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消費税課税事業者選択届出書とは|提出期限・2年縛り・還付を受ける条件

免税事業者が自分から課税事業者になる届出の期限、やめられない期間、設備投資の還付との関係を整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

消費税の納税義務が免除されている事業者でも、届出書を出せば自分の意思で課税事業者になれます。設備投資が多い年に消費税の還付を受けたいときなどに使う制度です。

ただし、出す時期を間違えると還付を受けたい課税期間に間に合わず、出したあとは一定期間やめられません。提出期限、やめるときの手続き、設備投資後の制限を分けて整理します。

課税事業者選択届出書とは

免税事業者が自分で課税事業者になる届出:基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として消費税の納税義務が免除されます。「消費税課税事業者選択届出書」を提出すると、免除されない課税事業者になれます。提出先は納税地の所轄税務署です。

課税事業者になると、消費税の申告・納税が必要になります。その代わり、課税仕入れ等に係る消費税額を控除できます。

免税事業者のままでは、売上に係る消費税額より仕入れに係る消費税額が多くても還付を受けられません。国税庁は、設備投資が多額にあった場合などは、課税事業者を選択すれば還付を受けられると案内しています。

提出期限と効力が生じる時期

提出期限は、課税事業者になりたい課税期間の初日の前日までです。個人事業者の課税期間は暦年(1月1日〜12月31日)なので、2028年分から課税事業者になりたいなら、2027年12月31日までに提出します。

場面課税事業者になる課税期間提出期限
通常の場合提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後選択しようとする課税期間の初日の前日まで
事業を開始した日の属する課税期間など、一定の場合提出した日の属する課税期間からその課税期間中

期限の末日が土曜日・日曜日・祝日などでも、提出期限は翌平日に延びません。国税庁は、翌課税期間から課税事業者を選びたい場合は、当課税期間中に届出書を出す必要があると明記しています。

令和9年4月1日から令和11年3月31日までは、飲食料品の譲渡を行う事業者を対象に、提出時期の特例が設けられます。該当する場合は、国税庁の消費税率引下げ特設サイトで確認してください。

還付を受けるときの考え方と計算例

還付を狙う場合は、還付を受けたい課税期間の初日の前日までに届出書を出します。その課税期間に設備を買ってから慌てて出しても、その課税期間には間に合いません。開業した年のように事業を開始した課税期間なら、その課税期間中の提出で足ります。

次は、仕組みを見るための単純化した例です。実際の還付額は、課税売上割合や非課税取引などで変わります。

  • 課税売上(税抜)200万円、売上に係る消費税額20万円
  • 機械・設備の購入(税抜)1,000万円、仕入れに係る消費税額100万円
  • 一般課税で申告すると、100万円−20万円=80万円が還付の目安

免税事業者のままなら、この80万円は戻りません。一方で、1,000万円の設備は調整対象固定資産に当たり、後述の3年間の制限がかかります。

やめられない2年間と不適用届出書

届出書は、一度出すと効力が続きます。国税庁のQ&Aでは、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を出さない限り効力は存続し、あとで基準期間の課税売上高が1,000万円以下になっても免税事業者に戻らないと示されています。

  • やめるには「消費税課税事業者選択不適用届出書」を、やめたい課税期間の初日の前日までに提出する。
  • 事業を廃止した場合を除き、課税事業者となった日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、不適用届出書は出せない。
  • つまり、課税事業者になった日から2年間は、免税事業者に戻れない。

還付を受けた翌年に売上が少ないからと、すぐに免税へ戻すことはできません。2年目の課税期間も申告と納税が必要です。

設備投資をしたときの3年間の制限

課税事業者を選択した事業者が、課税事業者となった日から2年を経過する日までの間に開始した課税期間中に、調整対象固定資産の課税仕入れ等を行い、その課税期間の確定申告を一般課税で行った場合は、次の制限がかかります。

