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簡易課税の消費税申告書の書き方(個人事業者)

簡易課税を選んでいる個人事業者が、確定申告で使う様式の記入順と、控除対象仕入税額・差引税額・地方消費税の計算を整理します。国税庁の「令和7年分 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き 個人事業者用(簡易課税用)」の設例で、数字の流れを確認できます。

消費税の申告
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

簡易課税の申告書は、本則課税と違い、仕入れにかかった消費税を集計する必要がありません。売上にかかる消費税額に、事業の種類ごとの「みなし仕入率」を掛けて、控除する額を決めます。

この記事では、提出する3つの様式と記入順、各欄の計算の流れを説明します。本則課税の場合は本則課税の申告書の書き方を見てください。簡易課税を選ぶかどうかの判断は簡易課税と本則課税の違いの記事で扱っています。

提出する様式と記入順

国税庁の手引きは、標準税率7.8%と軽減税率6.24%の取引だけを行った場合について説明しています。この場合に提出する様式は次の3種類です。

様式役割
確定申告書 第一表(簡易課税用)・第二表最終の納付税額・還付税額と、課税標準額を記入する
付表4-3税率別の消費税額と、地方消費税の課税標準となる消費税額を計算する
付表5-3みなし仕入率で、控除対象仕入税額を計算する

手引きの記入順は、課税売上高計算表(申告書に添付しない補助表)、付表4-3の前半、付表5-3、付表4-3の後半、第二表、第一表の順です。付表5-3は付表4-3の途中で使います。第一表の①欄と②欄は、第二表からの転記になるため、第二表を先に書きます。

平成26年以前の旧税率(3%・4%・6.3%)の取引がある場合は、付表4-1、4-2、5-1、5-2を使います。2割特例を使う場合は別の手引きがあります。

税額の計算の流れ

  1. 税率ごとの課税売上高(税込み)を、100/108または100/110で税抜きにし、1,000円未満を切り捨てて課税標準額にします(付表4-3の①)。
  2. 課税標準額に6.24%または7.8%を掛けて、課税標準額に対する消費税額を出します(付表4-3の②)。
  3. 付表5-3で、消費税額に事業のみなし仕入率を掛け、控除対象仕入税額を出します。手引きは、課税売上げに係る消費税額に、みなし仕入率を掛けて控除額を計算すると説明しています。
  4. 控除対象仕入税額などを引いた差引税額を、100円未満を切り捨てて出します(付表4-3の⑨)。
  5. 地方消費税の譲渡割額は、差引税額の22/78で出し、100円未満を切り捨てます(付表4-3の⑬)。
  6. 消費税の納付税額と地方消費税の納付税額を合計したものが、第一表の最終の納付額になります。

みなし仕入率は、第1種(卸売業)90%、第2種(小売業等)80%、第3種(製造業等)70%、第4種(その他)60%、第5種(サービス業等)50%、第6種(不動産業)40%です。事業区分は原則として取引ごとに判定され、業務用固定資産の売却は第4種です。区分の判定は簡易課税の事業区分の記事にまとめています。

税率の内訳は、標準税率が国税7.8%と地方消費税2.2%の合計10%、軽減税率が国税6.24%と地方消費税1.76%の合計8%です。地方消費税は、どちらも消費税額の22/78にあたります。

国税庁の設例で数字を追う

手引きの設例は、物品販売業(小売)の事業者です。軽減税率の課税売上が10,240,000円、標準税率の課税売上が7,680,000円で、配達用車両の売却280,000円(標準税率)があります。中間納付はなく、割戻し計算です。

項目軽減税率標準税率合計
課税標準額9,481,000円7,236,000円16,717,000円
課税標準額に対する消費税額591,614円564,408円1,156,022円
控除対象仕入税額(特例を選択)473,291円451,526円924,817円

差引税額は1,156,022円から924,817円を引いた231,205円で、100円未満を切り捨てて231,200円です。地方消費税の譲渡割額は、231,200円に22/78を掛けた金額を切り捨てた65,200円です。納付する合計は231,200円と65,200円を足した296,400円です。

この設例では、車両の売却が第4種にあたるため、事業区分が第2種と第4種の2つになります。控除対象仕入税額は、原則の計算だと920,845円、後述の特例を使うと924,817円で、手引きは大きい方の特例を選んでいます。

事業区分が複数あるとき

2種類以上の事業を営む場合、付表5-3で事業区分ごとの課税売上高と売上割合を計算し、控除対象仕入税額の計算方法を選びます。手引きが挙げる方法は3つで、税率ごとに別々の方法は選べません。

方法内容
原則各区分の消費税額に各みなし仕入率を掛けて合計し、全体の消費税額で割った率を使う
特例11種類の事業が売上全体の75%以上なら、その事業のみなし仕入率を全体に使う
特例22種類の事業の合計が75%以上なら、高い方の率をその事業に、低い方の率をそれ以外に使う

複数の方法が使える場合は、どれを選んでもかまいません。区分していない売上は、区分していない事業のうち最も低いみなし仕入率が使われます。

中間納付があるとき

第一表の⑩欄の中間納付税額には、実際に納付したかどうかにかかわらず、中間申告で計算した合計額を記入します。年3回または年11回の中間申告をした場合は、申告書に印字されないため、自分で合計します。

地方消費税は、中間納付譲渡割額を別の欄に記入し、納付譲渡割額から差し引きます。前年の差引税額が48万円を超えると、翌年は中間申告が必要になります。時期と回数は消費税の中間納付の記事で確認できます。

公式一次情報

まとめ

簡易課税の申告書は、第一表・第二表、付表4-3、付表5-3の3種類で、付表4-3と付表5-3を行き来しながら書きます。消費税額にみなし仕入率を掛けて控除額を決め、差引税額の22/78を地方消費税として足したものが納付額です。

次に知りたいことは、消費税の確定申告の期限、本則課税の納付額の計算、簡易課税制度選択届出書の提出期限の記事で確認できます。

よくある質問

簡易課税の申告書は、どの様式を提出しますか?
標準税率7.8%と軽減税率6.24%の取引だけの場合は、確定申告書の第一表(簡易課税用)と第二表、付表4-3、付表5-3を提出します。旧税率の取引がある場合は付表4-1、4-2、5-1、5-2を使います。
どの順番で記入しますか?
国税庁の手引きは、付表4-3の前半、付表5-3、付表4-3の後半、第二表、第一表の順に進めます。第一表の①欄と②欄が第二表からの転記のため、第二表を先に書きます。
地方消費税はどう計算しますか?
地方消費税の譲渡割額は、消費税の差引税額に22/78を掛け、100円未満を切り捨てて計算します。
2種類以上の事業があるとき、みなし仕入率はどう決めますか?
原則の計算のほか、1種類の事業が75%以上なら特例1、2種類で75%以上なら特例2が使えます。複数使える場合は、どれを選んでもかまいません。
本記事について。税理士監修前の概説です。個別の申告内容は事業の実態で変わるため、実際の申告は税務署または税理士に確認してください。