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減価償却資産の償却方法の届出書|法人成りで定額法を続けるための期限と法定償却方法

個人は定額法、法人は定率法という法定償却方法の違い、届出の期限、方法を選べない資産、変更の承認申請を法人税法施行令で整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

償却方法を届け出ていない個人事業主は、車や備品を定額法で償却しています。個人の法定償却方法が定額法だからです。ところが法人の法定償却方法は、車両や器具備品などでは定率法です。

法人成りした会社が何も届け出なければ、会社が持つ車両や備品は定率法で償却することになります。会社でも定額法を使いたいなら、第1期の申告期限までに償却方法の届出が必要です。どの資産が対象か、期限はいつかを法人税法施行令で確認します。

個人と法人で法定償却方法が違う

償却方法を届け出なかったときに使う方法(法定償却方法)は、個人と法人で逆になっています。平成19年4月1日以後に取得した、定額法と定率法を選べる資産の場合です。

届け出なかった場合の方法根拠
個人事業主定額法所得税法施行令125条2号イ
法人定率法法人税法施行令53条2号イ

個人事業のときに届出なしで定額法だった人も、会社では届け出なければ定率法になります。どちらになるかで各期の償却費の額が変わり、第1期以降の利益の出方も変わります。償却の計算そのものは減価償却の基本で解説しています。

届出の対象になる資産・ならない資産

平成19年4月1日以後に取得した資産について、方法を選べるかどうかは資産の種類で決まっています(法人税法施行令48条の2第1項)。

資産償却方法
機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具・器具及び備品定額法か定率法を選ぶ(2号)
建物定額法のみ(1号ロ)
建物附属設備・構築物(平成28年4月1日以後取得)定額法のみ(1号ロ)
無形固定資産(鉱業権・貯留権などを除く)、生物定額法のみ(4号)

方法が1つに決まっている資産は、償却方法の届出の対象外です。(法人税法施行令51条2項ただし書)。鉱業用の資産やリース資産は別の区分があるため、この表では扱っていません。

設立したばかりの会社が取得する建物・建物附属設備・構築物は、いずれも定額法しかありません。法人成りで届出を検討する中心は、事業用の車両、パソコンや什器などの器具備品、機械装置です。

届出の期限(設立第1期の申告期限)

新たに設立した法人は、設立の日を含む事業年度(第1期)の確定申告書の提出期限までに、資産の区分ごとに償却方法を書面で納税地の所轄税務署長へ届け出ます。第1期に仮決算による中間申告書を出す場合は、その中間申告書の提出期限までです(法人税法施行令51条2項1号)。

期限を過ぎると、選べる資産には法定償却方法の定率法が適用されます(同令53条2号イ)。第1期の申告期限は決算月で決まるため、法人の決算・確定申告もあわせて確認してください。

法人成りで引き継いだ資産の考え方

個人事業で使っていた車や備品を会社へ移すと、その資産は会社が持つ減価償却資産になり、会社の償却方法で償却します。個人事業のときの償却方法は、個人の所得税の手続きの中で決まっていたもので、会社の償却方法は法人税法施行令51条2項1号の届出で決まります。

  • 会社でも定額法にしたい:第1期の申告期限までに、車両・器具備品などの区分ごとに定額法を届け出る。
  • 定率法でよい:届け出なければ定率法になる(法定償却方法)。

資産を会社へ移す方法(売買・現物出資・賃貸)と、そのときの個人側の税金は個人事業から法人への資産引継ぎで整理しています。取得価額が少額の備品は少額減価償却資産の特例で一括で経費にできる場合もあります。

あとから償却方法を変えるとき

いったん決まった償却方法(届け出ずに法定償却方法になっている場合を含む)を変えるには、所轄税務署長の承認が必要です(法人税法施行令52条1項)。

  • 申請の期限:新しい方法を使い始めたい事業年度の開始の日の前日まで(同条2項)。
  • 却下されることがある:今の方法を使い始めてから相当期間を経過していないときなどは、申請が却下されることがあります(同条3項)。
  • みなし承認:その事業年度の終了の日(中間申告書を提出すべき法人は、事業年度開始の日以後6月を経過した日の前日)までに承認・却下の処分がなければ、承認があったものとみなされます(同条5項)。

第1期の申告期限までに届出を出しておけば、承認申請を経ずに希望の方法から始められます。

まとめ

  • 届け出なかった場合の償却方法は、個人は定額法、法人は定率法(車両・器具備品・機械装置など選べる資産)。
  • 建物、平成28年4月1日以後取得の建物附属設備・構築物、無形固定資産は定額法のみで届出の対象外。
  • 新たに設立した法人は、第1期の確定申告書の提出期限までに資産の区分ごとに届け出る。
  • 会社でも定額法を続けたいなら、この期限までに定額法を届け出る。
  • 変更は承認申請が必要で、新しい方法を使う事業年度の開始の日の前日までに出す。

在庫を持つ事業なら、同じく第1期の申告期限までに出す棚卸資産の評価方法の届出書もあります。法人成り全体の流れは法人成りの手順ガイドを参照してください。

公式一次情報

よくある質問

減価償却資産の償却方法の届出はいつまでに出しますか?
新たに設立した法人は、設立の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までです。仮決算による中間申告書を出す場合は、その提出期限までになります(法人税法施行令51条2項1号)。
届出を出さないとどうなりますか?
車両や器具備品など定額法と定率法を選べる資産は、法人の法定償却方法である定率法で償却します(法人税法施行令53条2号イ)。
個人事業のときの定額法は会社でも続けられますか?
続けられます。ただし個人の定額法は届出なしの法定償却方法で、法人の法定償却方法は定率法です。会社で定額法を使うには、第1期の申告期限までに定額法を届け出てください。
本記事について。税理士監修前の概説です。償却方法の選択と届出の要否は個別に確認してください。