リース取引の法人税・消費税の扱い(所有権移転外リースの売買処理)
法人が車や複合機、パソコンをリースで使うとき、税務上は契約の中身で2つに分かれます。解約できず費用を実質的に負担する契約は売買扱い、それ以外は通常の賃貸借です。判定の基準から消費税の控除時期までを説明します。
法人税・消費税リース料を毎月の経費として払っていても、税務上は「買ったのと同じ」と扱われる契約があります。契約書に「リース」と書いてあるかどうかではなく、契約の中身で決まります。
途中で解約できず、リース料の合計が購入価額のおおむね90%を超えるような契約は、法人税法上のリース取引として売買があったものとされ、賃借人は資産を自分のものとして償却します。それ以外はオペレーティング・リースとして、支払った賃借料がそのまま損金になります。
法人税法上のリース取引の判定
法人税法64条の2第3項は、リース取引を次の2つの要件をどちらも満たす資産の賃貸借と定めています。
- 契約が、賃貸借期間の中途で解除できないもの、またはこれに準ずるものであること
- 賃借人が資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受でき、資産の使用に伴う費用を実質的に負担すべきこととされていること
国税庁タックスアンサーNo.5702によると、中途解約ができる契約でも、未経過期間のリース料のおおむね全部(原則90%以上)を払う定めなら、1つ目の要件に当たります。また、解約できない期間のリース料の合計が、その資産を取得するのに通常かかる価額のおおむね90%を超える場合は、2つ目の要件にも当たります(法人税法施行令131条の2第2項)。
この2つを満たすと、リース資産を貸主から借主へ引き渡した時に、売買があったものとして所得を計算します(法人税法64条の2第1項)。
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所有権移転外リース取引とは
売買扱いのリース取引のうち、国税庁タックスアンサーNo.5704が挙げる次のいずれにも当たらないものが、所有権移転外リース取引です。
- リース期間の終了時や途中で、資産が無償または名目的な対価で借主に譲渡される
- 終了後に、無償と変わらない名目的な再リース料で再リースをすることが定められている
- 借主に、著しく有利な価額で買い取る権利が与えられ、行使されることが確実と見込まれる
- 借主の特別な注文で作られた機械のように、借主だけが使うと見込まれる
- 貸主の資金を貸す金融機関が、借主の資金を受け入れて債務を引き受ける構造になっている
- リース期間が法定耐用年数に比べて相当短い(耐用年数の70%、10年以上の資産は60%に相当する年数を下回る)
最後の項目は、借主の法人税の負担を著しく軽減することになると認められるものに限ります。事務機器や車両の一般的なリースは、所有権移転外リース取引に当たる契約が多いです。
売買処理と償却(リース期間定額法)
所有権移転外リース取引では、借主はリース資産を自分の資産として、リース期間定額法で償却します(タックスアンサーNo.5702)。償却限度額は次の式です(No.5410)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 償却限度額 | リース資産の取得価額 ÷ リース期間の月数 × その事業年度のリース期間の月数 |
| 例 | 取得価額360万円、リース期間60か月なら、1年あたり72万円 |
所有権移転外リース取引のリース資産には、圧縮記帳、特別償却、少額の減価償却資産の損金算入(法人税法施行令133条)、一括償却資産の損金算入は使えません(No.5704)。取得価額が少額でも、少額の減価償却資産の特例の対象外です。
賃貸借処理が認められる場面
所有権移転外リース取引でも、実務では毎月のリース料を賃借料として経費に計上する処理がよく使われます。法人税法施行令131条の2第3項は、売買があったものとされたリース資産について、借主が賃借料などとして損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれるとしています。タックスアンサーNo.5702も同じ扱いを示しています。
つまり、賃借料で経費に計上しても、償却限度額の範囲で損金に算入されます。売買処理をしているかどうかは、帳簿の見た目と税務の判定を分けて考えます。
消費税でも、会計上賃貸借処理をしている借主は、リース料を支払う日の属する課税期間の課税仕入れにできます(次の章)。
オペレーティング・リースの損金算入
2つの要件のどちらかに当たらない賃貸借は、リース取引以外の賃貸借取引(オペレーティング・リース)です。国税庁タックスアンサーNo.5705によると、令和7年4月1日以後に開始する事業年度では、法人税法53条により、契約に基づき支払うこととされている金額のうち、その事業年度に債務が確定した部分を損金に算入します。
対象には、賃借のために要する費用や、事業の用に供するために直接要する費用も含まれます。ただし、固定資産の取得価額に含めるべき費用と、繰延資産となる費用は除かれます。事務所の礼金などは事務所の敷金・礼金・更新料の経理処理で確認できます。
