ガイド

簡易課税制度選択届出書の提出期限|初日の前日まで・2年縛り・やめ方

簡易課税を使うための届出の期限、特例で期限が延びる場面、やめるときの届出と2年間の制限を整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

簡易課税制度は、届出書を出した課税事業者だけが使える計算方法です。有利だと分かっても、届出が間に合わなければその年は使えません。

ここでは「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出期限、期限の特例、出したあとの2年間の制限、やめる届出を順に説明します。

簡易課税制度選択届出書とは

簡易課税を使うための届出:納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税事業者は、基準期間(個人事業者は前々年)の課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、売上に係る消費税額にみなし仕入率を掛けた額を、仕入れに係る消費税額として控除できます。

みなし仕入率は、事業区分ごとに90%(第1種・卸売業)から40%(第6種・不動産業)まで決まっています。区分の判定は簡易課税の事業区分で整理しています。

簡易課税は、届出をしない限り自動では適用されません。届出をしていない課税事業者は、原則として本則課税(一般課税)で計算します。

提出期限は適用を受ける課税期間の初日の前日

提出期限は、簡易課税制度の適用を受けようとする課税期間の初日の前日までです。個人事業者の課税期間は暦年なので、2027年分から使いたいなら、2026年12月31日までに提出します。

適用を受けたい課税期間個人事業者の提出期限
2027年分(1月1日〜12月31日)2026年12月31日まで
2028年分2027年12月31日まで

年が明けてから「今年は簡易課税のほうが有利だった」と気づいても、その年分には間に合いません。有利不利は簡易課税と本則課税の違いで、年のはじめに見積もっておくと判断しやすくなります。

期限が延びる場面(開業・インボイス登録・2割特例/3割特例)

国税庁は、次のような場合に、課税期間の初日の前日より後でも提出できると案内しています。

場面簡易課税を使える課税期間提出の期限
事業を開始した日の属する課税期間から簡易課税を選ぶ事業を開始した日の属する課税期間からその課税期間の終了の日まで
免税事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け、登録日から課税事業者になる登録を受けた日の属する課税期間からその課税期間中
2割特例・3割特例の適用を受けた適格請求書発行事業者が、翌課税期間から簡易課税に移る翌課税期間から翌課税期間に係る確定申告期限まで(翌課税期間が令和8年9月30日以前に終了する課税期間である場合は、その課税期間の末日まで)

2割特例・3割特例の終わり方と、そのあとの選び方は2割特例の終了後と3割特例で確認できます。

災害その他やむを得ない事情で、課税期間の開始前に届出書を出せなかった場合には、届出期限の特例が使える場合があります。国税庁はコード6633(災害で簡易課税を選ぶ・やめる必要が生じた場合はコード6632)で案内しています。対象の事情と承認申請書の出し方は、消費税の届出書を出せなかったときで整理しています。

令和9年4月1日から令和11年3月31日までは、飲食料品の譲渡を行う事業者を対象に、簡易課税制度選択不適用届出書の提出時期などの特例が設けられます。届出書の書き方と期限は飲食料品の消費税率1%と届出の特例で整理しています。国税庁の消費税率引下げ特設サイトでも確認してください。

出したあとの2年間の制限とやめる届出

簡易課税をやめるときは、やめようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出します。書き方と出せる日の例は簡易課税制度選択不適用届出書で整理しています。

  • 事業を廃止した場合を除き、選択届出書の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、不適用届出書は出せない。
  • つまり、簡易課税を使い始めたら、最低でも2年間は本則課税に戻れない。
  • 不適用届出書の期限も、課税期間の初日の前日まで。年が明けてからの提出は、その年分には間に合わない。

たとえば2027年分から簡易課税を使い始めた場合、2027年分と2028年分は続けます。

2年を経過する日(2028年12月31日)の属する課税期間は2028年分なので、不適用届出書を出せるのは2028年1月1日以後です。やめられるのは、2028年中に出せば2029年分からです。実際の判定は、届出書の効力が生ずる課税期間をもとに確認してください。

大きな設備投資を予定している年は、簡易課税のままだと仕入れに係る消費税の還付を受けられません。設備投資で還付を受けたい場合は、その前年末までに不適用届出書を出す必要があり、2年間の制限にかかっていると間に合わなくなります。

