補助金・保険金・損害賠償金・立退料に消費税はかかる?
補助金、助成金、保険金、損害賠償金、立退料、祝金など、商品やサービスの代金ではない受取金が消費税の対象になるかを説明します。課税になる例外も確認します。
国税庁の制度消費税がかかるのは、事業として対価を得て行う資産の譲渡や役務の提供などです。商品やサービスの代金ではない、補助金や保険金などの受取金は、原則として消費税の課税対象になりません。
ただし、名目が損害賠償金や寄附金でも、実質が代金なら課税対象になる例外があります。基本通達第5章の取り扱いを、受取金の種類別に確認します。
判定の基準は資産の譲渡等の対価かどうか
不課税の受取金は、課税売上にも非課税売上にも入りません。課税・非課税・不課税・免税の区分そのものは消費税の課税・非課税・不課税・免税の違いで整理しています。
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受取金の種類別の取り扱い
| 受取金 | 取り扱い | 通達 |
|---|---|---|
| 保険金・共済金 | 保険事故の発生に伴い受けるもので、対価に該当しない | 5-2-4 |
| 国や地方公共団体の補助金・奨励金・助成金 | 特定の政策目的の実現を図るための給付金は、対価に該当しない | 5-2-15 |
| 雇用調整助成金など | 休業手当や賃金などの支出にあたり、あらかじめ補てんを前提に手続をとる場合でも、対価に該当しない | 5-2-15(注) |
| 損害賠償金 | 心身や資産の損害の発生に伴い受けるものは対価に該当しない(実質が対価のものは下の3例) | 5-2-5 |
| 建物の立退料 | 賃貸借の権利の消滅への補償、営業上の損失や移転の実費補償に伴うもので、対価に該当しない | 5-2-7 |
| 剰余金・利益の配当 | 株主や出資者の地位に基づく出資への配当で、対価に該当しない | 5-2-8 |
| 寄附金・祝金・見舞金 | 原則として対価に該当しない(例外は下の節) | 5-2-14 |
損害賠償金で課税になる3つの例
損害賠償金は原則として不課税ですが、通達は、その実質が資産の譲渡等の対価に当たるものは課税対象になるとして、次の3つを例に挙げています(基本通達5-2-5)。
- 損害を受けた棚卸資産などが加害者に引き渡され、そのまま、または軽微な修理で使用できる場合に、所有者が加害者から受ける損害賠償金。
- 無体財産権(特許権や著作権など)の侵害を受けた場合に、権利者が加害者から受ける損害賠償金。
- 不動産などの明渡しが遅れた場合に、賃貸人が加害者から受ける損害賠償金。
名目が損害賠償金でも、実質が商品の買取代金や使用料にあたると、課税売上として扱うということです。契約書の名称だけで判断せず、何に対する支払いかを確認します。
寄附金・祝金で課税になる場合
寄附金、祝金、見舞金などは、原則として対価に該当しません。
ただし、商品やサービスの対価を受け取るとともに、別に寄附金などの名目で金銭を受け取っていて、その金銭が実質的にその資産の譲渡等の対価を構成するものと認められるときは、受け取った金銭も対価に該当します(基本通達5-2-14)。
名目が寄附金や祝金でも、受け取る理由が商品やサービスの提供と結びついていないかを、契約や書類で確認します。
立退料と賃借権の譲渡
建物の賃借人が契約の解除に伴い賃貸人から受ける立退料は、権利の消滅への補償や移転の実費補償などに伴うもので、対価に該当しません(基本通達5-2-7)。不動産業者などの仲介を経由して受け取る場合も同じです。
注意点は、賃借人の地位を賃貸人以外の第三者に譲渡し、その対価を立退料などの名目で受け取る場合です。これは建物などの賃借権の譲渡の対価なので、対価に該当します。
保証金・容器の返却がない場合
びんや缶、収納ケースなどの容器込みで商品を引き渡すときに受け取り、容器の返却時に返す保証金は、対価に該当しません(基本通達5-2-6)。
容器が返却されず、返さないことになった保証金は、当事者間でどう処理するかで扱いが変わります。
| 当事者間の処理 | 消費税の扱い |
|---|---|
| 容器の譲渡の対価として処理する | 資産の譲渡等の対価に該当する |
| 損害賠償金として処理する | 対価に該当しない |
どちらで処理するかは、請求書や領収書などの書類で明らかにするものとされています(基本通達5-2-6(注))。
まとめ
- 消費税の対象かどうかは、受取金が資産の譲渡等の対価に当たるかで決まる。
- 保険金、国等の補助金・助成金、立退料、出資への配当は、対価に当たらず不課税。
- 損害賠償金も原則は不課税。ただし、加害者への資産の引渡し、無体財産権の侵害、不動産の明渡しの遅れは、実質が対価で課税になる。
- 寄附金や祝金も、実質が商品やサービスの対価なら課税になる。
- 名目ではなく、何に対する受取金かを契約や書類で確認する。
課税売上と非課税売上の割合の計算例は課税売上割合とはで確認できます。
出資への配当が計算に入らない一方で、株式の売却額は5%だけ分母に入ります。有価証券を売ったときの消費税と課税売上割合で確認できます。
予約の取消しで受け取るキャンセル料は、事務手数料なら課税、逸失利益の補填なら不課税です。キャンセル料と解約手数料の消費税で整理しています。
次に知りたいこと
公式情報
- 消費税法基本通達 第5章第2節「資産の譲渡等の範囲」(5-2-4〜5-2-8、5-2-14、5-2-15。2026年10月15日確認)
- e-Gov法令検索「消費税法」
よくある質問
- 補助金や助成金に消費税はかかりますか?
- 国や地方公共団体などから受ける、特定の政策目的の実現を図るための補助金、奨励金、助成金は、資産の譲渡等の対価に該当しないため、課税の対象になりません(出典:消費税法基本通達5-2-15)。
- 保険金を受け取ったとき、消費税はかかりますか?
- 保険事故の発生に伴い受ける保険金や共済金は、資産の譲渡等の対価に該当しません(出典:消費税法基本通達5-2-4)。
- 損害賠償金には消費税がかかりますか?
- 心身や資産の損害の発生に伴い受ける損害賠償金は対価に該当しません。ただし、加害者に損害を受けた資産が引き渡される場合、無体財産権の侵害、不動産の明渡しの遅れなど、実質が対価のものは対価に該当します(出典:消費税法基本通達5-2-5)。
- 立退料に消費税はかかりますか?
- 賃借人が契約の解除に伴い受ける立退料は対価に該当しません。賃借人の地位を第三者に譲渡した対価として受ける場合は、賃借権の譲渡の対価になります(出典:消費税法基本通達5-2-7)。