制限の内容期間
免税事業者になれない調整対象固定資産の仕入れ等を行った課税期間の初日から原則3年間
簡易課税制度選択届出書を出せない同じく2年間

調整対象固定資産は、棚卸資産以外の資産で、建物とその附属設備、機械装置、車両運搬具、工具器具備品などのうち、1つの取引単位の価額(消費税等を除く)が100万円以上のものです。

1,000万円以上の資産を取得した場合は、高額特定資産の特例も別に確認します。詳しくは高額特定資産の3年縛りで整理しています。

インボイス登録との関係

国税庁は、還付を受ける方法として、課税事業者選択届出書の提出のほかに、適格請求書発行事業者の登録申請をして課税事業者になる方法も挙げています。登録を受けると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務は免除されません。

免税事業者が課税期間の途中で登録を受けた場合には、登録日以後の課税資産の譲渡等が申告対象になる経過措置があります。登録の手続きは「インボイスの登録方法・取りやめ」、登録するかどうかの判断は「インボイスは登録すべき?」で確認できます。

課税事業者選択届出書を出している場合も、一定の要件を満たせば2割特例を適用できます。対象外になる事業者・課税期間はインボイスの2割特例で確認してください。

提出前の確認手順

  1. 還付を受けたい課税期間を決める。設備を買う年(課税期間)を特定します。
  2. 初日の前日を確認する。個人なら前年12月31日が期限です。事業を開始した課税期間なら、その課税期間中に出せます。
  3. 2年間免税に戻れないことを確認する。翌年以降の売上見込みで、納税額が増えないかを見ます。
  4. 設備の金額を確認する。1つ100万円以上なら3年間の制限、1,000万円以上なら高額特定資産の特例も確認します。
  5. 簡易課税を使う予定がないか確認する。制限期間中は簡易課税制度選択届出書を出せません。

課税事業者になるかどうかの判定そのものは「消費税はいつから?」、前年上半期の判定は「消費税の特定期間」、計算差は「簡易課税と本則課税」で整理しています。届出書の一覧は「届出一覧」にまとめています。

まとめ

  • 課税事業者選択届出書は、免税事業者が自分で課税事業者になるための届出。
  • 提出期限は、課税事業者になりたい課税期間の初日の前日まで。期限は土日祝でも延びない。
  • 事業を開始した課税期間などは、その課税期間中の提出で足りる場合がある。
  • 出したあとは、不適用届出書を出さない限り効力が続き、2年間は免税事業者に戻れない。
  • 課税事業者になって2年以内に100万円以上の調整対象固定資産を買い、一般課税で申告すると、3年間は免税に戻れず、簡易課税の届出も2年間できない。
  • インボイス登録でも課税事業者になれる。どちらの方法でも、売上が減った年に免税へ戻れない点を先に確認する。

登録後の納税額の目安はインボイス登録時の納税額・取引条件、各方式の比較は消費税4方式の比較シミュレーターで確認できます。

公式情報

よくある質問

消費税課税事業者選択届出書はいつまでに出しますか?
課税事業者になりたい課税期間の初日の前日までです。個人事業者なら前年12月31日が期限で、土日祝でも延びません。事業を開始した課税期間などは、その課税期間中に出せる場合があります(出典:国税庁)。
一度出したら免税事業者に戻れますか?
「消費税課税事業者選択不適用届出書」を出せば戻れます。ただし事業の廃止を除き、課税事業者となった日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でないと出せません(出典:国税庁)。
設備投資の還付を受けたあとに注意することは?
課税事業者となって2年以内の課税期間に100万円以上の調整対象固定資産を取得し、一般課税で申告すると、原則3年間は免税事業者になれず、2年間は簡易課税制度選択届出書も出せません(出典:国税庁)。
本記事について。税理士監修前の概説です。還付額や制限期間は個別の事情で変わるため、届出前に税務署または税理士へ確認してください。