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消費税の売上はいつ計上する?引渡日・検収日・工事・家賃

消費税の売上を計上する日は、代金をもらった日ではなく、商品の引渡しやサービスの提供があった日です。商品、工事、運送、家賃などの取引別に、国税庁の通達が定める日を整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

消費税の売上を、どの課税期間に入れるかは「資産の譲渡等の時期」で決まります。納品が年末で入金が翌年、請求書の発行日と納品日が別の月、といった取引で迷いやすい部分です。

国税庁の消費税法基本通達は、第9章で取引の種類ごとに時期を定めています。商品の販売、請負、運送、賃貸などの主な取り扱いを、取引別に確認します。

原則は引渡しやサービス提供があった日

入金の日ではなく、引渡しやサービスの提供があった日:国税庁は、消費税の課税資産の譲渡等や課税仕入れの時期は、原則として資産の引渡しやサービスの提供があった時とされていると案内しています(タックスアンサー No.6165)。

工事代金の前受金を先にもらっても、売掛金が未収でも、決済の時期は関係ありません。実際に引渡しや提供があった時が、売上げの時期です。

この時期が属する課税期間の売上として、納める消費税を計算します。課税期間の考え方は課税期間の特例、判定に使う期間は基準期間で確認できます。

商品の販売:出荷日・検収日のどれを使うか

商品など棚卸資産の譲渡は、引渡しのあった日です(基本通達9-1-1)。

引渡しの日は、次のような日のうち、商品の性質や契約内容に照らして合理的で、事業者が継続して使っている日によります(基本通達9-1-2)。

引渡しの日の候補例
出荷した日倉庫から発送した日で売上を立てる
相手方が検収した日納品後、買手が数量や品質を確認し終えた日で売上を立てる
相手方が使用収益できる日設置が終わり使える状態になった日で売上を立てる
検針等で数量を確認した日ガスや水道のように、検針で販売数量が決まる取引

たとえば、3月28日に出荷し、買手が4月2日に検収した商品があるとします。検収した日を継続して使っているなら、売上は4月、3月決算の事業者なら翌期の売上になります。通達は「継続して使っている日」によると定めているため、同じ種類の商品で毎回日を変えることは想定されていません。

土地や土地の上の権利は、引渡しの日が明らかでないとき、次のいずれか早い日に引渡しがあったものとできます。

  • 代金の相当部分(おおむね50%以上)を受け取った日
  • 所有権移転登記の申請(必要な書類の相手方への交付を含む)をした日

請負・工事・役務の提供

請負は、物の引渡しがあるかどうかで時期が分かれます(基本通達9-1-5)。

契約の型売上の時期
物の引渡しを要する請負目的物の全部を完成して、相手方に引き渡した日
物の引渡しを要しない請負約した役務の全部を完了した日
技術に係る役務(設計、技術指導など)原則は役務の全部の提供を完了した日。報酬が期間や段階ごとに確定して支払われる契約では、確定した日に確定した金額の役務を提供したものとする(基本通達9-1-11)
運送原則は運送の役務の提供を完了した日。乗車券を発売した日などを継続して使うことも認められる(基本通達9-1-12)

建設工事などの引渡しの日は、作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、使用収益できる日などのうち、合理的で継続して使っている日によります(基本通達9-1-6)。

工事の一部が完成して引き渡すたびに代金を受け取る特約や慣習がある場合は、全部が完成していなくても、引き渡した部分については引渡しを行った日に売上を立てる取り扱いがあります(部分完成基準、基本通達9-1-8)。

機械設備の販売に伴う据付工事が相当の規模で、対価を契約などに基づいて合理的に区分できる場合は、販売代金と据付工事の対価を分け、それぞれの時期で売上を立てることもできます(基本通達9-1-9)。分けない場合は、据付工事の対価を含む全体を商品の販売として、引渡しの日で計上します。

土地や建物の売買、賃貸借の仲介の報酬は、原則として契約の効力が発生した日です。継続して取引が完了した日(それより前に受け取った金額があるときはその日)としている場合は、それも認められます(基本通達9-1-10)。

家賃・保証金・利子

資産の賃貸借で受け取る使用料の時期は、契約や慣習により支払を受けるべき日です(基本通達9-1-20)。前受けにあたる部分には、この取り扱いは当てはまりません。

契約書に「毎月末日までに翌月分を払う」と書かれていれば、その払う日が売上の時期です。実際に入金が遅れたかどうかではなく、受けるべき日で判断します。

敷金や保証金として受け入れた金額のうち、期間の経過などで返還しないことになった部分は、返還しないことになった日の属する課税期間の売上の対価です(基本通達9-1-23)。

