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簡易課税制度選択不適用届出書の書き方と提出時期|やめる年の前日まで・2年は出せない

簡易課税をやめて本則課税に戻るための届出書について、やめたほうが有利になる場面、出せる日と期限、国税庁の記載要領にそった書き方を整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

簡易課税制度選択届出書を一度出すと、取り消さない限り、翌年以降も簡易課税が続きます。本則課税に戻るための書類が「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」で、提出できる日にも期限にも決まりがあります。

ここでは、やめたほうがよい場面、出せる日と期限、欄ごとの書き方、出したあとの注意を順に説明します。選ぶほうの届出書は簡易課税制度選択届出書で整理しています。

簡易課税をやめたほうがよい場面

簡易課税は仕入れの実額を使わない:簡易課税は、売上に係る消費税額に業種ごとの「みなし仕入れ率」をかけて控除額を決めます。実際の課税仕入れがみなし仕入れ率を上回る年は、本則課税のほうが納める額が少なくなり、還付になることもあります。

試算例です。標準税率10%(国税7.8%・地方消費税2.2%)で、課税売上高(税抜)が3,000万円、課税仕入れ(税抜)が2,400万円、第5種事業(みなし仕入れ率50%)とします。

  • 簡易課税:売上税額300万円から、300万円×50%=150万円を引いて、納付150万円
  • 本則課税:売上税額300万円から、仕入税額240万円を引いて、納付60万円

この例では、本則課税のほうが90万円少なくなります。逆に、仕入れが少ない年は簡易課税のほうが有利です。設備投資で仕入れが大きく膨らむ年は、簡易課税のままだと還付を受けられません。

この届出書は、簡易課税をやめる場合のほか、事業を廃止した場合にも提出します(消費税法37条5項)。提出先は、納税地を所轄する税務署長です。有利不利の見方は簡易課税と本則課税の違いで確認できます。

提出の3つの決まり

国税庁の記載要領は、提出の時期について次の3点を示しています。

  1. 効力は翌課税期間から:届出書の効力は、提出した日の属する課税期間の翌課税期間から生じます。
  2. 期限はやめたい課税期間の初日の前日:効力が翌期からなので、簡易課税をやめようとする課税期間の初日の前日までに出す必要があります。個人事業者なら、前年12月31日です。
  3. 適用開始から2年は出せない:事業を廃止した場合を除き、簡易課税の適用を開始した課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、提出できません(消費税法37条6項)。

国税庁は、3つ目の「初日」について、個人事業者または事業年度が1年の法人では、原則として簡易課税を選択した課税期間の翌課税期間の初日になる、と説明しています。つまり、選んだ年の翌年の初日(個人なら1月1日)から出せます。

事業を廃止した場合は、この届出書に廃止した旨を書いて出せば、別に「事業廃止届出書」を出す必要はありません(消費税法57条1項3号)。

日付の当てはめ(個人事業者)

2025年分から簡易課税を選んだ個人事業者の例です。実際の判定は、お手元の選択届出書の「適用開始課税期間」の初日から数えて確認してください。

  • 2025年中:まだ出せません。2年の起算となる期の初日(2025年1月1日)から数えて、出せる日は翌年の初日の2026年1月1日からです。
  • 2026年1月1日〜12月31日:出せます。この間に出せば、効力は2027年分からです。
  • 2026年12月31日:2027年分を本則課税にしたい場合の最後の提出日です。
  • 2027年に入ってから出した場合:効力は2028年分からになり、2027年分は簡易課税のままです。

この例で簡易課税のまま申告するのは、選んだ2025年分と2026年分の2期です。早く出そうとして2025年中に出すのも、2027年1月に出して間に合ったつもりになるのも、どちらも誤りです。

大きな設備を買う予定の年に本則課税で還付を受けたい場合は、その年の前年末までに出す必要があります。買う時期を決める前に、日付を数えておきます。3月決算法人の場合は、課税期間の初日(4月1日)を基準に、同じ考え方で数えます。

欄ごとの書き方

記載要領の欄ごとの指示は、次のとおりです。

  • ①この届出の適用開始課税期間:簡易課税をやめようとする課税期間の初日と末日を書きます。
  • ②①の基準期間:①の課税期間の基準期間の初日と末日を書きます。
  • ③②の課税売上高:基準期間に国内で行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額を、消費税額・地方消費税額を含まない金額で書きます。輸出取引の売上高は含み、売上げに係る対価の返還等の金額(税抜き)は含みません。基準期間が1年に満たない法人は、その期間の合計額を月数で割って12倍した金額です。
  • 簡易課税制度の適用開始日:先に出した選択届出書の効力が生じた日、つまりその「適用開始課税期間」欄の初日を書きます。
  • 事業を廃止した場合の廃止した日:事業を廃止したときだけ、その年月日を書きます。個人事業者は個人番号(12桁)も書きます。
  • 参考事項:ほかに参考となる事項があるときに書きます。

個人番号の入った控えを保管するときは、控えには個人番号を書かないなど、取り扱いに注意するよう記載要領が求めています。基準期間の考え方は消費税の基準期間で確認できます。

出したあとと出さなかったときの注意

  • 出さずに基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた年は、簡易課税を使えません。ただし届出書の効力は消えず、その後に基準期間の課税売上高が1,000万円超5,000万円以下へ戻ると、不適用届出書を出していない限り、簡易課税が再び適用されます(国税庁No.6505)。
  • 効力が始まる課税期間からは本則課税です。申告書の書き方は本則課税の消費税申告書の書き方にあります。
  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下などで納税義務が免除される課税期間は、簡易課税の届出に関係なく申告が要りません。届出の有無は、課税事業者の期間にだけ効きます。

令和9年4月1日から令和11年3月31日までは、飲食料品の譲渡を行う事業者を対象に、簡易課税制度選択不適用届出書の提出時期などの特例がある、と国税庁は案内しています。内容は飲食料品の消費税率1%と届出の特例で整理しています。

期限に間に合わなかったときの承認申請は消費税の届出書を出せなかったとき、税額の差の試算は消費税4方式の比較シミュレーターで確認できます。

次に知りたいこと

消費税の届出書の一覧と期限は届出一覧、判定から申告までの流れは消費税のまとめにあります。

公式情報

まとめ

  • 簡易課税をやめるには、消費税簡易課税制度選択不適用届出書を出す。仕入れが多い年は本則課税が有利になる。
  • 期限はやめたい課税期間の初日の前日まで。個人なら前年12月31日。
  • 適用開始から2年は出せない。個人なら選んだ年の翌年1月1日から出せる。
  • 効力は提出した日の属する課税期間の翌課税期間から。事業を廃止した場合は2年の制限を受けない。
  • 5,000万円超の年があっても届出書の効力は消えない。使わない年は前年末までに出す。

よくある質問

簡易課税制度選択不適用届出書は、いつまでに出しますか?
簡易課税の適用をやめようとする課税期間の初日の前日までです。個人事業者なら前年12月31日が期限になります。効力は、提出した日の属する課税期間の翌課税期間から生じます(出典:国税庁)。
簡易課税を選んで1年で、本則課税に戻れますか?
戻れません。事業を廃止した場合を除き、適用を開始した課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、不適用届出書を出せません(出典:国税庁)。
事業をやめるときも、不適用届出書は必要ですか?
この届出書に事業を廃止した旨を書いて出せば、別に事業廃止届出書を出す必要はありません。事業を廃止した場合は、2年間の制限も受けません(出典:国税庁の記載要領)。
本記事について。税理士監修前の概説です。届出の期限や適用の可否は個別の事情で変わるため、届出前に税務署または税理士へ確認してください。