法人成り初年度の簡易課税届出の期限
個人事業主が法人を設立したとき、簡易課税を最初の事業年度から使うための届出書、期限、同時に確認する届出を整理します。
国税庁の制度法人成りをすると、個人事業のときに出した簡易課税の届出とは別に、法人として消費税の届出を考える場面があります。設立直後は忙しく、届出の期限を逃しやすい時期です。
ここでは、法人の最初の事業年度から簡易課税を使うための「消費税簡易課税制度選択届出書」の期限と、あわせて確認する点を、国税庁の案内に沿って説明します。
最初の課税期間から使う場合の提出期限
通常の期限は「適用を受けたい課税期間の初日の前日」です。事業を開始した日の属する課税期間から選ぶ場合は、特例としてその課税期間の終了の日まで出せます。法人成りの場合、通常は設立した事業年度がこれに当たります。
国税庁の手続案内「廃業する場合」にも、個人事業を新設法人に引き継ぐ場合の項目として、「設立時から簡易課税制度を選択しようとする者」が挙げられ、提出する書類は「消費税簡易課税制度選択届出書」とされています。
| 場面 | 提出期限の考え方 |
|---|---|
| 設立1期目から簡易課税を使いたい | 事業を開始した日の属する課税期間(通常は設立事業年度)の終了の日まで |
| 2期目から使いたい | 2期目の初日の前日まで(1期目の終了の日まで) |
設立から1年目の決算日までという意味なので、決算日の直前まで余裕がある一方、申告の準備に入ってから気づくと間に合いません。設立登記を終えた時点で、出すかどうかを決めておくと安全です。
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個人から法人に切り替える手続きと、設立後の税金・経理を一冊で確かめたいとき向けです。
個人事業のときの売上は法人の基準期間に入らない
国税庁は、個人事業者がいわゆる法人成りにより新規に法人を設立した場合、個人事業者であった期間の課税売上高は、その法人の基準期間の課税売上高には含まれないとしています(No.6531)。
簡易課税は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることが使える条件です。法人成り直後の法人には基準期間がないため、この条件は設立1期目・2期目では問題になりません。
個人事業のときに簡易課税を使っていた人でも、法人は個人とは別の納税者です。個人のときの届出の効力を前提にせず、法人として届出書を出すかどうかを決めて準備します。
免税のまま設立する法人は、簡易課税の前に課税事業者かを確認する
国税庁は、新たに設立された法人は設立1期目と2期目に基準期間がないため、原則として納税義務が免除されると案内しています。ただし、事業年度の開始の日の資本金が1,000万円以上の法人や、特定新規設立法人に当たる法人は免除されません(No.6501、No.6531)。
簡易課税は課税事業者が使う計算方法です。免税の法人は消費税を納めないので、簡易課税の届出を出しても、免税の間は計算に使う場面がありません。
| 設立時の状況 | 簡易課税で確認すること |
|---|---|
| 資本金1,000万円以上、または特定新規設立法人 | 1期目から課税事業者。簡易課税を使うなら設立事業年度の終了の日までに届出 |
| 資本金1,000万円未満で免税 | 課税事業者を自分で選ぶ場合や、インボイスの登録を受ける場合に、簡易課税も検討 |
自分から課税事業者になる届出は「消費税課税事業者選択届出書」です。設立時から課税事業者になる場合の期限は、法人設立の日の属する課税期間の末日までと、国税庁が案内しています。詳しくは課税事業者選択届出書で整理しています。
法人成りで消費税が免税になる条件は、「法人成りで消費税は2年免税?」で確認できます。
出したあとの2年間の制限と、設備投資の制限
簡易課税を使い始めたあと、やめたいときは「簡易課税制度選択不適用届出書」を出します。ただし、事業を廃止した場合を除き、使い始めてから2年間は出せません。具体的には、選択の効力が生じた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後に限られます(No.6505)。
課税事業者選択届出書を出して課税事業者になった場合は、設備投資にも制限がかかります。課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過するまでの間に開始した各課税期間中に、調整対象固定資産(1取引100万円以上〈税抜〉の建物、機械、車両、器具備品など)の課税仕入れを行った場合です(簡易課税の適用を受ける課税期間を除く)。
この場合、その仕入れを行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でないと、簡易課税制度選択届出書を出せなくなります(No.6531)。
課税事業者選択届出書を出している場合に設立直後の設備や車の購入を予定しているなら、簡易課税を選ぶかどうかを購入より先に決めておく必要があります。購入後に気づいても、制限の期間内は届出書を出せません。
設立時の確認手順
- 資本金の額と株主の構成から、設立1期目が免税か課税かを確認する。
- 課税になる、または自分で課税事業者を選ぶなら、簡易課税と本則課税のどちらが有利かを見積もる(簡易課税と本則課税の違い)。
- 設立1期目に、設備投資や仕入れが大きいなら、本則課税で還付を受けられるかも比べる。
- 簡易課税を選ぶなら、事業を開始した日の属する課税期間の終了の日までに、所轄税務署へ届出書を出す。期限と提出の控えは日付つきで残す。
- 出したあとの2年間は、不適用届出書を出せないことを前提に、2期目以降の計画を立てる。
届出書を出し忘れたときは、消費税の届出書を出せなかったときで、やむを得ない事情の取扱いを確認できます。届出状況は届出状況の確認方法で調べられます。
次に知りたいこと
簡易課税制度選択届出書の提出期限:一般的な期限、2年縛り、やめ方
法人成りで消費税は2年免税?:新設法人の判定条件
簡易課税の事業区分:第1種〜第6種の判定
実際の税額の差は消費税4方式の比較シミュレーターで試算できます。判定から届出・申告・納付までの順番は消費税のまとめで一覧にしています。
公式情報
- 国税庁「No.6629 消費税の各種届出書」(事業を開始した日の属する課税期間から選択する場合の提出期限)
- 国税庁「廃業する場合」(個人事業を新設法人に引き継ぐ場合の、設立時から簡易課税制度を選択しようとする者の届出書、設立時から課税事業者となる場合の届出)
- 国税庁「No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき」(法人成りの課税売上高の取扱い、課税事業者選択後の制限)
- 国税庁「No.6501 納税義務の免除」(新設法人の納税義務の免除)
- 国税庁「No.6505 簡易課税制度」(不適用届出書と2年間の制限)
まとめ
- 法人の最初の課税期間から簡易課税を使う届出書は、事業を開始した日の属する課税期間の終了の日までに出せる。
- 個人事業のときの課税売上高は、法人の基準期間には含まれない。
- 免税の法人は、簡易課税の前に、課税事業者かどうかを確認する。
- 出したあとは2年間やめられない。課税事業者を選んだ場合は、設備投資の時期にも制限がある。
よくある質問
- 法人成りした最初の事業年度から簡易課税を使うには、いつまでに届出書を出しますか?
- 事業を開始した日の属する課税期間(通常は最初の事業年度)の終了の日までです。事業を開始した日の属する課税期間から選択する場合の特例として、国税庁が案内しています(出典:国税庁)。
- 個人事業のときの売上は、法人の基準期間に入りますか?
- 入りません。国税庁は、法人成りで新規に設立した法人の基準期間の課税売上高に、個人事業者であった期間の課税売上高は含まれないとしています(出典:国税庁)。
- 資本金1,000万円未満で免税の法人でも、簡易課税の届出書を出す意味はありますか?
- 免税の間は消費税を納めないため、簡易課税を使う場面はありません。設立時から課税事業者になる場合などに、必要かどうかを検討します(出典:国税庁)。

