免税期間を含む基準期間の課税売上高の計算
基準期間の途中で免税事業者から課税事業者になった場合、免税だった期間の売上は税抜きにせず、そのまま加えます。国税庁の計算例(税込550万円の免税期間と税込440万円の課税期間で合計950万円)と、免税期間の売上に返品・値引があったときの扱い、輸出などの免税売上の足し方をまとめます。
消費税基準期間の課税売上高は、税込みの売上を税抜きに直して判定します。ところが、基準期間の途中で免税事業者から課税事業者に変わった人は、期間の前半と後半で数え方が違います。
この記事は、その違いだけを扱います。
基準期間の範囲、非課税売上、法人の年換算は消費税の基準期間で説明しています。1,000万円を超えたあとの判定は個人事業主の消費税はいつからを見てください。
途中で課税事業者になる場面
適格請求書発行事業者の登録を受けた免税事業者は、登録日から課税事業者になります。登録日が基準期間の途中なら、その基準期間には免税の期間と課税の期間が混ざります。
国税庁の案内(確定申告書等作成コーナーのよくある質問)は、令和5年10月1日から課税事業者になった個人事業者が、令和7年分の申告を行う場合を例にしています。基準期間は令和5年の1年間で、免税だった令和5年1月〜9月も含めて課税売上高を計算します。
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免税だった期間は税抜きにしない
国税庁の案内は、免税事業者だった期間の売上げは、税抜処理を行わず、そのまま課税売上高になるとしています(非課税売上げ等は除きます)。免税事業者の売上には消費税相当額が含まれていないという考え方です。
国税庁の計算例は次のとおりです。適用税率はすべて10%です。
| 期間 | 課税売上高(税込) | 基準期間の課税売上高への入れ方 |
|---|---|---|
| 令和5年1月〜9月(免税事業者) | 5,500,000円 | そのまま5,500,000円 |
| 令和5年10月〜12月(課税事業者) | 4,400,000円 | 100/110を掛けて4,000,000円 |
| 合計 | ― | 9,500,000円 |
仮に全期間を税抜きに直すと、5,500,000円は5,000,000円となり、合計は9,000,000円です。免税だった期間を税抜きにしてしまうと、基準期間の課税売上高が実際より小さく出ます。1,000万円との差が小さい人は、どの月から課税事業者だったかを必ず確かめてください。
この例の合計は950万円で、1,000万円以下です。
ただし、基準期間の売上が1,000万円以下でも、適格請求書発行事業者の登録を受けている間は免税になりません。特定期間の判定で課税事業者になる場合もあります。登録するかどうかはインボイス登録の判断、特定期間の判定は特定期間の記事を参照してください。
免税だった期間の返品・値引・割戻し
免税事業者だった期間の売上について、課税事業者になった後に返品や値引き、割戻しが生じることがあります。国税庁の質疑応答事例は、この返還等について、基準期間における課税売上高の計算では売上げに係る対価の返還等に対する消費税額はないものとして計算するとしています。
免税の期間の売上げは、消費税の納税が免除されている課税期間のものだからです。返還等の金額から消費税額を切り分ける処理は行いません。
輸出などの免税売上は足す
ここでいう「免税事業者だった期間」と、輸出取引などの「免税売上」は別のものです。国税庁の案内では、基準期間の課税売上高は、課税される取引の売上金額(消費税額と地方消費税額を除く)と、輸出取引などの免税売上金額の合計額です。
輸出取引などの免税売上は、課税事業者の期間でも課税売上高に足します。非課税売上げ(土地の譲渡や預貯金の利子など)は足しません。
まとめ
- 基準期間の途中で免税事業者から課税事業者になると、期間の前半と後半で数え方が変わる。
- 免税事業者だった期間の売上げは、税抜処理をせずそのまま課税売上高にする。
- 課税事業者だった期間の売上げは、税抜きにして足す。
- 免税だった期間の売上の返還等は、消費税額はないものとして計算する。
- 輸出取引などの免税売上は足し、非課税売上げは足さない。
次に知りたいこと
消費税の基準期間とは(個人は前々年・法人は前々事業年度)
インボイス登録をすべきかの判断
特定期間の給与等支払額に含めるもの
よくある質問
- インボイス登録で途中から課税事業者になった年は、基準期間の売上をどう計算しますか?
- 免税事業者だった期間の売上げは税抜処理をせずそのまま加え、課税事業者だった期間の売上げは税抜きにして合計します(出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「基準期間の課税売上高とは」)。
- 免税だった期間の売上げを税抜きにしないのはなぜですか?
- 免税事業者の売上には消費税相当額が含まれていないため、その売上げがそのまま課税売上高になるとされています(出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「基準期間の課税売上高とは」)。
- 免税だった期間の売上に返品や値引きがあったときは?
- 売上げに係る対価の返還等に対する消費税額はないものとして、基準期間の課税売上高を計算します(出典:国税庁質疑応答事例「免税期間の資産の譲渡に係る対価の返還等の取扱い」)。
- 輸出売上は基準期間の課税売上高に入りますか?
- 輸出取引などの免税売上金額は、課税される取引の売上金額(消費税額を除く)と合わせて、課税売上高に含まれます(出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「基準期間の課税売上高とは」)。
判定から届出・申告・納付までの順番と期限は消費税のまとめで一覧にしています。
公式一次情報
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー「基準期間の課税売上高とは」(免税売上の扱い、免税事業者だった期間の売上と計算例。2026-10-15確認)
- 国税庁 質疑応答事例「免税期間の資産の譲渡に係る対価の返還等の取扱い」(免税だった期間の売上の返還等の扱い。2026-10-15確認)
- e-Gov法令検索「消費税法」(9条2項:基準期間における課税売上高。2026-10-15確認)

