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特定新規設立法人の判定|消費税が免税にならない場合

資本金1,000万円未満で設立すれば、1期目と2期目は消費税の納税義務が免除される、と覚えていると外れるケースがあります。特定要件(株式の50%超を持つ者がいるか)と、その者や関係会社の課税売上高が5億円を超えるかどうかの二段階の判定、届出書、調整対象固定資産の縛りを説明します。

消費税
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

設立1期目と2期目の法人には、納税義務を判定する基準期間がありません。そのため原則は免税ですが、資本金が1,000万円以上の「新設法人」と、資本金1,000万円未満でも一定の条件を満たす「特定新規設立法人」は、課税事業者になります。

特定新規設立法人の判定は、誰が株式の50%超を持っているか(特定要件)と、その者などの課税売上高が5億円を超えるかの二段階です。この記事では、判定の順序、親族や完全支配する法人まで含める範囲、届出書の扱い、調整対象固定資産を買ったときの縛りを整理します。

新設法人と特定新規設立法人の違い

国税庁のタックスアンサー(No.6503)は、設立1期目・2期目で免税にならない場合として次の2つを挙げています。

区分判定のもの課税事業者になる条件
新設法人事業年度開始の日の資本金の額・出資の金額1,000万円以上
特定新規設立法人資本金1,000万円未満の法人のうち、特定要件に当たり、かつ判定対象者の課税売上高が基準を超える法人基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円超(令和6年10月1日以後に開始する課税期間は、売上金額・収入金額その他の収益の額の合計額が50億円を超える場合も含む)

資本金の額は、設立1期目と2期目のそれぞれの期首の額で見ます。たとえば資本金900万円で設立し、1期目の途中で増資して1,000万円以上になれば、2期目は新設法人として課税事業者です。資本金の決め方は資本金の決め方の記事で確認できます。

なお、適格請求書発行事業者(インボイス登録をした事業者)は、基準期間の課税売上高や、この特例に当たるかどうかにかかわらず、納税義務は免除されません。

特定新規設立法人になる二段階の判定

特定新規設立法人に当たるのは、次の条件がすべてそろう場合です。

  • その事業年度に基準期間がなく、資本金が1,000万円未満である(社会福祉法人を除く)
  • その事業年度開始の日の現況で、特定要件に当たる
  • 特定要件の判定の基になった「他の者」と、その者と特殊な関係にある法人(特殊関係法人)のうち、どれか1者でも、新設法人の基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える

1つ目と2つ目は、設立時の出資の状況で決まります。3つ目は、出資している人や会社の売上で決まります。新設した法人自身の売上は、この判定に使いません。

特定要件:株式の50%超を持つ「他の者」

国税庁の質疑応答事例は、新規設立法人が特定要件に当たる場合を次のように示しています。判定は、基準期間がない事業年度の開始の日の現況で行います。

  • 他の者が、発行済株式等(自己株式を除く)の総数または総額の50%を超える株式・出資を持っている
  • 他の者と、その親族等や、他の者が完全支配する法人などを合わせて、50%を超える株式・出資を持っている
  • 他の者とこれらの者が、一定の議決権(役員の選任・解任、役員報酬、剰余金の配当などの決議に係る議決権を含む)の総数の50%を超える数を持っている
  • 持分会社(合同会社など)では、他の者とこれらの者が社員の過半数を占めている

ここでいう親族等には、親族のほか、婚姻の届出はないが事実上婚姻関係と同様の事情にある人、個人の他の者の使用人、他の者から受ける金銭その他の資産で生計を維持している人などが含まれます。

質疑応答事例の例では、資本金350万円の法人に、甲が150万円、甲が100%出資するA社が50万円、B社が150万円を出資しています。甲とA社を合わせて200万円で50%を超えるため、特定要件に当たると回答されています。個人が自分の法人を設立する場合は、出資する本人が「他の者」になります。

