ガイド

消費税の基準期間とは|個人は前々年・法人は前々事業年度

1,000万円の判定に使う基準期間の見つけ方を、個人と法人に分けて例つきで整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

消費税を納める義務があるかどうかは、「基準期間」の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで決まります。基準期間は、今年や去年ではなく、個人なら前々年、法人なら前々事業年度です。

この記事では、基準期間の範囲、課税売上高に何を含めるか、前々事業年度が1年に満たない法人の年換算、基準期間だけでは決まらない場合を整理します。

基準期間とは(個人は前々年・法人は前々事業年度)

1,000万円以下なら免税:その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として消費税の納税義務が免除されます(消費税法第9条第1項)。ちょうど1,000万円なら免税、1円でも超えれば課税です。

基準期間は、個人事業者ではその年の前々年です。事業年度が1年の法人では、その事業年度の前々事業年度です(消費税法第2条第1項第14号)。

課税期間は、個人なら1月1日から12月31日まで、法人なら事業年度です。短縮の特例を選んでいなければ、この単位で判定します。短縮の特例は課税期間の特例で説明しています。

年ごとの基準期間の例

区分判定する課税期間基準期間
個人事業者令和9年(2027年)1月1日〜12月31日令和7年(2025年)1月1日〜12月31日
3月決算の法人令和9年4月1日〜令和10年3月31日の事業年度令和7年4月1日〜令和8年3月31日の事業年度
12月決算の法人令和9年1月1日〜12月31日の事業年度令和7年1月1日〜12月31日の事業年度

基準期間が前々の期間になっているのは、判定に使う数字が、その課税期間が始まる前にすでに確定しているからです。令和9年の売上が増えても、令和9年の納税義務は令和7年の売上で決まります。

ただし、令和8年の前半(個人)や前事業年度の前半(法人)の売上は、別の「特定期間」の判定に使います。くわしくは消費税の特定期間で整理しています。

基準期間の課税売上高に含めるもの

基準期間における課税売上高は、基準期間中に国内で行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、売上げに係る対価の返還等(値引き・返品・割戻しなど)の金額を引いた額です(消費税法第9条第2項)。

  • 消費税と地方消費税を含まない金額で見ます。課税標準となる対価の額は、課税資産の譲渡等につき課される消費税額と地方消費税額に相当する額を含まないものとされています(消費税法第28条第1項)。税込で10%を乗せた請求書の合計をそのまま使わないよう注意します。
  • 値引き・返品などの対価の返還等は、売上から引きます。
  • 利子や住宅の家賃のように消費税がかからない取引(非課税売上)は、課税売上高に入りません。

判定する数字は、所得税や法人税の「売上」とそのまま同じとは限りません。確定申告書の売上金額を出発点にしても、非課税売上が混ざっていないかを確かめます。

基準期間の途中で免税事業者から課税事業者になった人は、免税だった期間の売上を税抜きにしません。計算例は免税だった期間を含む基準期間の課税売上高にあります。

前々事業年度が1年に満たない法人は年換算する

法人は、基準期間が1年でないとき、基準期間中の課税売上高を、その基準期間に含まれる事業年度の月数の合計で割って12を掛け、1年分に直して判定します(消費税法第9条第2項第2号)。月数は暦で数え、1か月に満たない端数は1か月とします(同条第3項)。

6か月で600万円でも課税になる例:3月決算の法人が令和7年10月1日に設立され、第1期(令和7年10月1日〜令和8年3月31日・6か月)の課税売上高が600万円だったとします。第3期(令和9年4月1日〜令和10年3月31日)の基準期間は第1期なので、600万円÷6×12=1,200万円で判定します。1,000万円を超えるため、第3期は課税事業者です。

前々事業年度が1年未満のとき、基準期間は、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間とされています(国税庁タックスアンサー)。上の例では、第1期だけが基準期間にあたります。

個人事業者は、年の途中で開業しても、基準期間の売上を12か月分に直す扱いはありません。この年換算は、基準期間が1年でない法人に限った計算です。

基準期間がないとき(開業1・2年目、設立1・2期目)

