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会社が合併したときの消費税の納税義務|免税になる条件と判定の順番

合併法人の基準期間の売上が1,000万円以下でも、消費税の納税義務が免除されない場合があります。吸収合併と新設合併に分けて、判定に使う売上の範囲と年換算の方法、合併後に出す届出を、消費税法11条と国税庁の案内で整理します。

消費税法11条・施行令22条
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

消費税は、その課税期間の基準期間(法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下なら、納税義務が免除されます。ところが会社が合併すると、消えた会社(被合併法人)の売上も判定に加わり、免税のままではいられない場合があります。

この記事は、合併をした会社(合併法人)の側の判定を説明します。基準期間そのものの数え方は消費税の基準期間、合併手続き全体は会社の合併の手続きで扱っています。

合併があると何が変わるか

消費税の納税義務は、原則として基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら免除されます。合併法人の基準期間には、被合併法人の売上は入っていません。そのため合併法人だけを見ると免税の条件を満たしていても、被合併法人の売上を足すと1,000万円を超える場合は、消費税法11条により免除されなくなります。

この特例は、免税の判定だけに関わります。合併の事業年度に課税事業者になる場合でも、合併前の期間の売上が申告の対象になるわけではありません。11条1項は、合併があった日から、その日の属する事業年度の終了の日までの間の課税資産の譲渡等が、免除されなくなる範囲だと定めています。

吸収合併の判定:合併した事業年度と、その後

吸収合併は、存続する会社が消滅する会社を取り込む形です。国税庁は、免除されないケースを次の2つに分けています。

いつの事業年度か免除されなくなる条件
合併があった事業年度被合併法人の売上として計算した金額(被合併法人が2社以上なら、いずれか1社の金額)が1,000万円を超える(11条1項)
その後の事業年度(基準期間の途中に合併があったとき)合併法人自身の基準期間の課税売上高と、被合併法人の売上として計算した金額(2社以上なら合計)の合算が1,000万円を超える(11条2項)

ポイントは、合併した事業年度は被合併法人1社ごとに見て、その後の事業年度は合併法人の売上と被合併法人の売上を合算して見る点です。2社以上を吸収したときは、合併した事業年度は1社でも1,000万円を超えればアウトで、その後は全社の合計で判定します。

11条1項・2項・4項は、いずれも基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業年度だけが対象です。基準期間の売上がすでに1,000万円を超える事業年度は、この特例を使うまでもなく課税事業者です。

新設合併の判定

新設合併は、合併する会社がすべて消滅し、新しく会社をつくる形です。新設された会社は、設立1期目と2期目に基準期間がないため、原則として免税です。そこに11条3項と4項が重なります。

いつの事業年度か免除されなくなる条件
新設合併があった事業年度被合併法人の売上として計算した金額のいずれかが1,000万円を超える(11条3項)
合併から2年以内に始まる事業年度合併法人の基準期間の課税売上高と、各被合併法人の売上として計算した金額の合計の合算が1,000万円を超える(11条4項)

4項の対象は、事業年度の開始の日の2年前の日から開始の日の前日までの間に合併があった場合です。新設合併のあと、合併から2年以内に始まる事業年度までは、被合併法人の売上が判定に加わります。

新設される会社の資本金が1,000万円以上であれば、合併とは別に、基準期間がない法人の特例で免税になりません。この点は新設法人の消費税で確認できます。

被合併法人の売上の出し方:12か月に換算する

被合併法人の売上は、決算書の売上をそのまま使うのではなく、消費税法施行令22条に従って計算します。1項(吸収合併があった事業年度)の流れは次のとおりです。

  1. 合併法人の合併があった事業年度の開始の日の2年前の日の前日から、その日以後1年を経過する日までの間に終了した、被合併法人の各事業年度を選ぶ
  2. その各事業年度の課税売上高(国内の課税資産の譲渡等の対価の額の合計から、売上げに係る対価の返還等の金額などを引いた額)を合計する
  3. 合計額を、各事業年度の月数の合計で割り、12を掛ける

つまり、被合併法人の事業年度が12か月ちょうどでなくても、1年分に換算した金額で1,000万円を超えるかを判定します。月数は暦に従って数え、1か月に満たない端数は1か月とします(施行令22条7項)。

対価の返還等を引く計算には、売上げに係る対価の返還等の金額に加えて、その金額に係る消費税額に100/78を掛けた金額を差し引く調整が入ります(施行令22条1項1号・2号)。値引きや返品のある会社は、決算書の数字を税抜きで整理してから当てはめてください。

2項・3項・4項は、対象とする被合併法人の事業年度の範囲や、合併前の期間の月数の扱いが少しずつ違います。実際の判定では、施行令22条の該当する項を見て当てはめる必要があります。

合併のあとに出す届出

消費税法57条1項は、次の場合に届出書を速やかに出すと定めています。

  • 基準期間の課税売上高が1,000万円を超えることとなった場合。11条などで免除されなくなった場合も含む(1号)。出すのは、その事業者
  • 法人が合併で消滅した場合(5号)。出すのは、合併法人。ただし、消滅した法人が免税事業者だった場合は対象外

合併により免除されなくなった場合も、57条1項1号のかっこ書きに含まれています。届出書の名称や様式は、国税庁の「消費税の各種届出書」の案内で確認してください。

消滅する法人が課税事業者だったときの手続きと、合併法人が課税事業者になる場合の簡易課税や課税事業者選択の扱いは、この記事の範囲外です。

公式一次情報

よくある質問

合併法人の基準期間の売上が1,000万円以下なら、必ず免税ですか?
いいえ。吸収合併では、被合併法人の売上として計算した金額が1,000万円を超えると、合併があった事業年度は免除されません(消費税法11条1項)。
被合併法人が2社あるとき、判定はどうなりますか?
合併があった事業年度は、いずれか1社の金額が1,000万円を超えれば免除されません。その後の事業年度は、2社の金額を合計して合併法人の売上と合算します(11条1項・2項)。
被合併法人の事業年度が1年未満のとき、売上はどう扱いますか?
課税売上高の合計を月数の合計で割り、12を掛けて1年分に換算します(施行令22条1項)。
新設合併でも同じ特例がありますか?
あります。新設合併があった事業年度は11条3項、合併から2年以内に始まる事業年度は11条4項で判定します。
合併で課税事業者になったら、届出は必要ですか?
免除されなくなった場合は、57条1項1号により届出書を速やかに出します。様式は国税庁の案内で確認してください。

まとめ

  • 合併法人の基準期間の売上が1,000万円以下でも、被合併法人の売上を加えると免税でなくなる場合がある。
  • 吸収合併は、合併した事業年度は被合併法人1社ごと、その後の事業年度は合算で判定する。
  • 新設合併は、合併した事業年度と、合併から2年以内に始まる事業年度で判定する。
  • 被合併法人の売上は、対象の事業年度の課税売上高を12か月に換算して使う。
  • 免除されなくなったときは、届出書を速やかに出す。

次に知りたいことは、消費税の基準期間、新設法人の消費税、課税事業者選択届出書です。

本記事について。税理士監修前の概説です。会社分割(会社分割をしたときの消費税の納税義務)や相続の場合の特例、高額特定資産の特例などは含めていません。個別の判定は所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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