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法人の損害保険料の経理|短期前払と長期契約の積立保険料

会社が火災保険・賠償責任保険などの損害保険料を払ったとき、いつの事業年度の損金になるかを、保険期間と満期返戻金の有無で分けて整理します。

国税庁の法人税基本通達にもとづく
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

法人が払う損害保険料の扱いは、保険期間が3年以上で、満期返戻金を支払う定めがあるかどうかで分かれます。定めがあれば、保険料のうち積立保険料の部分は資産に計上し、残りは期間の経過に応じて損金にします。定めがない1年契約などの掛け捨ては、短期の前払費用の取扱いを使えるかが論点です。

このページは法人税の話です。個人事業主の年払いの保険料などは個人事業主の短期前払費用の特例を見てください。

契約の型ごとの経理

契約の型法人税での扱い根拠
保険期間が1年以内の掛け捨て(火災・賠償責任・自動車など)未経過分は前払費用が原則。支払日から1年以内に提供を受ける分は、継続して支払った事業年度の損金にする方法を認める法人税基本通達2-2-14
保険期間3年以上で、満期返戻金を支払う定めのある長期契約積立保険料に相当する部分は資産に計上し、その他の部分は期間の経過に応じて損金にする法人税基本通達9-3-9
借りている建物に長期契約を掛け、法人が契約者・所有者が被保険者9-3-9と同じ(積立部分は資産計上)法人税基本通達9-3-10(1)
借りている建物に長期契約を掛け、所有者が契約者・被保険者保険料の全部を建物の賃借料とする法人税基本通達9-3-10(2)
役員・使用人の建物に長期契約を掛け、法人が契約者積立部分は資産計上、その他の部分は役員・使用人への給与(所得税で課税されない経済的利益を除く)法人税基本通達9-3-11(1)
役員・使用人が契約者・被保険者保険料の全部が役員・使用人への給与法人税基本通達9-3-11(2)

契約者や名義の変更は法人成りに伴う火災保険・地震保険の契約者変更、保険料の消費税は保険料の消費税の扱いを見てください。

1年以内の保険料と短期前払費用

前払費用は、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために払った費用のうち、事業年度の終わりにまだ提供を受けていない分です。原則として、その事業年度の損金にはなりません。

ただし通達2-2-14は、支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係る前払費用を、支払った額のとおり、継続して支払った日の属する事業年度の損金にしているときは、これを認めるとしています。1年を超える期間に対応する部分は、この取扱いの対象ではありません。

通達の注には、借入金を預金や有価証券で運用する場合の支払利子のように、収益と対応させる必要があるものは、この取扱いの対象外とあります。

長期の損害保険契約の積立保険料

通達9-3-9の「長期の損害保険契約」は、保険期間が3年以上で、保険期間の満了後に満期返戻金を支払う定めのある損害保険契約です。これに類する共済の契約も含みます。

  • 積立保険料に相当する部分:保険期間の満了、または契約の解除・失効の時まで、資産に計上します。
  • その他の部分:期間の経過に応じて損金にします。
  • 2つの部分の分け方:保険料払込案内書や保険証券の添付書類などで区分されているところによります(9-3-9の注)。
保険事故があっても、積立部分はすぐには損金になりません:保険事故が起きて保険金を受け取っても、契約が失効しないときは、資産に計上した積立保険料は損金に入らないとされています(9-3-12)。

満期返戻金のない長期の掛け捨て契約は、9-3-9の定義(満期返戻金を支払う定め)に当てはまりません。この場合、1年を超える期間に対応する保険料は前払費用の原則で見ることになります。契約の内容は証券と払込案内書で確認してください。

借りている建物・役員の建物に掛けた場合

建物の所有者が会社でないときは、契約者と被保険者の組み合わせで扱いが変わります(9-3-10、9-3-11)。

  • 賃借している建物で、法人が契約者・所有者が被保険者なら、9-3-9と同じに処理します。所有者が契約者かつ被保険者なら、保険料の全部を建物の賃借料にします。
  • 役員・使用人の建物に法人が契約者として掛けた場合、積立部分は資産に計上し、その他の部分はその役員・使用人への給与になります。
  • 役員・使用人が契約者かつ被保険者なら、保険料の全額がその人への給与です。

社宅や、役員の自宅を会社名義で保険に付す場合は、給与になる部分が出ないかを確認してください。社宅の考え方は役員社宅のガイドにあります。

計算例

数字は仮の例です。実際の金額は保険証券と払込案内書で確認します。

例1:1年契約の火災保険。3月決算の会社が、11月1日に1年分(11月1日から翌年10月31日)の保険料120,000円を払ったとします。

方法当期の損金期末の前払費用
原則(期間按分)50,000円(120,000円×5か月÷12か月)70,000円
短期前払費用の取扱いを継続して使う120,000円0円

例2:5年契約で満期返戻金がある長期火災保険。5年分の保険料を一括で500,000円払い、払込案内書で積立保険料が300,000円、その他が200,000円と区分されているとします。

項目扱い
積立保険料300,000円資産に計上し、満期・解除・失効まで損金にしない
その他の部分200,000円5年で損金にする(1年あたり40,000円)

公式一次情報

確認日は2026年10月22日です。

次に知りたいこと

よくある質問

1年契約の火災保険料は、払った年に全額損金にできますか?
原則は期間の経過で按分し、未経過分は前払費用です。支払日から1年以内に提供を受ける分は、継続して支払った事業年度の損金にする取扱いが認められています(法人税基本通達2-2-14)。
3年以上の長期火災保険は、すべて積立部分を資産にしますか?
満期返戻金を支払う定めのある契約の積立保険料に相当する部分が対象です(9-3-9)。満期返戻金のない契約は、この定義に当てはまりません。
積立保険料と、その他の部分はどう分けますか?
保険料払込案内書や保険証券の添付書類などで区分されているところによります(9-3-9の注)。
保険事故で保険金をもらったら、積立部分は損金になりますか?
契約が失効しないときは、保険金の支払を受けても積立部分は損金に入りません(9-3-12)。
役員の自宅に会社の保険を掛けると、給与になりますか?
法人が契約者で役員が被保険者なら、積立部分は資産に計上し、その他の部分は役員への給与です。役員が契約者かつ被保険者なら全額が給与です(9-3-11)。
本記事について。税理士の監修前の概説です。保険契約の内容によって処理が変わるため、実際の経理は税理士にご相談ください。
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典