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法人の決算整理仕訳|未払費用・前払費用・減価償却・棚卸

決算の前に、帳簿を事業年度末の実態に合わせる仕訳が決算整理です。損金に入れるための条件と仕訳の考え方を、5項目で見ていきます。

条文・通達で確認済み
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

結論から書くと、決算整理は、期中の記帳では反映しきれない「期間のずれ」と「見積り」を事業年度末に合わせる作業です。主な項目は、未払費用、前払費用、減価償却、棚卸、法人税等(納税充当金)の5つ。税務では、仕訳をしたかどうかに加えて、損金に入れるための要件を満たすかが結果を左右します。

決算整理仕訳の一覧

勘定科目の名前は会社ごとに違ってよく、ここでは一般的な呼び方を使います。

項目仕訳の考え方(一例)税務の確認点
未払費用(借)費用 /(貸)未払費用債務確定の3要件(法人税基本通達2-2-12)
前払費用(借)前払費用 /(貸)費用1年以内の短期の特例(同2-2-14)
減価償却(借)減価償却費 /(貸)減価償却累計額など損金経理した金額が限度(法人税法第31条)
棚卸期首棚卸高と期末棚卸高を売上原価に反映評価の方法の選定(法人税法第29条)
法人税等(借)法人税、住民税及び事業税 /(貸)未払法人税等法人税・住民税は損金不算入(法人税法第38条)
ポイント:会計上の仕訳と、税務上の損金は一致するとは限りません。差が出る項目は、申告書の別表で加算・減算して調整します。申告の全体は法人の決算と申告で整理しています。

未払費用:債務確定の3要件

当期に使ったサービスの代金で、期末までに請求書が来ていない、または支払っていないものを、費用として計上するのが未払費用です。税務で当期の損金にするには、期末までに債務が確定している必要があり、法人税基本通達2-2-12は次の3要件を全て満たすこととしています。

  1. 債務の成立:その費用に係る債務が、事業年度終了の日までに成立していること。
  2. 給付の原因となる事実の発生:その債務に基づいて、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
  3. 金額の合理的な算定:事業年度終了の日までに、金額を合理的に算定できること。

例えば、当月分の給与や家賃を翌月に払う場合、期末までに働いた分・借りた分は3要件を満たすのが通常です。逆に、まだ契約も成立していない費用や、金額が見積れない費用は、費用に計上しても損金にならないことがあります。

前払費用:短期の特例

前払費用は、継続的な役務の提供を受けるために支払った費用のうち、期末にまだ提供を受けていない分です。原則は、当期の損金に算入されません(法人税基本通達2-2-14)。

ただし、支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係る前払費用を、継続して支払った日の属する事業年度の損金にしている場合は、それを認めると定められています。毎期同じ処理を続けることが条件です。損害保険料への当てはめは法人の損害保険料の経理を見てください。

家賃・リース料の払い方ごとの取扱いは法人の短期前払費用の特例にまとめています。

注意:借入金の利子を、預金や有価証券の運用に回す場合の支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものは、この特例の対象外とされています(同通達の注)。

減価償却:損金経理が要る

減価償却費は、法人が確定した決算で費用として経理した金額(損金経理)が、損金算入の出発点です。法人税法第31条は、損金に算入できる金額を、損金経理をした金額のうち、政令で定める償却の方法で計算した償却限度額までとしています。

  • 償却費を帳簿に計上しない期は、税務上も償却費を損金にできません。
  • 償却限度額を超えて計上した分は、申告書で加算します。
  • 償却の方法の選び方や届出は、減価償却の方法と届出で確認できます。
  • 10万円未満など少額の資産の扱いは法人の少額減価償却資産を参照してください。

棚卸:期末の在庫の評価

商品や製品などの棚卸資産は、期末に数量を数え、評価額を決め、売上原価に反映します。法人税法第29条は、売上原価等を計算する基礎になる期末棚卸資産の評価額を、法人が選定した評価の方法で算定すると定めています。評価の方法の選び方は、法人税法施行令第28条に定めがあります。

仕訳の流れは、期首の在庫を仕入に振り替え、期末の在庫を仕入から控除する形が一般的です。評価の方法を選んだ届出や変更の手続きは、別のガイドで扱っています。

法人税等と納税充当金

決算では、当期の利益に対する法人税・住民税・事業税を見積り、費用として計上します。未払の税額は、貸方に未払法人税等、または納税充当金として計上するのが一般的です。

ただし、税務上は取扱いが分かれます。

  • 法人税・地方法人税:納付する額は損金の額に算入しません(法人税法第38条第1項)。
  • 道府県民税・市町村民税:同じく損金に算入しません(同条第2項)。
  • 事業税:損金に算入できます。申告納税方式の租税は、原則として納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金です(法人税基本通達9-5-1)。

決算書に載せた法人税等のうち、損金にならない部分は、申告書で加算して調整します。

よくある質問

前払費用は必ず資産に計上しますか?
原則は損金に算入されないため、前払費用として資産に計上します。ただし、1年以内に提供を受ける役務について、支払時の事業年度の損金に継続して算入しているときは、それが認められます(法人税基本通達2-2-14)。
減価償却を休んで赤字を避けたいときは?
償却費は、損金経理した金額が損金算入の出発点です。計上しなければ、その期の損金にはなりません(法人税法第31条)。
未払費用に計上できない費用はありますか?
債務の成立、給付の原因となる事実の発生、金額の合理的な算定の3つを、期末までに満たしていない費用は、損金に算入できません(法人税基本通達2-2-12)。
住民税は経費になりますか?
法人の道府県民税・市町村民税は、損金に算入されません(法人税法第38条第2項)。事業税は損金に算入できます。

決算で出す書類を確認する

整理した数字は、決算書と申告書にまとまります。書類の種類と見方はこちらです。

前期の計上漏れや誤りが決算後に見つかったときの扱いは、前期の計上漏れ・誤りに気づいたときで確認できます。

公式情報

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本記事について。税理士監修前の一般的な整理です。仕訳の勘定科目は一例で、実際の処理は会社の会計方針と事実関係で変わります。決算の前に顧問税理士へ確認してください。

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