課税売上高5億円を見る相手:特殊関係法人

特定要件に当たったら、次に、他の者と特殊関係法人の課税売上高を見ます。特殊関係法人は、特定要件の基になった他の者と特殊な関係にある法人で、他の者などが完全支配している法人がその中心です。完全支配とは、発行済株式等の全部を持っている場合などをいいます。

質疑応答事例では、甲が100%出資するC社は特殊関係法人に当たるとされています。そのうえで、新設法人の基準期間に相当する期間に、C社の課税売上高が5億円を超えるか、C社の収益の額の合計額が国外のものを含めて50億円を超えれば、新設法人は特定新規設立法人になり、設立1期目と2期目の納税義務は免除されません。

一方、他の者と生計を一にしない親族等が完全支配している法人などは、非支配特殊関係法人として特殊関係法人から除かれます。この範囲の線引きは細かいため、出資者が複数いる場合や関係会社がある場合は、個別に税務署または税理士へ確認してください。

届出書の出し方

特定新規設立法人に当たることになった場合は、納税地の所轄税務署長に「消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書」を出すこととされています。新設法人の場合は「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」です。

新設法人については、法人設立届出書に、消費税の新設法人に該当する旨と所定の事項を書いて出せば、新設法人の届出書を出したものとして扱われます。法人設立届出書の出し方は法人設立の届出書の記事で確認できます。

調整対象固定資産を買ったときの縛り

新設法人や特定新規設立法人が、基準期間がない課税期間に調整対象固定資産を課税仕入れし、その課税期間を一般課税(本則課税)で申告すると、その後の選択が制限されます。調整対象固定資産は、建物、機械装置、車両、器具備品など、1つの取引単位の価額(税抜)が100万円以上の資産です。

  • 仕入れた課税期間から、その初日以後3年を経過する日の属する課税期間までは、免税事業者になれない
  • 仕入れを行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までは、簡易課税制度選択届出書を出せない

簡易課税を選ぶつもりで設立した法人が、1期目に100万円以上の設備を買うと、簡易課税に切り替えられない期間が生じます。3期目の具体例は設立3期目の消費税は免税かで確認できます。設備投資の時期と簡易課税の選択は、簡易課税制度選択届出書の記事と合わせて確認してください。

新設合併でできた法人は、被合併法人の売上による別の判定もあります。詳しくは会社が合併したときの消費税の納税義務、会社分割で作られた法人は会社分割をしたときの消費税の納税義務で確認できます。

公式一次情報

まとめ

資本金1,000万円未満で設立しても、株式の50%超を持つ者(親族や完全支配する法人を含む)がいて、その者や関係会社の基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超えれば、特定新規設立法人として設立1期目・2期目から課税事業者になります。新設した法人自身の売上は判定に使いません。届出書と、調整対象固定資産を買ったときの3年間の縛りも忘れずに確認します。

次に知りたいことは、法人成りと消費税の免税、特定期間の判定、1,000万円を超えたときの課税事業者の判定の記事で確認できます。

よくある質問

資本金1,000万円未満なら、1期目と2期目は必ず免税ですか?
いいえ。特定新規設立法人に当たる場合、インボイス登録をした場合、2期目の特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合などは、免税になりません(国税庁タックスアンサーNo.6503)。
特定新規設立法人の判定に、設立した法人自身の売上は使いますか?
使いません。株式の50%超を持つ他の者と、その特殊関係法人の、新設法人の基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超えるかで見ます。
家族が出資しているときも特定要件に入りますか?
他の者の親族等が持つ株式・出資も合算して50%超かどうかを見ます。親族のほか、事実上婚姻関係と同様の事情にある人なども含まれます(国税庁質疑応答事例)。
設立1期目に100万円以上の設備を買うと何が起きますか?
その課税期間を一般課税で申告した場合、仕入れた課税期間から3年を経過する日の属する課税期間までは免税事業者になれず、簡易課税の届出も一定期間出せません。
本記事について。税理士監修前の概説です。出資関係が複雑な場合の判定は個別の事情で変わるため、実際の設立前に所轄の税務署または税理士に確認してください。