任意組合の消費税|売上と仕入は組合員の持分で各自の取引
仲間と共同で事業をするとき、消費税の売上と仕入は誰の取引になるのか。任意組合(民法上の組合)と匿名組合の違い、インボイスの届出を、消費税法基本通達1-3-1・1-3-2とタックスアンサーで整理します。
消費税複数の事業者が出資して共同で工事や商売をする場合、組合の売上や仕入は、組合そのものではなく、組合員それぞれが行った取引として扱われます。共同企業体(JV)で請負をする建設業の人が、よく当たる場面です。
消費税が課税される事業者の判定は消費税の基準期間と課税売上高1,000万円の判定で確認できます。この記事は、共同事業の取引がだれの取引になるかを扱います。
共同事業の取引は組合員の取引
消費税法基本通達1-3-1は、共同事業に属する資産の譲渡等と課税仕入れ等は、構成員が、持分の割合または利益の分配割合に対応する部分について、それぞれ行ったことになると定めています。人格のない社団等と匿名組合が行う事業は、ここでいう共同事業から除かれます。
国税庁のタックスアンサーNo.6121では、国内取引の消費税の納税義務者は事業者で、事業者でない者に納税の義務はないと説明されています。組合の取引が組合員の取引になるため、売上と仕入は組合員ごとの消費税の計算に入ります。
納税義務が免除されるかどうかは、タックスアンサーNo.6501のとおり、その課税期間の基準期間(個人事業者はその年の前々年)の課税売上高が1,000万円以下かどうかなどで決まります。特定期間の課税売上高が1,000万円を超えるときや、インボイスの登録をしているときなどは、免除されません。
この記事の内容を申告書に落とすときの本PR
消費税の申告やインボイスの扱いを、申告書の記入まで本で確かめたいとき向けです。
匿名組合は営業者の取引
匿名組合では、取引を行ったことになるのは組合員ではなく営業者です。基本通達1-3-2は、匿名組合の事業に属する資産の譲渡等と課税仕入れ等は、営業者が単独で行ったことになると定めています。
| 形態 | 売上と仕入がだれの取引になるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 任意組合などの共同事業 | 構成員が持分または利益の分配割合に応じてそれぞれ行ったことになる | 消費税法基本通達1-3-1 |
| 匿名組合 | 営業者が単独で行ったことになる | 消費税法基本通達1-3-2 |
共同企業体の例
タックスアンサーNo.6129は、建設業の共同企業体(JV)を例に挙げています。共同企業体は民法上の組合に当たるため、共同企業体が行う資産の譲渡等と課税仕入れは、各構成員の利益の分配割合に応じて、それぞれの構成員に直接帰属します。
次の表は説明用の架空条件です。
| 架空の場面 | 見方 |
|---|---|
| A社60%・B社40%の利益分配で、JVが建設機材を購入した | A社が60%分、B社が40%分の課税仕入れを行ったことになる |
| 同じJVが工事の目的物を引き渡した | A社が60%分、B社が40%分の課税資産の譲渡等を行ったことになる |
通達の文言は「持分の割合または利益の分配割合」です。分配割合が持分と違う場合の按分は、組合契約の内容によるため、税務署か税理士に確認してください。
インボイスは組合員全員の登録と届出が条件
タックスアンサーによると、共同企業体などの任意組合等が行う課税資産の譲渡等について適格請求書を交付できるのは、次の2つを満たす場合に限られます。
- 構成員のすべてが適格請求書発行事業者であること
- 民法670条3項の業務執行者などの業務執行組合員が、納税地の所轄税務署長に「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を提出すること
どちらかが欠けると、組合の名での適格請求書は交付できません。登録の手順はインボイスの登録方法で確認してください。
次に知りたいこと
消費税の特定期間(前年の上半期の売上が1,000万円を超えたとき)
インボイスの登録方法
消費税の課税・非課税・不課税の区分
まとめ
- 共同事業の売上と仕入は、構成員が持分または利益の分配割合に応じて、それぞれ行ったことになる(消費税法基本通達1-3-1)。
- 匿名組合は逆で、営業者が単独で行ったことになる(同1-3-2)。
- 建設業の共同企業体は民法上の組合に当たり、取引は各構成員の利益の分配割合に応じて直接帰属する。
- 組合の名で適格請求書を交付するには、構成員全員が登録事業者で、業務執行組合員が所定の届出書を出す必要がある。
よくある質問
- 任意組合の売上の消費税は、だれが申告しますか?
- 組合の売上は、構成員が持分の割合または利益の分配割合に応じて、それぞれ行った取引として扱われます。申告は事業者である各構成員が行います(出典:消費税法基本通達1-3-1、国税庁タックスアンサーNo.6121)。
- 匿名組合の場合も同じですか?
- 違います。匿名組合の事業は、営業者が単独で行ったことになります(出典:消費税法基本通達1-3-2)。
- 共同企業体(JV)が機材を買うと、仕入税額控除はどうなりますか?
- 各構成員の利益の分配割合に応じて、各構成員が課税仕入れを行ったことになります(出典:国税庁タックスアンサーNo.6129)。
- 組合の名前でインボイスを出すには、何が必要ですか?
- 構成員のすべてが適格請求書発行事業者であり、業務執行組合員が所定の届出書を所轄税務署長に提出することが必要です(出典:国税庁タックスアンサー)。
公式一次情報
- 国税庁 消費税法基本通達 第1章第3節(1-3-1・1-3-2)(共同事業と匿名組合。2026-10-24確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6129 共同企業体の消費税(直接帰属とインボイスの届出。2026-10-24確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6121 納税義務者(2026-10-24確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6501 納税義務の免除(2026-10-24確認)

