消費税の課税・非課税・不課税・免税の違い|取引の区分と具体例
課税・非課税・不課税・免税の4つの取引区分の意味と具体例です。
国税庁の制度消費税の帳簿や申告書では、取引を「課税」「非課税」「不課税」「免税」に分けます。名前が似ていますが、消費税がかかるかどうかと、仕入れにかかった消費税を引けるかどうかが違います。
この記事では、4つの区分の意味、よくある取引の例、区分によって仕入税額控除がどう変わるかを整理します。
4つの区分の違い(早見表)
| 区分 | 消費税がかかるか | 例 | その取引のための課税仕入れの消費税 |
|---|---|---|---|
| 課税 | かかる | 商品の販売、サービスの提供、事務所の賃貸 | 原則として控除できる |
| 不課税 | 課税の対象外 | 寄附金、補助金、宝くじの賞金、無償の取引 | 課税売上割合の計算には含めない |
| 非課税 | 課税の対象だが課税しない | 土地の譲渡・貸付け、預貯金の利子、住宅の貸付け | 原則として控除できない |
| 免税 | 課税の対象だが免除される | 商品の輸出、非居住者への一定のサービスの提供 | 原則として控除できる |
非課税と免税の違いは、その取引のために行った課税仕入れについて、仕入税額の控除ができるかどうかにあります(国税庁タックスアンサーNo.6205)。
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不課税:そもそも課税の対象にならない取引
国内の取引で課税の対象になるのは、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等です。このほか、保税地域から引き取る外国貨物の輸入も課税の対象です。国内の取引でこの条件のどれかを欠くものは、課税の対象になりません(国税庁タックスアンサーNo.6105)。
- 対価がない取引:無償で行われる取引は課税の対象外です。寄附金、補助金、宝くじの賞金も、一般的には対価とは認められないため、受け取っても原則として課税の対象になりません。
- 事業として行わない取引:給与所得者がたまたま自家用車を売却する行為は、事業として行う取引になりません。個人の中古車販売業者が行う中古車の販売は、事業として行う取引です。
- 国外で行われる取引:国外において行われる取引は課税の対象になりません。
保険金、損害賠償金、立退料などの受取金ごとの扱いは補助金・保険金・損害賠償金・立退料の消費税で整理しています。
注意点として、個人事業者が販売する商品を家庭で消費した場合や、法人が自社製品を役員に贈与した場合は、事業として対価を得て行われたものとみなされ、課税の対象になります。
非課税:対象だが課税しない取引
国内の取引でも、消費に負担を求める税としてなじまないものや、社会政策上の配慮から、課税しないと決められた取引があります(国税庁タックスアンサーNo.6201)。事業を営む人が出会いやすいものを抜き出します。
| 非課税の取引 | 非課税にならない例外 |
|---|---|
| 土地の譲渡・貸付け(借地権などの権利を含む) | 1か月未満の土地の貸付け、駐車場など施設の利用に伴って土地を使う場合 |
| 有価証券等の譲渡(国債・株式・金銭債権など) | 株式・出資・預託の形態のゴルフ会員権の譲渡 |
| 支払手段の譲渡(銀行券・小切手など。電子決済手段や暗号資産を含む) | 収集品として譲渡する場合 |
| 預貯金や貸付金の利子、信用保証料、保険料 | ― |
| 商品券・プリペイドカードなど物品切手等の譲渡 | ― |
| 社会保険医療の給付等 | 美容整形、差額ベッド、市販の医薬品の購入 |
| 学校教育(授業料・入学金など) | ― |
| 住宅の貸付け(契約で居住用と明らかなもの) | 1か月未満の貸付けなど |
住宅の貸付けが非課税になるのは、契約で人の居住の用に供することが明らかにされているものに限られます。居住用と明らかでない事務所や店舗の賃貸は、この非課税には当たりません。