この改正は、令和6年9月に公表された新しいリース会計基準への対応です。国税庁の改正概要では、新基準は令和9年4月1日以後に開始する事業年度の期首から適用され、令和7年4月1日以後開始の事業年度からの早期適用も認められるとされています。借主の会計処理が変わっても、オペレーティング・リースの支払賃借料は、引き続き賃貸借取引として損金になります。
消費税の仕入税額控除の時期
国税庁の質疑応答事例によると、所有権移転外ファイナンス・リース取引は、リース資産の引渡しを受けた日に資産の譲受けがあったものとして、仕入税額控除を計算します(消費税法基本通達11-3-2)。原則は、引渡しを受けた日の属する課税期間での一括控除です。
ただし、借主が会計上賃貸借処理をしていて、リース料を支払うべき日の属する課税期間の課税仕入れとして処理(分割控除)している場合は、それで差し支えありません。令和7年度の税制改正でリース譲渡の延払基準が廃止されましたが、借主が会計上賃貸借処理をできる場合は、引き続き分割控除してよいとされています。
一括控除と帳簿の処理が異なるときは、帳簿の摘要欄などにリース料総額を記載するか、計算の資料を保存します。リース契約でリース料のうち利子に当たる部分が区分表示されている場合、その部分は非課税で、課税仕入れになりません(タックスアンサーNo.6163)。インボイスの制度での取扱いは消費税の取引区分とあわせて確認すると整理しやすくなります。
まとめ
- 解約できず、リース料の合計が購入価額のおおむね90%を超える契約は、法人税法上のリース取引として売買扱いになる。
- 所有権移転外リース取引は、リース期間定額法で償却する。少額特例などは使えない。
- 賃借料として損金経理した金額は、償却費として損金経理した金額に含まれる。
- リース取引以外の賃貸借(オペレーティング・リース)は、債務が確定した賃借料を損金にする。
- 消費税は引渡し時の一括控除が原則で、会計上賃貸借処理をしている借主は分割控除でもよい。
公式一次情報
- 国税庁 タックスアンサー No.5702 リース取引についての取扱いの概要(判定要件・借主の処理。2026-10-13確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.5704 所有権移転外リース取引(意義・適用がない制度。2026-10-13確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.5705 賃貸借取引(オペレーティング・リース取引)(損金算入。2026-10-13確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法(リース期間定額法。2026-10-13確認)
- 法人税法 第53条・第64条の2(賃貸借取引に係る費用・リース取引。2026-10-13確認)
- 法人税法施行令 第131条の2(費用の実質的負担・賃借料の損金経理。2026-10-13確認)
- 国税庁 質疑応答事例 所有権移転外ファイナンス・リース取引の賃借人における仕入控除税額の計算(2026-10-13確認)
- 国税庁 質疑応答事例 賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い(分割控除。2026-10-13確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6163 リース取引についての消費税の取扱いの概要(2026-10-13確認)
- 国税庁 令和7年度 法人税関係法令の改正の概要(新リース会計基準に対応する改正)(2026-10-13確認)
よくある質問
- リース料は全額、毎月の経費にできますか?
- 所有権移転外リース取引でも、借主が賃借料として損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれます。償却限度額の範囲で損金に算入されます。
- どんなリースが売買扱いになりますか?
- 中途解約ができないか、解約時に未経過のリース料のおおむね全部を払う契約で、借主が費用を実質的に負担するものです。リース料の合計が購入価額のおおむね90%を超える場合は、費用を実質的に負担するものに当たります。
- 所有権移転外リースの資産に、少額減価償却資産の特例は使えますか?
- 使えません。圧縮記帳、特別償却、少額の減価償却資産、一括償却資産の損金算入は、所有権移転外リース取引のリース資産に適用がありません。
- オペレーティング・リースの賃借料は、いつ損金になりますか?
- 令和7年4月1日以後に開始する事業年度では、契約に基づき支払うこととされている金額のうち、その事業年度に債務が確定した部分が損金になります。
- リースの消費税は、いつ控除できますか?
- 原則は、リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間の一括控除です。会計上賃貸借処理をしている借主は、リース料を支払う日の属する課税期間で分割控除してもかまいません。
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