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課税仕入れの時期|減価償却資産・建設仮勘定・リースの仕入税額控除

仕入税額控除を、どの課税期間で受けるかを整理します。支払った日ではなく、引渡しや役務の提供を受けた日が基準です。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

消費税の仕入税額控除は、支払いをした日ではなく、その仕入れをした日の属する課税期間で受けます。経費にする時期や減価償却とは、基準が別です。

資産の種類や取引の形で、この「仕入れをした日」の扱いが変わります。減価償却資産、開業費、建設仮勘定、リースなどの場合を順に見ます。

原則:資産の譲受けや役務の提供を受けた日

支払日ではなく、仕入れをした日:消費税法基本通達11-3-1は、課税仕入れを行った日を「資産の譲受けもしくは借受けをした日、または役務の提供を受けた日」としています。その日がいつかは、別に定めるものを除き、資産の譲渡等の時期(引渡しや役務提供の時期)の取扱いに準じて判断します。

代金を先に払っても、引渡しや役務の提供を受けていなければ、原則として払った日の課税期間では控除できません。経費の計上時期と同じに見えても、通達が別に定める取引があります。

取引の種類ごとの時期

取引仕入税額控除の時期通達
減価償却資産の購入購入した日の属する課税期間。減価償却に合わせて分けない11-3-3
開業費・創立費・開発費などの繰延資産課税仕入れをした日の属する課税期間11-3-4
割賦購入・リース(資産の譲受け)資産の引渡し等を受けた日の属する課税期間11-3-2
所有権移転外リースで、リース料を支払うべき日の賃借料として経理している場合リース料を支払うべき日の属する課税期間とすることも認められる11-3-2ただし書
建設工事の目的物の完成前の課税仕入れ(建設仮勘定)原則は仕入れをした日。完成した日の属する課税期間とすることも認められる11-3-6
未成工事支出金として経理した課税仕入れ原則は仕入れをした日。継続適用を条件に、目的物の引渡しをした日の属する課税期間とすることも認められる11-3-5
短期前払費用として損金算入している前払費用支出した日の属する課税期間11-3-8
郵便切手類・物品切手等の購入購入時は課税仕入れに当たらず、引換給付を受けた時。継続適用なら対価を支払った日の課税期間も認められる場合がある11-3-7

短期前払費用の経理は短期前払費用の特例、切手や商品券は商品券・プリペイドカードの消費税、開業費は開業費の扱いで扱っています。

建設仮勘定の特例

店舗や事務所を建てる工事では、設計料や前払金を、完成まで建設仮勘定として経理することがあります。この場合も、消費税では、原則として物の引渡しや役務の提供があった日の課税期間で仕入税額控除をします。

完成した課税期間にまとめる方法も認められます:建設仮勘定に計上した課税仕入れについて、仕入れの都度ではなく、目的物が完成した日の属する課税期間の課税仕入れとして処理する方法も認められます。通達11-3-6は「目的物の完成した日」、国税庁のタックスアンサーは「工事の目的物のすべての引渡しを受けた日」と書いています。

未成工事支出金(建設業の売上に対応する原価)には、継続適用を条件に、引渡しをした日の課税期間とする取扱いが別にあります(11-3-5)。

計算例(3月決算の法人が店舗を建てる)

3月決算の法人が、店舗の工事を発注した例です。2026年12月に設計料(税抜100万円)の役務の提供を受け、建設仮勘定として経理しました。

工事の目的物は2027年5月に完成し、引渡しを受けました。工事代金は税抜1,000万円です。

処理設計料の控除(税10万円)工事代金の控除(税100万円)
原則2026年4月〜2027年3月の課税期間2027年4月〜2028年3月の課税期間
建設仮勘定の特例2027年4月〜2028年3月の課税期間(完成した日の属する課税期間)2027年4月〜2028年3月の課税期間

特例を使うと、設計料分も完成した課税期間にまとまります。特例は通達が認めている取扱いで、使うかどうかで課税期間ごとの納付税額や還付額が変わります。なお、通達が継続適用を条件に挙げているのは、未成工事支出金の取扱い(11-3-5)です。

注意点

  • 簡易課税制度を適用する課税期間:実際の課税仕入れの額ではなく、課税標準額に対する消費税額にみなし仕入率を掛けて仕入控除税額を計算します。この記事の時期の判定は、本則課税の課税期間で問題になります。
  • 免税事業者:仕入税額控除そのものがありません。
  • 高額な資産:調整対象固定資産や高額特定資産には、課税期間をまたいだ別の調整があります。調整対象固定資産の3年縛りもあわせて確認してください。
  • 請求書と帳簿:時期が合っていても、インボイスなどの保存要件を満たす必要があります。仕入税額控除の要件を参照してください。

まとめ

  • 仕入税額控除は、資産の譲受けや役務の提供を受けた日の課税期間で受ける。支払日ではない。
  • 減価償却資産は、減価償却に合わせて分けず、購入した日の課税期間で控除の対象にする。控除できる額は課税売上割合などによる。
  • 建設仮勘定は、完成した日の課税期間にまとめる方法も認められる。未成工事支出金は継続適用が条件。
  • 短期前払費用は、支出した日の課税期間で控除する。

売上側の時期は売上計上の時期、控除しきれない分の経理は控除対象外消費税額等の処理、課税売上割合の出し方は課税売上割合の計算で確認できます。

公式一次情報

よくある質問

仕入税額控除は、いつの課税期間で受けますか?
課税仕入れを行った日、つまり資産の譲受けや借受けをした日、または役務の提供を受けた日の属する課税期間です。支払った日ではありません(出典:消費税法基本通達11-3-1)。
減価償却資産の消費税は、償却に合わせて控除しますか?
いいえ。減価償却資産でも、課税仕入れを行った日の属する課税期間で、償却に合わせて分けずに控除の対象にします。控除できる額は課税売上割合などによります(出典:消費税法基本通達11-3-3)。
建設仮勘定に入れた設計料は、いつ控除しますか?
原則は、設計料の役務の提供を受けた日の課税期間です。目的物が完成した日の属する課税期間の課税仕入れとして処理する方法も認められています(出典:消費税法基本通達11-3-6、国税庁タックスアンサーNo.6483)。
開業費は、いつの課税期間で控除できますか?
開業費などの繰延資産に係る課税仕入れも、課税仕入れを行った日の属する課税期間で控除します。税務上の償却の時期とは別です(出典:消費税法基本通達11-3-4)。
年払いの家賃や保険料は、いつ控除しますか?
短期前払費用として損金算入や必要経費算入の取扱いを受けている場合は、その前払費用に係る課税仕入れは、支出した日の属する課税期間のものとして扱われます(出典:消費税法基本通達11-3-8)。
本記事について。税理士監修前の概説です。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は税務署または専門家へご確認ください。

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