事務所や店舗の家賃は課税です。住宅との違いや敷金の扱いは家賃・敷金・駐車場の消費税で整理しています。
免税:輸出など、消費税が免除される取引
国内で商品を販売すると、原則として消費税がかかります。ただし、輸出取引に当たる販売は消費税が免除されます。外国で消費されるものには課税しない、という考え方によるものです(国税庁タックスアンサーNo.6551)。
- 国内からの輸出として行われる資産の譲渡または貸付け
- 国内と国外との間の通信、郵便、信書便
- 非居住者に対する鉱業権・著作権などの無体財産権の譲渡または貸付け
- 非居住者に対する役務の提供
非居住者への役務の提供でも、国内にある資産の運送・保管、国内での飲食や宿泊のように、非居住者が国内で直接便益を受けるものは免税になりません。令和8年10月1日以後に非居住者に対して行う、国内にある不動産等の売買・交換・貸借の代理や媒介といった役務の提供も、輸出免税の対象外です。ただし、令和8年3月31日までに締結された契約に基づく資産の譲渡等には改正前の法律が適用され、輸出免税の対象になります(国税庁タックスアンサーNo.6551)。
免税の適用を受けるには、輸出許可書や、輸出の事実を記載した帳簿・書類など、取引に応じた証明を整理し、納税地等に7年間保存する必要があります。海外との取引全般は海外取引の消費税で扱っています。
「免税事業者」は取引の区分ではない
「免税事業者」は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下などの理由で、消費税の納税義務が免除される事業者のことです(国税庁タックスアンサーNo.6501)。ここまでの「免税」は取引ごとの区分ですが、免税事業者は事業者の区分で、意味が違います。
免税事業者が行う国内の販売は、取引としては課税取引です。納税義務がないため、申告と納付をしないだけです。納税義務の判定は課税事業者になる1,000万円の基準で整理しています。
区分による仕入税額控除の違い
課税事業者が納める消費税は、預かった消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を引いて計算します。このとき、取引の区分によって、引ける消費税が変わります。
- 非課税の売上に対応する課税仕入れ:原則として、仕入れにかかった消費税額を控除できません。
- 免税の売上に対応する課税仕入れ:原則として、仕入れにかかった消費税額を控除できます。輸出取引を行うために必要な事務用品や交際費、広告宣伝費なども、課税仕入れとして控除の対象です(国税庁タックスアンサーNo.6551)。
- 売上に非課税が混ざる場合:課税売上割合が95%未満などのときは、仕入れの消費税の全額を引けないことがあります。割合の計算では、不課税の売上は分母・分子に含めず、非課税売上は分母に含めます(国税庁タックスアンサーNo.6405)。
課税売上割合の計算と、個別対応方式・一括比例配分方式での控除額の出し方は、課税売上割合とはで計算例を示しています。土地の譲渡などで割合が実態とずれるときの承認制度は課税売上割合に準ずる割合で扱っています。
個人事業主が売り物の商品を自分で使う場合は、事業として売ったものとみなされます。対価の額の下限は商品を自分で使ったとき(家事消費)の所得税と消費税で整理しています。
商品券やプリペイドカードの譲渡は非課税で、発行する側が受け取る金品は課税売上になりません。立場別の扱いは商品券・プリペイドカードの消費税で整理しています。
株式などの有価証券の譲渡も非課税です。課税売上割合には売却額の5%だけを入れる決まりは、有価証券を売ったときの消費税と課税売上割合で整理しています。
キャンセル料は、事務手数料なら課税、逸失利益の補填なら不課税と分かれます。キャンセル料と解約手数料の消費税で整理しています。
預金や貸付金の利子は非課税です。預金・貸付金の利子と売上割引の消費税で整理しています。
土地とあわせて建物を売る場合の消費税の按分は、土地付き建物を売ったときの消費税の按分で確認できます。
