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会社分割をしたときの消費税の納税義務|新設分割と吸収分割の免税判定

会社分割で新しくできた会社や、事業を受け継いだ会社は、基準期間の売上が1,000万円以下でも免税にならない場合があります。新設分割と吸収分割に分けて、判定の順番と年換算の方法、分割後に出す届出を、消費税法12条と国税庁の案内で整理します。

消費税法12条・施行令23条
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

消費税は、基準期間(法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下なら、納税義務が免除されます。ただし会社分割があると、分割した側(分割法人・新設分割親法人)の売上が、受け継いだ側の免税判定に加わります。

この記事は、消費税法12条の判定を説明します。合併の場合は会社が合併したときの消費税の納税義務、会社法上の分割手続きは会社分割の手続きで扱っています。

分割があると何が変わるか

分割で新しくできた会社は、設立1期目と2期目に基準期間がないので、原則として免税です。吸収分割で事業を受け継いだ会社も、自社の基準期間の売上には受け継いだ事業の売上が入っていません。

そこで消費税法12条は、分割した側の売上が1,000万円を超えるときは、受け継いだ側の免税を認めないとしています。分割で事業を切り出して、免税を引き続き受ける形を防ぐ定めです。

この特例も、免税の判定にだけ関わります。免除されなくなる範囲は、新設分割や吸収分割があった日から、その日の属する事業年度の終了の日までの課税資産の譲渡等などです(12条1項・5項)。

新設分割の判定

12条でいう「分割等」には、新設分割のほか、法人が新たな法人を設立して事業の全部または一部を引き継ぐ一定の場合も含まれます(12条7項)。分割した法人を新設分割親法人、新しくできた法人を新設分割子法人と呼びます。

いつの事業年度か免除されなくなる条件
分割等があった事業年度(子法人)親法人の売上として計算した金額(親法人が2社以上ならいずれか1社)が1,000万円を超える(12条1項)
その翌事業年度(子法人)同じ形で、親法人の売上が1,000万円を超える(12条2項)
それ以後の事業年度(子法人)基準期間の末日に特定要件にあたり、子法人の基準期間の売上と親法人の売上の合計が1,000万円を超える(12条3項)。親法人が2社以上の分割は対象外
それ以後の事業年度(親法人)基準期間の末日に子法人が特定要件にあたり、親法人の基準期間の売上と子法人の売上の合計が1,000万円を超える(12条4項)

特定要件とは、子法人の発行済株式や出資の50%超を、親法人と、政令で定める特殊な関係にある者が持っている場合などをいいます(12条3項)。分割から時間がたっても、支配関係が続くかぎり、売上を合わせて見る仕組みです。

12条4項は、分割をした親法人の側にも免税の制限がかかる点が特徴です。切り出された子法人の売上が大きいと、親法人の基準期間の売上が1,000万円以下でも、親法人が課税事業者になる場合があります。

吸収分割の判定

吸収分割は、分割法人の事業を既存の会社(分割承継法人)が受け継ぐ形です。判定は次の2つです。

いつの事業年度か免除されなくなる条件
吸収分割があった事業年度分割法人の売上として計算した金額(分割法人が2社以上ならいずれか1社)が1,000万円を超える(12条5項)
その翌事業年度同じ形で、分割法人の売上が1,000万円を超える(12条6項)

どちらも、分割承継法人の基準期間の課税売上高が1,000万円以下である事業年度だけが対象です。合併と違って、分割承継法人自身の売上と分割法人の売上を足し合わせる判定はなく、分割法人の売上だけで1,000万円を超えるかを見ます。

分割した側の売上の出し方:12か月に換算する

親法人や分割法人の売上は、消費税法施行令23条に従って計算します。たとえば新設分割があった事業年度の判定(施行令23条1項)の流れは次のとおりです。

  1. 子法人の分割等があった日の属する事業年度の開始の日の2年前の日の前日から、その日以後1年を経過する日までの間に終了した、親法人の各事業年度を選ぶ
  2. その各事業年度の課税売上高(国内の課税資産の譲渡等の対価の額の合計から、売上げに係る対価の返還等の金額などを引いた額)を合計する
  3. 合計額を、各事業年度の月数の合計で割り、12を掛ける

親法人の事業年度が12か月でなくても、1年分に換算した金額で1,000万円を超えるかを判定します。月数は暦に従って数え、1か月に満たない端数は1か月とします(施行令23条8項)。吸収分割の判定も、同じ考え方で、対象の事業年度の範囲が項ごとに決まっています(同条6項・7項)。

分割等のうち、金銭を出資して設立した法人に金銭以外の資産を譲る形は、その譲渡が設立の時から6か月以内に行われたことなどが要件です(施行令23条9項)。

分割のあとに出す届出

消費税法57条1項1号は、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えることとなった場合に、その事業者が届出書を速やかに出すと定めています。かっこ書きには、12条1項から6項までの規定で免除されなくなった場合も含まれています。

したがって、分割によって免除されなくなった新設分割子法人・分割承継法人・親法人は、届出書を提出します。様式や記入方法は、国税庁の「消費税の各種届出書」の案内で確認してください。

簡易課税の選択や課税事業者選択との関係、特定新規設立法人としての判定は、この記事の範囲外です。新設された子法人については新設法人の消費税も確認してください。

公式一次情報

よくある質問

会社分割で新しく作った会社は、免税になりますか?
親法人の売上として計算した金額が1,000万円を超えると、分割等があった事業年度とその翌事業年度は免除されません(消費税法12条1項・2項)。
吸収分割では、受け継いだ会社の売上と足して判定しますか?
いいえ。吸収分割は、分割法人の売上として計算した金額が1,000万円を超えるかで判定します(12条5項・6項)。
分割した親法人にも影響しますか?
あります。分割から一定期間がたったあとは、子法人が特定要件にあたり、親法人と子法人の売上の合計が1,000万円を超えると、親法人も免除されません(12条4項)。
特定要件とは何ですか?
子法人の発行済株式や出資の50%超を、親法人と政令で定める特殊な関係にある者が持っている場合などをいいます(12条3項)。
分割のあと、届出は必要ですか?
免除されなくなった場合は、57条1項1号により届出書を速やかに出します。

まとめ

  • 会社分割では、分割した側の売上が1,000万円を超えると、受け継いだ側が免税にならない場合がある。
  • 新設分割は、分割があった事業年度と翌事業年度が親法人の売上で、その後は特定要件を満たすかぎり売上を合算して判定する。
  • 吸収分割は、分割があった事業年度と翌事業年度を、分割法人の売上だけで判定する。
  • 分割した側の売上は、対象の事業年度の課税売上高を12か月に換算して使う。
  • 免除されなくなったときは、届出書を速やかに出す。

次に知りたいことは、合併のときの消費税の納税義務、消費税の基準期間、課税事業者選択届出書です。

本記事について。税理士監修前の概説です。合併や相続の場合の特例、高額特定資産の特例などは含めていません。個別の判定は所轄の税務署または税理士にご確認ください。