消費税の届出書を出せなかったとき|やむを得ない事情の承認申請
課税事業者選択届出書や簡易課税制度選択届出書を、課税期間が始まる前に出せなかったときに使える特例を整理します。災害・相続などの対象、承認申請書の期限(やんだ日から2か月以内)、出し忘れが対象外である点を説明します。
消費税課税事業者選択届出書も簡易課税制度選択届出書も、使いたい課税期間が始まる前に出すのが原則です。期限に間に合わなかったときは、所轄の税務署長の承認を受ければ、その課税期間の前に出したものとみなされる特例があります。
ただし、国税庁は届出書の提出を忘れていた場合は「やむを得ない事情」に当たらないとしています。この記事では、特例の対象になる事情、承認申請書の出し方と期限、災害で簡易課税を選ぶ(やめる)特例との違いを整理します。
特例の前提:届出書は課税期間の前に出す
課税事業者を選ぶ届出書(課税事業者選択届出書)と、簡易課税を選ぶ届出書(簡易課税制度選択届出書)は、どちらも適用を受けたい課税期間の初日の前日までに出すのが原則です。やめる場合の不適用届出書も同じ考え方です。
提出期限と2年間の縛りは、課税事業者選択届出書の記事と簡易課税制度選択届出書の記事で確認できます。この記事は、その期限に間に合わなかった場合の救済に絞ります。
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対象になる「やむを得ない事情」
国税庁のタックスアンサー(No.6630・No.6633)は、「やむを得ない事情」を次のように示しています。
- 震災、風水害、雪害、凍害、落雷、雪崩、がけ崩れ、地滑り、火山の噴火などの天災、または火災その他の人的災害で自己の責任によらないものにより、届出書を出せない状態になったと認められる場合
- 上の災害に準ずる状況、または事業者の責めに帰することができない状態により、届出書を出せない状態になったと認められる場合
- 課税期間の末日前おおむね1か月以内に相続があり、相続人が新たに届出書を出せる個人事業者となった場合
- 上の事情に準ずる場合で、税務署長がやむを得ないと認めた場合
届出書の提出を忘れていた場合は、やむを得ない事情に当たりません。承認されるかどうかは税務署長の判断です。災害や相続の事情があっても、出せなかった理由を申請書に書いて承認を受ける必要があります。
承認申請書の出し方と期限
承認を受けたい事業者は、選択(またはやめる)しようとする課税期間の初日と、その前日までに届出書を出せなかった事情などを書いた申請書を、やむを得ない事情がやんだ日から2か月以内に所轄の税務署長へ出します。届出書の種類で申請書が分かれています。
- 課税事業者の選択・不適用:「消費税課税事業者選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」
- 簡易課税の選択・不適用:「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」
申請書と一緒に、実際に選びたい(またはやめたい)届出書そのものも出します。承認されると、その課税期間の前に届出書を出したものとみなされます。
タックスアンサーに載っている根拠条文は、課税事業者の選択では消費税法第9条と施行令第20条の2、簡易課税では消費税法第37条と施行令第57条の2です。
災害で簡易課税を選ぶ・やめる特例
もう一つ、期限に遅れたのではなく、災害をきっかけに簡易課税の選択を変える必要が出た場合の特例があります(No.6632)。災害その他やむを得ない理由で被害を受けた事業者が、その被害により簡易課税を選ぶ必要が出た、または選ぶ必要がなくなったときに、税務署長の承認を受けて、災害のあった日の属する課税期間から適用を受ける、またはやめることができます。
国税庁は、次の例を挙げています。
- 災害で事務処理の能力が下がり、簡易課税で申告する必要が生じた場合
- 災害で棚卸資産などの業務用資産に大きな損失を受け、緊急の設備投資をするために簡易課税をやめる必要が生じた場合
手続きは、災害等がやんだ日から原則2か月以内に、「災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」を納税地の税務署長に出します。災害の内容と、この特例が必要になった事情を書きます。
簡易課税制度選択(不適用)届出書も一緒に出します。根拠は消費税法第37条の2です。
3つの特例の比較
| 特例 | 対象の届出 | 申請書 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 課税事業者の届出が間に合わなかった(No.6630) | 課税事業者選択届出書・不適用届出書 | 消費税課税事業者選択(不適用)届出に係る特例承認申請書 | やむを得ない事情がやんだ日から2か月以内 |
| 簡易課税の届出が間に合わなかった(No.6633) | 簡易課税制度選択届出書・不適用届出書 | 消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書 | やむを得ない事情がやんだ日から2か月以内 |
| 災害で簡易課税を選ぶ・やめる必要が生じた(No.6632) | 簡易課税制度選択届出書・不適用届出書 | 災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書 | 災害等がやんだ日から原則2か月以内 |
前の2つは、出せなかった事情があるときに、期限を過ぎた届出を認めてもらう手続きです。最後の1つは、災害の被害という事情そのものが、簡易課税を選ぶ理由やめる理由になるときの手続きです。どれも提出を忘れた場合の救済ではありません。
公式一次情報
- 国税庁 タックスアンサー No.6630 やむを得ない事情により課税事業者選択届出書の提出が間に合わなかった場合(2026-10-16確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6633 やむを得ない事情により簡易課税制度選択届出書の提出が間に合わなかった場合(2026-10-16確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6632 災害等により簡易課税制度の適用を受ける(受けることをやめる)必要が生じた場合(2026-10-16確認)
まとめ
課税事業者選択や簡易課税の届出書を課税期間の前に出せなかったときは、災害・相続などのやむを得ない事情があれば、事情がやんだ日から2か月以内に承認申請書を出す方法があります。出し忘れは対象外です。災害で簡易課税を選ぶ(やめる)必要が生じた場合は、別の特例(災害等がやんだ日から原則2か月以内)があります。
次に知りたいことは、課税事業者選択届出書、簡易課税制度選択届出書、課税期間の特例の記事で確認できます。
よくある質問
- 簡易課税の届出書を出し忘れたとき、承認申請で救済されますか?
- 国税庁は、届出書の提出を忘れていた場合は「やむを得ない事情」に当たらないとしています(No.6630・No.6633)。災害や相続など、出せなかった事情が必要です。
- 承認申請書はいつまでに出しますか?
- やむを得ない事情がやんだ日から2か月以内に、所轄の税務署長へ出します。災害で簡易課税を選ぶ・やめる特例も、災害等がやんだ日から原則2か月以内です。
- 承認申請書だけ出せば足りますか?
- 足りません。実際に選びたい(またはやめたい)課税事業者選択(不適用)届出書や簡易課税制度選択(不適用)届出書も、申請書と併せて出します。
- 相続があったときも対象になりますか?
- 課税期間の末日前おおむね1か月以内に相続があり、相続人が新たに届出書を出せる個人事業者となった場合が、やむを得ない事情の一つに挙げられています。