新しく開業した個人事業者や設立した法人は、判定に使う前々の期間がありません。基準期間がないときは、原則として納税義務が免除されます(国税庁タックスアンサー)。

区分基準期間がない期間注意点
個人事業者開業した年と翌年基準期間の課税売上高がないため原則免税。ただし特定期間などの判定は別にある
法人設立1期目と2期目期首の資本金が1,000万円以上の新設法人などは、基準期間がなくても課税事業者になる

法人の資本金による判定はガイド「法人成りで消費税は2年免税?」で整理しています。

基準期間が1,000万円以下でも課税事業者になる場合

基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、次のような場合は納税義務が免除されません(国税庁タックスアンサーNo.6501)。基準期間だけを見て免税と決めないようにします。

  • 適格請求書発行事業者(インボイス)の登録を受けている
  • 特定期間(個人は前年1月1日から6月30日まで)の判定で1,000万円を超える(判定は課税売上高に代えて給与等支払額の合計額でもでき、どちらにするかは納税者が選べる。くわしくは特定期間のガイド)
  • 消費税課税事業者選択届出書を出して課税事業者になっている
  • 基準期間がない法人で、期首の資本金が1,000万円以上、または特定新規設立法人にあたる
  • 相続・合併・分割があり、被相続人や被合併法人などの売上が一定の基準を超える(合併の場合は会社が合併したときの消費税の納税義務、分割の場合は会社分割をしたときの消費税の納税義務)
  • 高額特定資産を取得して、一定期間免税や簡易課税に戻れない
  • 新設法人が設立1期目に調整対象固定資産を買い一般課税で申告すると、3期目は課税事業者になる(設立3期目の消費税は免税か)

反対に、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた課税期間は、課税事業者です。免税に戻るのは、基準期間の売上が1,000万円以下になった課税期間からです。届出書の出し方は消費税課税事業者届出書で、課税事業者を選ぶ場合は課税事業者選択届出書で確認できます。

簡易課税制度を使えるかどうかも、同じ基準期間で判定します。基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間が対象です(国税庁タックスアンサーNo.6505)。仕組みは簡易課税と本則課税の違いで説明しています。

まとめ

  • 基準期間は、個人は前々年、事業年度が1年の法人は前々事業年度。
  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として免税。ちょうど1,000万円は免税。
  • 課税売上高は、消費税・地方消費税を含まない額から、値引き・返品などを引いて数える。
  • 前々事業年度が1年未満の法人は、月数で割って12を掛けた年換算額で判定する。
  • 開業1・2年目や設立1・2期目は基準期間がなく、原則免税。ただし資本金1,000万円以上の法人などは例外。
  • インボイス登録、特定期間、課税事業者選択などが重なる場合は、基準期間が1,000万円以下でも課税事業者になる。

次に知りたいこと

本則・簡易・2割・3割特例の納税額の比較は消費税4方式の比較シミュレーターでできます。

判定から届出・申告・納付までの順番と期限は消費税のまとめで一覧にしています。簡易課税の個人事業者は簡易課税の申告書の書き方も確認できます。

公式情報

よくある質問

消費税の基準期間とは何年前のことですか?
個人事業者は前々年、事業年度が1年の法人は前々事業年度です。令和9年分の個人事業者なら令和7年が基準期間です(出典:国税庁)。
基準期間の課税売上高がちょうど1,000万円のときは課税されますか?
1,000万円「以下」が免税の条件なので、ちょうど1,000万円なら免税です。1円でも超えれば課税事業者になります。ただしインボイス登録など、別の理由で課税事業者になる場合があります(出典:消費税法第9条)。
基準期間の課税売上高は税込と税抜のどちらで見ますか?
消費税と地方消費税を含まない税抜の金額で見ます。値引きや返品などの対価の返還等は売上から引きます。非課税売上は含めません(出典:消費税法第9条・第28条)。
前々事業年度が6か月しかない法人は、どう判定しますか?
基準期間の課税売上高を月数で割って12を掛け、1年分に直した額で1,000万円を超えるかを判定します。6か月で600万円なら、年換算で1,200万円です(出典:消費税法第9条第2項)。
本記事について。税理士監修前の概説です。個別の事情は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

あわせて読む