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簡易課税の事業区分(第1種〜第6種)の判定方法と2事業以上の75%特例

自分の事業がどの区分に当たるか、判定の単位、複数事業の計算、区分しない場合の扱いを整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

簡易課税では、事業を第1種から第6種までの6つに分け、区分ごとのみなし仕入率(40〜90%)で仕入れの消費税額を計算します。どの区分になるかで納税額が変わるため、区分の考え方を先に押さえておくと、届出を出す前の見通しが立てやすくなります。

6つの事業区分とみなし仕入率

事業区分は、第1種(卸売業)から第6種(不動産業)までの6つで、みなし仕入率は90%・80%・70%・60%・50%・40%です。国税庁は区分を次のように示しています。

区分みなし仕入率該当する事業
第1種90%卸売業(他の者から購入した商品を、性質・形状を変更しないで他の事業者に販売する事業)
第2種80%小売業(購入した商品を性質・形状を変更しないで販売する事業で第1種以外)、農業・林業・漁業のうち飲食料品の譲渡に係る事業
第3種70%農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業
第4種60%第1種〜第3種・第5種・第6種以外の事業。飲食店業など
第5種50%運輸通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業に当たるものを除く)
第6種40%不動産業

第3種からは、第1種・第2種に当たるものと、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供が除かれます。加工賃を対価とする事業は第4種になります(国税庁「No.6509 簡易課税制度の事業区分」)。

判定は取引ごとに行う

事業区分の判定は、原則として、事業者が行う課税資産の譲渡等ごとに行います。「うちは小売業だから全部第2種」と決めるのではなく、売上の中身ごとに区分を見ます。

第3種と第5種は、おおむね日本標準産業分類の大分類を基礎として判定します。たとえば、運輸通信業・金融保険業・サービス業の大分類に当たるものは、加工賃を対価とする役務の提供であっても第5種です。不動産業は、同分類の大分類で不動産業に当たるものが第6種です。

国税庁は、分類ごとの該当例を「日本標準産業分類からみた事業区分」の質疑応答事例として公開しています。自分の業種名で見つからないときは、分類表と照らして確認します。

迷いやすい区分の取扱い

国税庁のタックスアンサーが個別に触れている、判断が分かれやすい例です。

  • 消費者から買った商品の販売:消費者から購入した商品を品質・形状を変えずに他の事業者に販売する事業も卸売業(第1種)です。業務用に消費される商品の販売でも、事業者への販売だと帳簿・書類で明らかなら第1種になります。
  • 食料品店の軽微な加工:食料品小売店が仕入れた食料品を、その店舗で軽微な加工をして販売する場合で、加工前の食料品の販売店舗で一般的に行われると認められるものは、加工後の販売も第2種として差し支えないとされています。
  • 第3種として扱われる事業:製造問屋、請け負った建設工事の全部を他者に委託して行う事業、天然水を採取して瓶詰めして販売する事業、新聞・書籍等の発行・出版を行う事業。
  • 使っていた固定資産の売却:自己で使用していた固定資産の譲渡は第4種です。
  • 宿泊と食事:ホテル内のレストランなど宿泊者以外も利用でき、その場で精算できる飲食物の提供は飲食店業に当たり、第5種のサービス業から除かれます。一方、「1泊2食付で2万円」のように食事代込みで料金が定められている場合は、その全額が第5種の対価です。

上の例以外にも個別の取扱いがあります。判定に自信がないまま届出を出すより、事前に所轄の税務署や税理士へ確認するほうが安全です。

2種類以上の事業がある場合の計算

複数の区分の事業を営むときは、売上を区分ごとに分け、それぞれのみなし仕入率で計算するのが基本です。国税庁は、次の特例も案内しています(国税庁「No.6505 簡易課税制度」)。

  • 75%ルール(1種類):2種類以上の事業のうち、1種類の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占めるときは、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上げに適用できます。
  • 75%ルール(2種類):3種類以上の事業のうち、特定の2種類の課税売上高の合計が全体の75%以上を占めるときは、その2種類のうちみなし仕入率の高い方の事業の売上にはその率を、それ以外の売上には2種類のうち低い方の率を適用できます。
  • 区分していない場合:課税売上げを事業ごとに区分していない部分には、区分していない事業のうち最も低いみなし仕入率が適用されます。

売上を事業ごとに分けて記録していないと、有利な計算に切り替える余地がなくなります。請求書・帳簿の段階で、区分ごとに売上を分けておくのが基本です。

計算例:小売業とサービス業を兼ねる場合

次は、仕組みを確認するための仮の数字です(実際の判定や有利不利を示すものではありません)。小売(第2種)の売上にかかる消費税額が80万円、サービス(第5種)が20万円、合計100万円とします。

  • 区分ごとに計算する場合:控除する仕入税額=80万円×80%+20万円×50%=74万円。納付額は100万円−74万円=26万円。
  • 75%ルールを使う場合:第2種の売上が全体の80%で75%以上のため、全体に80%を適用できます。納付額は100万円×(1−80%)=20万円。

この例では、75%ルールのほうが6万円少なくなります。ただし、貸倒回収額や売上対価の返還等がある場合など、計算の取扱いが変わる点もあります。本則課税との比較は簡易課税と本則課税の違い、概算は消費税4方式比較ツールで確認できます。

公式一次情報

まとめ

  • 簡易課税の事業区分は第1種〜第6種で、みなし仕入率は90%〜40%。
  • 判定は、事業者単位ではなく取引(課税資産の譲渡等)ごとに行うのが原則。
  • 複数事業は売上を区分して計算し、1種類が75%以上なら全体にその率を使える特例がある。
  • 区分していない売上には、区分していない事業のうち最低の率が適用される。

届出の期限や選択後の制限は簡易課税と本則課税の違いで確認できます。

課税事業者になる時期は消費税はいつから?、2割特例の終了後については2割特例の終了をご覧ください。

よくある質問

簡易課税の事業区分は、どう判定しますか?
原則として、課税資産の譲渡等ごとに第1種〜第6種のどれに当たるかを判定します。第3種・第5種は日本標準産業分類の大分類を基礎に判断します(出典:国税庁)。
複数の事業をしている場合、みなし仕入率はどうなりますか?
売上を事業区分ごとに分け、それぞれの率で計算するのが基本です。1種類の課税売上高が全体の75%以上なら、その率を全体に適用できる特例があります(出典:国税庁)。
売上を事業ごとに区分していないとどうなりますか?
区分していない部分には、区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率が適用されます(出典:国税庁)。
本記事について。税理士監修前の概説です。事業区分の判定は取引の内容によって異なります。実際の判断は税理士や所轄の税務署にご相談ください。