法人成りに伴う火災保険・地震保険の契約者変更(名義変更)
事務所や店舗の建物を個人から法人へ移す場合、火災保険・地震保険の契約者名義もあわせて確認が必要です。損害保険会社・財務省の公式案内にもとづいて整理します。
損害保険会社の制度個人事業のときに契約していた火災保険・地震保険は、建物や設備の所有者・使用者が変わると、契約者名義もあわせて見直す必要が出てきます。法人成りにともなって事業用の建物を個人から法人へ譲渡・賃貸する場合は、保険の契約者名義も個人から法人へ変更するかどうかを確認します。
建物を個人所有のまま法人が事業用に使う場合は、必ずしも契約者変更が必要とは限りません。この記事では、契約者変更の手続き方法と、地震保険を法人契約にできるかどうかを、損害保険会社の公式案内にもとづいて整理します。
名義変更が必要になる場面
法人成りで事業用の建物(事務所・店舗・倉庫等)を、現物出資・売買・賃貸のいずれかの方法で個人から法人へ移す場合があります。個人事業から法人への資産引継ぎで解説しているとおり、移す方法によって税務上の扱いが異なりますが、いずれの方法でも建物の所有者や使用者が変わる点は共通です。
火災保険・地震保険は、契約者(保険料を払う人)と、被保険者(保険の補償を受ける人、多くは建物の所有者)が誰かによって契約内容が決まっています。建物を法人へ譲渡した場合は所有者が法人に変わるため、契約者・被保険者の名義変更を検討する場面にあたります。
火災保険の契約者変更手続き
東京海上日動火災保険は、火災保険の契約者変更について、書面での手続きが必要で、契約している代理店へ連絡するとしています。
代理店の連絡先は、保険証券や更新の案内書類に記載されています。連絡先が分からない場合は、各社のカスタマーセンターに問い合わせて確認できます。契約している損保会社・代理店によって必要書類や手続きの詳細は異なるため、名義変更を検討する際は契約中の代理店へ直接確認するのが確実です。
地震保険は法人契約もできる(対象は居住用建物・家財)
東京海上日動火災保険は、地震保険について、契約者が「法人」でも「個人」でも契約できるとしています。財務省も、地震保険制度の対象を「居住の用に供する建物および家財」(マンション共用部分を含む)とし、工場・事務所専用の建物など住居として使用されない建物は対象外としています。
地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯する方式で契約します(財務省)。すでに火災保険を契約している場合は、契約期間の途中からでも地震保険に加入できます。
建物を個人所有のまま法人が使う場合
建物を法人へ譲渡・現物出資せず、個人所有のまま法人へ賃貸する場合、建物の所有者は引き続き個人のままです。東京海上日動火災保険は、保険契約者と建物所有者が異なる場合、建物や家財等の所有者が補償を受ける方になるとしており、契約者と所有者(被保険者)が別人であること自体は制度上想定されています。この点から、賃貸のケースでは契約者名義を法人へ変更する必要が必ずしもあるとは限らないと整理できますが、これは本記事の編集部による一般的な仕組みからの解釈であり、個別の契約可否は契約している損保会社・代理店にご確認ください。
また、法人が建物を借りて使う場合、法人側で別途、什器備品や在庫等の動産、あるいは借家人賠償責任保険などを検討する場面が出てきます。
まとめ
- 建物を個人から法人へ譲渡・現物出資する場合、火災保険・地震保険の契約者名義の見直しを検討する。
- 火災保険の契約者変更は書面手続きが必要で、契約している代理店へ連絡する。
- 地震保険は契約者を法人にすることもできるが、補償対象は居住用建物・生活用動産に限られる。
- 建物を個人所有のまま法人へ賃貸する場合は、契約者名義の変更が必ずしも必要とは限らない。
資産の移し方(現物出資・売買・賃貸)ごとの税務上の扱いは個人事業から法人への資産引継ぎを参照してください。建物の取得資金として個人名義の借入金が残っている場合は法人成りで個人名義の借入金はどうなるかも確認してください。
公式一次情報
- 東京海上日動火災保険「【火災保険】契約者を変更したいのですが、手続き方法について教えてください。」(契約者変更は書面手続きが必要、契約代理店への連絡を案内。2026-09-15確認)
- 東京海上日動火災保険「【地震保険】契約者を会社(法人)とすることはできますか?」(地震保険は法人・個人いずれでも契約可能、対象は居住用建物・生活用動産に限定。2026-09-15確認)
- 財務省「地震保険制度の概要」(対象は居住の用に供する建物・家財、工場・事務所専用の建物は対象外、火災保険に付帯する契約方式。2026-09-15確認)
- 東京海上日動火災保険「【火災保険】保険契約者と建物所有者が異なる場合、保険金はどちらに支払われますか?」(建物や家財等の所有者が補償を受ける方になり、契約者と所有者が別人であること自体は制度上想定されていることを掲載。2026-09-15確認)
よくある質問
- 法人成りしたら火災保険の契約者名義を必ず変更しますか?
- 建物を個人から法人へ譲渡・現物出資する場合は、所有者が変わるため契約者名義の見直しを検討します。建物を個人所有のまま法人へ賃貸する場合は、契約者と所有者(被保険者)が別人であること自体は制度上想定されており(出典:東京海上日動火災保険)、必ずしも名義変更が必要とは限りませんが、この整理は編集部による解釈のため個別の契約可否は損保会社にご確認ください。
- 火災保険の契約者変更はどこに連絡しますか?
- 契約している損保会社の代理店へ連絡します。手続きは書面で行うのが一般的です。代理店の連絡先は保険証券や更新案内書類に記載されています(出典:東京海上日動火災保険)。
- 地震保険の契約者を法人にできますか?
- できます。東京海上日動火災保険は、地震保険の契約者を法人・個人どちらでも設定できるとしています。ただし補償対象は居住用建物・生活用動産に限られ、業務用の建物・設備・商品は対象外です(出典:東京海上日動火災保険)。