため、届出の種類は地方出入国在留管理官署で確認してください。労働保険の引継ぎは法人成りの労働保険の引継ぎにあります。
事業主側の届出:入管とハローワークの関係
入管の「所属機関による届出」は、教授、経営・管理、研究、技術・人文知識・国際業務などの在留資格を持つ中長期在留者の受け入れを開始・終了したときに、企業が行う届出です。ただし、外国人雇用状況の届出を提出する義務のある機関は、その届出を出せば、入管へ所属機関による届出を出す必要はありません。
つまり、事業主はハローワークの届出を正しく出すことが基本で、入管の届出は外国人本人が別に行います。事業主が本人の届出を代わりに出すとは限らないため、本人にも14日以内の期限を伝えておく必要があります。
ハローワークの外国人雇用状況届出の期限
厚生労働省は、届出の方法を雇用保険被保険者になるかどうかで分けています。
| 区分 | 届出の書類 | 期限 |
|---|---|---|
| 雇用保険被保険者になる外国人 | 雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)または資格喪失届(様式第4号) | 雇入れは翌月10日まで、離職は翌日から起算して10日以内 |
| 雇用保険被保険者にならない外国人 | 外国人雇用状況届出書(様式第3号) | 雇入れ・離職とも翌月末日まで |
雇用保険の事業所番号を法人が引き継げるかは、雇用保険の事業所番号の解説で整理しています。引継ぎの扱いによって、出す届出書が変わります。
個人の事業所の離職と、法人での雇入れを、それぞれ届け出る扱いになるかは、管轄のハローワークで確認してください。電子申請は「外国人雇用状況届出システム」から行えます。
法人成りの前後でやる順序
- 外国人従業員の在留資格が、契約機関の区分か活動機関の区分かを、在留カードで確認する
- 法人成り後の労働契約を、引き継ぐのか結び直すのか決め、書面にする
- 外国人本人に、事由が生じた日から14日以内の届出が必要なことを伝え、必要な種類を入管に確認する
- 雇用保険の手続きとあわせて、ハローワークの外国人雇用状況の届出を出す
- 経営者本人が外国人で、経営・管理の在留資格を持つ場合は、活動機関の変更として本人の届出を確認する
まとめ
- 届出は、入管(本人、14日以内)とハローワーク(事業主、雇用保険の加入状況で期限が違う)の2系統
- 入管の本人届出は、在留資格により契約機関の区分と活動機関の区分に分かれる
- 法人成りでの届出の種類は、労働契約を承継するか結び直すかで変わる。公式Q&Aに直接の例示はない
- 外国人雇用状況の届出を怠ると、30万円以下の罰金の対象
公式一次情報
- 出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」(契約機関の区分の対象在留資格、届出事由、14日以内、本人が届出者であることを掲載。2026-10-09確認)
- 出入国在留管理庁「所属(活動)機関に関する届出」(活動機関の区分の対象在留資格、届出事由、14日以内を掲載。2026-10-09確認)
- 出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」(個人事業主が契約相手の場合の名称の書き方、合併・事業譲渡時の届出の種類、所属機関による届出と外国人雇用状況届出の関係を掲載。2026-10-09確認)
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(雇用保険被保険者かどうかによる届出書類と期限、30万円以下の罰金を掲載。2026-10-09確認)
よくある質問
- 法人成りしたら、外国人従業員は入管へ届出が必要ですか。
- 契約の相手方(雇用主)が個人から法人に変わるため、技術・人文知識・国際業務などの契約機関の区分では、契約機関の消滅・名称変更・契約の終了などの事由にあたる場合、本人が事由の発生から14日以内に届け出ます。どの事由にあたるかは労働契約の扱いで変わるため、入管に確認してください。
- 届出は事業主が代わりに出せますか。
- 入管の所属機関等に関する届出の届出者は、中長期在留者本人と定められています。事業主が出すのは、ハローワークの外国人雇用状況の届出です。
- ハローワークの届出と入管の所属機関による届出は両方必要ですか。
- 外国人雇用状況の届出を提出する義務のある機関は、その届出を出せば、入管へ所属機関による届出を出す必要はありません。
- 雇用保険に入らない外国人の届出期限はいつですか。
- 外国人雇用状況届出書(様式第3号)を、雇入れ・離職のどちらも翌月末日までに提出します。
- 経営者本人が外国人で、経営・管理の在留資格の場合はどうなりますか。
- 経営・管理は活動機関の区分で、活動機関の名称変更や移籍などの事由が生じた日から14日以内に、本人が届け出ます。法人成りで活動する機関が変わるときの届出の扱いは、入管に確認してください。