貸付金や預金の利子は、利子の計算期間の経過に応じた金額を、その課税期間の対価の額とします。金融・保険業を主とする事業者以外は、支払期日が1年以内の一定期間ごとに到来する利子について、支払期日の属する課税期間に計上する方法を継続して使うことも認められています(基本通達9-1-19)。

前受金・商品券・委託販売

取引売上の時期通達
前受金・仮受金入金時ではなく、現実に資産の譲渡等を行った時9-1-27
物品切手(商品券など)と引換えの給付券を発行した時ではなく、物品の給付や役務の提供を行う時9-1-22
委託販売委託者は、受託者が商品を譲渡した日。売上計算書が売上げの都度作成されていて、到着した日を継続して使っているなら、その日も認められる9-1-3

前受金を受け取った時の仕訳や、納める税額への影響は仮払消費税・仮受消費税の仕訳で整理しています。

仕入れの時期も同じ考え方

課税仕入れの時期も、原則は商品を受け取った日やサービスの提供を受けた日です。機械の購入で前払金を払っていても、支払った時期には関係しません。

例外として、前払費用のうち、法人税や所得税で支出した年度の損金や必要経費にしている短期前払費用は、支出した課税期間の課税仕入れになります(国税庁No.6165)。

売上の時期と仕入れの時期がずれると、同じ取引でも売手と買手で課税期間が違うことがあります。取引先との納品日、検収日の確認方法をそろえておくと、年末や決算月のずれを減らせます。

例外:現金主義の特例

個人事業者で、所得税法第67条の現金主義による所得計算の特例を受ける小規模事業者などは、資産の譲渡等と課税仕入れの時期を、対価を収入した日と費用を支出した日にできます。申告書にその旨を付記するものとされています(国税庁No.6165)。

この特例の対象は、所得税の現金主義の特例を使う個人事業者などに限られます。法人や、特例を使っていない個人事業者は、原則どおり引渡しやサービス提供の日で計上します。

課税事業者かどうかの判定に使う課税売上高の考え方は、特定期間と課税売上高1,000万円超で確認できます。

まとめ

  • 消費税の売上の時期は、入金の日ではなく、資産の引渡しやサービスの提供があった日。
  • 商品は出荷日・検収日などから合理的な日を選び、継続して使う。取引ごとの使い分けはしない。
  • 請負は目的物の引渡し日か役務の完了日。部分完成基準や技術役務の確定日の特例がある。
  • 家賃は契約や慣習で支払を受けるべき日。返還しない敷金や保証金は、返還しないことになった日。
  • 前受金や商品券は、入金や発行の時ではなく、実際に給付や提供を行う時。
  • 仕入れも同じ考え方。例外は短期前払費用と、小規模事業者の現金主義の特例。

各方式の納税額は消費税4方式の比較シミュレーターで確認できます。

補助金や保険金のように、そもそも売上にならない受取金は補助金・保険金・損害賠償金・立退料の消費税で確認できます。

次に知りたいこと

仕入れ側の時期(減価償却資産・建設仮勘定・リースなど)は課税仕入れの時期で扱っています。

公式情報

よくある質問

消費税の売上は入金の日と引渡しの日のどちらで計上しますか?
原則は引渡しやサービスの提供があった日です。前受金や未収金があっても、決済の時期には関係しません(出典:国税庁No.6165)。
商品の引渡しの日は、出荷日と検収日のどちらにしますか?
出荷した日、相手方が検収した日、使用収益ができる日などのうち、商品の性質や契約内容に照らして合理的で、事業者が継続して使っている日によります(出典:消費税法基本通達9-1-2)。
家賃収入の消費税はいつの売上になりますか?
契約や慣習により支払を受けるべき日です。前受けに係る額は別の取り扱いになります(出典:消費税法基本通達9-1-20)。
前受金を受け取ったときも売上になりますか?
前受金は、現実に資産の譲渡等を行った時が売上の時期です。受け取った時点では売上になりません。ただし、現金主義の特例を受ける小規模事業者は例外です(出典:消費税法基本通達9-1-27、国税庁No.6165)。
本記事について。税理士監修前の概説です。取引ごとの扱いは契約内容や経理処理で変わるため、申告前に税務署または税理士へ確認してください。

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