寄附金、祝金、見舞金や、団体の会費・入会金が不課税になる場合は、会費・入会金・寄附金・祝金の消費税の扱いで確認できます。
土地の貸付けが非課税になる場合と、駐車場として課税になる場合は土地・月極駐車場の貸付けの消費税で整理しています。
非課税取引の代表例である保険料と共済掛金は、保険料の消費税の扱いで整理しています。
ポイント使用分を不課税の雑収入として記帳する場合は、ポイントを使って買ったときの消費税で確認できます。
非課税取引の例として挙がる金銭債権の買取に係る差益は、ファクタリングの仕組みと消費税の扱いで触れています。
まとめ
- 国内の取引で課税の対象になるのは、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等。
- 国内の取引でこの条件を欠くものが不課税。寄附金・補助金・宝くじの賞金・無償の取引などが当たる。
- 課税の対象だが課税しない取引が非課税。土地、利子、保険料、住宅の貸付けなどが当たる。
- 輸出取引など、課税の対象で税が免除される取引が免税。
- 非課税売上に対応する課税仕入れは、原則として控除できない。免税売上に対応する課税仕入れは、原則として控除できる。
- 「免税事業者」は事業者の区分で、取引の免税とは別。
次に知りたいこと
- お買物券を渡す行為のように、対価がなく課税の対象にならない例は、お買物券・割引券を配る店側の消費税。
- 非課税売上があるときの控除額は、課税売上割合と個別対応方式・一括比例配分方式。
- 課税事業者になる基準は、消費税の基準期間とは。
- 非課税の住宅家賃(社宅の借上料)の控除の扱いは、社宅・従業員寮の仕入税額控除。
- 本部に払う手数料の区分は、経営指導料・フランチャイズ手数料・ロイヤリティの消費税。
- 帳簿への載せ方は、仮払消費税・仮受消費税の仕訳。
- 売った後に代金を減らしたときは、返品・値引き・リベートの消費税。
- 代金がなくても課税される場面は、自家消費・役員への贈与と低額譲渡の消費税。
- 輸入品を引き取るときの課税は、輸入消費税の納付と仕入税額控除。
- 簡単に納税額を出す方法は、簡易課税制度。
本則・簡易・2割・3割特例の納税額の比較は消費税4方式の比較シミュレーターでできます。
公式情報
- 国税庁「No.6105 課税の対象」(事業として・対価を得て・資産の譲渡等の意味、寄附金・補助金・宝くじの賞金、自家消費・役員への贈与)
- 国税庁「No.6201 非課税となる取引」(主な非課税取引と、非課税にならない例外)
- 国税庁「No.6205 非課税と免税の違い」(仕入税額控除の可否の違い)
- 国税庁「No.6405 課税売上割合の計算方法」(不課税は含めない、非課税は分母に含める)
- 国税庁「No.6501 納税義務の免除」(基準期間の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者)
- 国税庁「No.6551 輸出取引の免税」(免税される輸出取引の範囲、証明書類の保存)
よくある質問
- 不課税と非課税は何が違いますか?
- 不課税は、国外取引や対価のない取引のように、そもそも課税の対象にならない取引です。非課税は、課税の対象ではあるものの、土地の譲渡や住宅の貸付けのように課税しないと決められた取引です(出典:国税庁)。
- 非課税と免税は何が違いますか?
- その取引のために行った課税仕入れについて、仕入税額控除ができるかどうかが違います。非課税取引のための課税仕入れは原則として控除できず、免税取引のための課税仕入れは原則として控除できます(出典:国税庁)。
- 補助金や寄附金を受け取ると消費税がかかりますか?
- 補助金、寄附金、宝くじの賞金は、一般的には対価とは認められないため、受け取る取引は原則として課税の対象になりません(出典:国税庁)。
- 免税事業者が行う販売は免税取引ですか?
- いいえ。免税事業者の販売は、取引としては課税取引です。納税義務が免除されているだけで、免税取引とは別の話です。
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