ガイド

消費税の課税期間の特例|3か月・1か月に短縮する届出と2年縛り

課税期間を3か月ごと・1か月ごとに区切る特例の届出期限、申告期限、やめられない期間を整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

消費税の課税期間は、個人事業者なら1月1日から12月31日まで、法人なら事業年度です。届出書を出すと、この期間を3か月ごと、または1か月ごとに短縮できます。

短縮すると申告と納税の回数が増え、一度選ぶと2年間はやめられません。届出の期限、申告期限、やめるときの手続きを分けて確認します。

課税期間の特例とは

課税期間を短く区切る選択制度:国税庁は、課税期間は特例として事業者の選択により、3か月ごとまたは1か月ごとに区分して短縮できると案内しています。区切り方は、個人事業者と法人で異なります。
事業者3か月ごとの場合1か月ごとの場合
個人事業者1〜3月、4〜6月、7〜9月、10〜12月1月1日から1か月ごと
法人事業年度の初日から3か月ごと事業年度の初日から1か月ごと

法人は、3か月ごとの特例なら事業年度が3か月を超える法人、1か月ごとの特例なら事業年度が1か月を超える法人が対象です(消費税法第19条第1項)。

短縮した各期間が1つの課税期間になるため、消費税の申告と納税もその期間ごとに行います。

届出書の名称と提出期限

選ぶとき、または3か月と1か月を変えるときの届出書は「消費税課税期間特例選択・変更届出書」です。やめるときは「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を出します。提出先は納税地の所轄税務署です。

提出期限は、短縮したい期間の初日の前日までです。事業を開始した日の属する期間から選ぶ場合は、その期間の末日までに出せば、その期間から選べます。

場面提出期限
通常の場合適用を受けたい期間の初日の前日まで
事業を開始した期間から選ぶ場合その事業を開始した日の属する課税期間の末日まで

年や事業年度の途中から適用すると、課税期間の開始の日から適用開始の日の前日までが1つの課税期間として扱われます。この期間分も別に申告します(国税庁「No.6137 課税期間」の注)。

短縮したときの申告期限

申告と納付の期限は、原則として各期間の末日の翌日から2か月以内です(国税庁「No.6601 申告と納税」)。個人事業者の3か月ごとの特例では、次の期限になります。

対象期間申告・納付の期限
1月〜3月分5月31日
4月〜6月分8月31日
7月〜9月分11月30日
10月〜12月分翌年3月31日

1か月ごとの特例の個人事業者は、1〜11月分が末日の翌日から2か月以内、12月分が翌年3月31日までです。

法人は、3か月ごと・1か月ごとのどちらも各期間の末日の翌日から2か月以内です。消費税の確定申告の期限の延長特例を受けている法人の事業年度の最後の期間は、3か月以内になります。

仕入れや経費が多く、納める消費税より控除できる消費税のほうが大きい期間は、その期間分の還付申告ができます。年1回では事業年度が終わるまで待つ還付も、短縮すると期間ごとに申告できる構造です。ただし国税庁の案内に「還付が早くなる」という記載は見当たらず、手続きの手間と回数が増える点も合わせて判断します。

2年間はやめられない

国税庁は、課税期間の特例を受けた場合、事業を廃止した場合を除き、2年間はやめられないと案内しています。やめるときは、やめたい期間の初日の前日までに「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を出します。

  • 適用を始めた期間の初日から2年を経過する日の属する期間の初日以後でないと、やめる届出書は出せません。
  • 3か月ごとから1か月ごとへ(逆も同じ)変える場合も、変更前の特例を受けた期間の開始の日から2年間は変更できません。
  • やめた場合、適用をやめた期間の末日の翌日から、その年の12月31日または事業年度の末日までが1つの課税期間になります。

同じ種類の2年縛りは、課税事業者選択届出書や簡易課税制度にもあります。届出書ごとに別々に数える必要があります。

中間申告との関係

消費税法第42条は、中間申告をする事業者から、課税期間の特例の届出書を出している事業者を除いています。短縮した事業者は、年の途中の中間申告ではなく、期間ごとの確定申告になります。

個人事業者の中間納付の基準は「消費税の中間納付」で整理しています。

使う前の注意点

  • 免税事業者になっても、基準期間の課税売上高が1,000万円以下になっただけでは届出書の効力は失われません(消費税法基本通達3-3-1)。課税事業者に戻ると短縮が続いている場合があります。
  • 相続や合併などで事業を引き継いだ人は、前の事業者の届出書の効力を受けません。必要なら新たに届出書を出します(同通達3-3-2〜3-3-4)。
  • 事業を廃止するときは、不適用届出書か事業廃止届出書のどちらかで足ります。
  • 簡易課税や課税事業者選択と同時に使う場合の期間の扱いは、国税庁の案内で個別に確認できませんでした。組み合わせる前に税務署へ確認してください。

課税事業者になるかどうかの判定は「消費税はいつから?」、前年上半期の判定は「消費税の特定期間」、廃業時の届出は廃業の手続きで整理しています。届出書の全体は届出一覧で確認できます。

まとめ

  • 課税期間の特例は、課税期間を3か月ごと、または1か月ごとに短縮する選択制度。
  • 届出書は「消費税課税期間特例選択・変更届出書」。短縮したい期間の初日の前日までに出す。
  • 申告・納付は各期間の末日の翌日から2か月以内。個人事業者の10〜12月分は翌年3月31日。
  • 事業を廃止した場合を除き、2年間はやめられない。
  • 特例を出している事業者は、消費税の中間申告の対象から除かれる。

各方式の納税額は消費税4方式の比較シミュレーターで確認できます。

公式情報

よくある質問

消費税の課税期間の特例とは何ですか?
課税期間を3か月ごと、または1か月ごとに短縮できる選択制度です。届出書を税務署に出すと、短縮した期間ごとに消費税の申告と納税を行います(出典:国税庁)。
課税期間の特例の届出はいつまでに出しますか?
適用を受けたい期間の初日の前日までです。事業を開始した期間から選ぶ場合は、その期間の末日までに出せば、その期間から選べます(出典:国税庁)。
課税期間の特例は途中でやめられますか?
事業を廃止した場合を除き、2年間はやめられません。やめるときは、やめたい期間の初日の前日までに不適用届出書を出します(出典:国税庁)。
個人事業者の3か月ごとの申告期限はいつですか?
1〜3月分は5月31日、4〜6月分は8月31日、7〜9月分は11月30日、10〜12月分は翌年3月31日です(出典:国税庁)。
本記事について。税理士監修前の概説です。届出の要否や期間の扱いは個別の事情で変わるため、届出前に税務署または税理士へ確認してください。

あわせて読む