5,000万円超や免税になった年のあとも効力は続く

届出書を出していても、その課税期間の基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合は、その課税期間は簡易課税を適用できません。

国税庁は、さらに次の点に注意するよう案内しています。

  • 基準期間の課税売上高が5,000万円を超えて簡易課税を適用できなくなった年や、1,000万円以下で免税事業者になった年があっても、届出書の効力は消えない。
  • そのあとの課税期間で基準期間の課税売上高が1,000万円を超え5,000万円以下になれば、その課税期間の初日の前日までに不適用届出書を出している場合を除き、再び簡易課税が適用される。

売上が増減する事業では、「もう使わないつもりだった」簡易課税が、課税事業者に戻った年に自動で復活します。使いたくない年は、その前年末までに不適用届出書を出しておきます。

届出書を出せない場合

届出書を出せない、または出しても適用されない場合があります。

  • 課税事業者選択届出書を出して課税事業者となった事業者が、課税事業者となった日から2年を経過する日までの間に開始した課税期間中に100万円以上の調整対象固定資産の課税仕入れ等を行い、その課税期間の確定申告を一般課税で行った場合、一定期間は簡易課税制度選択届出書を出せません(国税庁No.6501)。詳しくは課税事業者選択届出書を参照してください。
  • 高額特定資産を取得した場合も、一定期間、簡易課税の選択が制限されます。高額特定資産の3年縛りで整理しています。
  • 令和6年10月1日以後に開始する課税期間から、課税期間の初日に国内に恒久的施設を有しない国外事業者は、簡易課税の適用を受けられません。

提出前の確認手順

  1. 使いたい課税期間を決める。個人なら暦年です。
  2. 初日の前日を確認する。個人なら前年12月31日が期限です。開業や登録の年は、前の表の特例に当たるかを確認します。
  3. 基準期間の課税売上高を確認する。5,000万円を超える年は適用できません。
  4. 2年間は戻れないことを確認する。翌年以降の設備投資の予定もあわせて見ます。
  5. 事業区分を確認する。複数の事業がある場合は、区分の方法で税額が変わります。

届出書の様式は国税庁のサイトで入手できます。届出書の一覧は届出一覧にまとめています。

次に知りたいこと

実際の税額の差は消費税4方式の比較シミュレーターで試算できます。

判定から届出・申告・納付までの順番と期限は消費税のまとめで一覧にしています。

公式情報

売上が1,000万円を超えたとき、または戻ったときの届出書は「消費税課税事業者届出書」で整理しています。

まとめ

  • 簡易課税は、選択届出書を出した課税事業者だけが使える。出さなければ本則課税で計算する。
  • 提出期限は、適用を受けたい課税期間の初日の前日まで。個人なら前年12月31日。
  • インボイス登録で課税事業者になった年や、2割特例・3割特例からの切り替えには、期限の特例がある。
  • 使い始めたら、事業を廃止する場合を除き2年間は不適用届出書を出せない(廃業時の届出は廃業した年の消費税)。
  • 基準期間の課税売上高が5,000万円超や免税になった年があっても、届出書の効力は続く。使わない年は前年末までに不適用届出書を出す。

よくある質問

簡易課税制度選択届出書はいつまでに出しますか?
適用を受けたい課税期間の初日の前日までです。個人事業者なら前年12月31日が期限です。開業した年やインボイス登録で課税事業者になった年などには、その課税期間中の提出が認められる特例があります(出典:国税庁)。
簡易課税はいつでもやめられますか?
やめるには、やめたい課税期間の初日の前日までに簡易課税制度選択不適用届出書を出します。事業の廃止を除き、選択届出書の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でないと出せません(出典:国税庁)。
売上が5,000万円を超えた年があると、届出書は無効になりますか?
その年は簡易課税を使えませんが、届出書の効力は消えません。後の課税期間で基準期間の課税売上高が1,000万円超5,000万円以下に戻ると、不適用届出書を出していなければ再び簡易課税が適用されます(出典:国税庁)。
本記事について。税理士監修前の概説です。届出の期限や適用の可否は個別の事情で変わるため、届出前に税務署または税理士へ確認してください。

あわせて読む