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消費税課税事業者届出書の2種類と、免税に戻る届出書

売上が1,000万円を超えたときに出す届出と、1,000万円以下に戻ったときの届出を、提出する場面と出さなくてよい場面に分けて整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

売上が1,000万円を超えて課税事業者になったら、税務署へ「消費税課税事業者届出書」を出します。1,000万円以下に戻ったときは、別の届出書があります。

免税事業者が自分から課税事業者になるための「消費税課税事業者選択届出書」は、この記事の2種類とは別の届出書です。提出期限・2年間やめられない縛り・還付の条件は、課税事業者選択届出書の記事で説明しています。

ここでは、どの売上でどの届出書を使うのか、いつ出すのか、出さなくてよい場合はどんなときかを、国税庁の情報と消費税法57条にそって整理します。

3つの届出書の使い分け

売上の基準を超えたら「課税事業者届出書」、戻ったら「納税義務者でなくなった旨の届出書」:国税庁の一覧では、どれも提出期限は「事由が生じた場合速やかに」とされています。提出先は納税地の所轄税務署長です。
届出書出す場面提出期限
消費税課税事業者届出書(基準期間用)基準期間における課税売上高が1,000万円超となったとき事由が生じた場合速やかに
消費税課税事業者届出書(特定期間用)特定期間における課税売上高が1,000万円超となったとき事由が生じた場合速やかに
消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書基準期間における課税売上高が1,000万円以下となったとき事由が生じた場合速やかに

消費税法57条は、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えることとなった場合などに、その旨を記載した届出書を速やかに税務署長へ提出するよう定めています。

課税事業者選択届出書や簡易課税の届出書のように「課税期間の初日の前日まで」という期限はありません。ただし「速やかに」とされているため、状況が変わったら早めに出します。

課税事業者届出書(基準期間用)

基準期間は、個人事業者ではその年の前々年です。前々年の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は納税義務が免除されません(国税庁No.6501)。

課税売上高が1,000万円を超えた年課税事業者になる年(個人)
2026年2028年
2027年2029年

たとえば2026年の課税売上高が1,000万円を超えた個人事業者は、2028年が課税事業者です。2026年の売上が確定した時点で、2028年から申告が必要になることが見えるので、届出書を出し、申告の準備に入ります。

判定の考え方は個人事業主の消費税はいつから・いくら?で、税額の計算は簡易課税と本則課税の違いで整理しています。

課税事業者届出書(特定期間用)

基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えると、納税義務は免除されません(国税庁No.6501)。個人事業者の特定期間は、その年の前年の1月1日から6月30日までです。

  • 特定期間の1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額で行うこともできます。どちらで判定するかは納税者の任意です。
  • 給与等支払額に数えるもの・数えないものは特定期間の給与等支払額で整理しています。
  • 令和6年10月1日以後に開始する課税期間から、国外事業者は給与等支払額で判定できません。

前年の上半期の売上が1,000万円を超えたら、その年は課税事業者になる可能性があります。判定のしかたは消費税の特定期間で詳しく書いています。特定期間用の届出書も、基準期間用と同じく「速やかに」提出します。

納税義務者でなくなった旨の届出書

課税事業者だった事業者の基準期間の課税売上高が1,000万円以下となったときは、「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を出します。

1,000万円以下になったからといって、すぐに免税事業者になるとは限りません。次の場合は、届出の対象外になります。

  • 課税事業者選択届出書を出して課税事業者となっている課税期間は、基準期間の売上が1,000万円以下でも納税義務は免除されない(選択をやめる届出は課税事業者選択不適用届出書)。
  • 適格請求書発行事業者の登録を受けている場合も、納税義務は免除されない。

なお、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合も、基準期間が1,000万円以下でも納税義務は免除されません(国税庁No.6501)。これは届出の除外事由ではなく、納税義務の判定の話です。

消費税法57条1項2号も、この届出は、選択届出書を提出している場合や適格請求書発行事業者の登録を受けている場合を除くと定めています。インボイスに登録している個人事業者は、売上が下がっても免税事業者に戻れません。

登録するかどうかの判断はインボイス登録の判断基準で確認できます。

届出書が要らない場合

届出書は、状況が変わったことを税務署へ知らせるためのものです。次の場合は、届出書を出す場面が別に決まっています。

状況届出書など
新設法人に該当した消費税の新設法人に該当する旨の届出書(法人設立届出書に所要の事項を記載して出した場合は提出不要。国税庁)
特定新規設立法人に該当した消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書(事由が生じた場合速やかに。国税庁)
免税事業者が自分で課税事業者になりたい課税事業者選択届出書(課税期間の初日の前日まで)
課税事業者が事業を廃止した事業を廃止した旨の届出書(消費税法57条1項3号)。廃業年の申告は廃業した年の消費税を参照
個人事業者が死亡した死亡した旨の届出書を相続人が提出(消費税法57条1項4号)

相続があった場合は、相続人の納税義務の判定に被相続人の売上が加わる特例(消費税法10条)があります。詳しくは国税庁No.6501の「相続、合併、分割があった場合の納税義務の免除の特例」で確認してください。

提出前の確認手順

  1. 基準期間の課税売上高を確認する。個人は前々年の課税売上高です。
  2. 特定期間も見る。前年1月1日〜6月30日の課税売上高、または給与等支払額を確認します。
  3. 届出書を選ぶ。超えたなら課税事業者届出書、戻ったなら納税義務者でなくなった旨の届出書です。
  4. 登録や選択届出の有無を確認する。インボイス登録や選択届出書があると、戻る届出の対象外になります。
  5. 税務署へ速やかに出す。課税事業者になる年の申告・納税の準備も進めます。

届出書の様式は国税庁のサイトで入手できます。ほかの消費税の届出書は届出一覧にまとめています。災害などで期限までに届出書を出せなかったときの承認申請は、消費税の届出書を出せなかったときで確認できます。

次に知りたいこと

課税事業者になった場合の税額は消費税4方式の比較シミュレーターで試算できます。

判定から届出・申告・納付までの順番と期限は消費税のまとめで一覧にしています。個人事業者の本則課税の申告書の記入順は本則課税の申告書の書き方にあります。

公式情報

まとめ

  • 基準期間(個人は前々年)または特定期間の課税売上高が1,000万円を超えたら、消費税課税事業者届出書を速やかに出す。
  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下になったら、納税義務者でなくなった旨の届出書を出す。
  • 課税事業者選択届出書の提出中や、適格請求書発行事業者の登録中は、売上が下がっても免税には戻れない。
  • 期限は「速やかに」。申告の準備のため、課税事業者になる年の前に出しておく。

よくある質問

消費税課税事業者届出書はいつ出しますか?
基準期間または特定期間の課税売上高が1,000万円を超えたときに、速やかに出します。国税庁の届出書一覧では、提出期限は「事由が生じた場合速やかに」とされています(出典:国税庁、消費税法57条)。
売上が1,000万円以下に戻ったら、届出書は出しますか?
基準期間の課税売上高が1,000万円以下となったときは、納税義務者でなくなった旨の届出書を出します。ただし選択届出書を出している場合や適格請求書発行事業者の登録を受けている場合は対象外です(出典:国税庁、消費税法57条)。
特定期間の売上は、給与の額で判定できますか?
特定期間の1,000万円の判定は、課税売上高に代えて給与等支払額の合計額で行えます。どちらで判定するかは納税者の任意です。国外事業者は令和6年10月1日以後に開始する課税期間から、給与等支払額での判定はできません(出典:国税庁)。
本記事について。税理士監修前の概説です。届出の要否や期限は個別の事情で変わるため、届出前に税務署または税理士へ確認してください。