割賦販売・リースで売ったときの消費税|延払基準の廃止と経過措置の計上時期
分割払いで売った代金やリース料に係る消費税を、どの課税期間の売上にするかを整理します。現在の原則は、引き渡した日に全額です。
国税庁の制度機械や車両を分割払いで売ったとき、消費税は代金を受け取るたびに売上にするのではなく、引き渡した日の課税期間にまとめて売上にするのが現在の原則です。代金の回収が先の課税期間にまたがっても、この原則は変わりません。
かつては、割賦販売とリース譲渡に、回収に合わせて売上を分ける特例がありました。割賦販売の特例は平成30年4月1日、リース譲渡の特例は令和7年4月1日に廃止されています。ただし、廃止前から使っていた事業者には経過措置があります。
原則:引渡しの日に全額を売上にする
売買とされるリース取引でも同じです。国税庁のNo.6163は、リース資産を賃借人へ引き渡した日に資産の譲渡があったことになり、課税資産の譲渡等に当たる場合は、譲渡対価の全額がその引渡しの日の属する課税期間の資産の譲渡等の対価の額に含まれるとしています。
対象は、所得税法または法人税法の規定により売買があったものとされるリース取引です。普通の貸付けとして扱うリースは、別の整理になります。
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廃止された2つの特例
| 特例 | 廃止の日 | 経過措置の内容(国税庁の資料より) |
|---|---|---|
| 長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準) | 平成30年4月1日 | 廃止に係る経過措置の適用を受けていた場合、賦払金の残額について、所得税または法人税と同様に10年間の均等計上ができる |
| リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準) | 令和7年4月1日 | 令和7年4月1日前に旧リース譲渡を行っていた事業者は、一定期間、延払基準で計算できる(次の節) |
平成30年4月1日以後に新たに分割払いで売った取引は、前の節の原則に従います。特例に基づく計上は、廃止前の取引について経過措置を使っている事業者だけの話です。
リース譲渡の経過措置(令和12年まで)
国税庁のNo.6163は、令和7年4月1日前に旧リース譲渡を行っていた事業者(対象事業者)について、次の経過措置を示しています。
- 令和7年4月1日前に開始した年・事業年度の課税期間:従前と同様に延払基準で計算できる。
- 同日以後5年間(経過措置課税期間):個人事業者は令和12年12月31日以前に開始する課税期間、法人は令和12年3月31日以前に開始する事業年度に含まれる課税期間。延払基準の方法で経理していれば、延払基準で計算できる。申告書にその旨を付記する。
- 経過措置課税期間中に延払基準で経理しなかった場合:その年または事業年度の末日の属する課税期間で、未計上部分を一括計上するか、その課税期間以後10年間で均等計上するかを選べる。
- 経過措置課税期間が満了した場合:未計上部分があれば、個人事業者は令和13年、法人は令和12年4月1日以後最初に開始する事業年度の末日の属する課税期間で、一括計上か10年間の均等計上かを選べる。
経過措置課税期間中は、支払期限の到来していない賦払金の部分を、現実に支払を受けたものを除き、資産の譲渡等がなかったものとできます。その部分は、支払期限が来たときに資産の譲渡等が行われたものとされます。
未計上部分を10年均等で計上している場合、事業の廃止など一定の事由が生じると、残りの部分は一括計上されます。相続などで事業を承継したときは、一定の場合を除き、承継した相続人などが引き続き均等計上できます。
国税庁の質疑応答事例は、令和9年4月1日以後に開始する事業年度に含まれる課税期間では、旧効力法人税法の適用を受けることという要件が不要になるとしています。法人税側の経理の要件は、事業年度によって変わるため、国税庁の資料で自分の事業年度を確かめてください。
計算例(機械を5年のリースで引き渡した場合)
3月決算の法人が、税抜600万円の機械を、5年の分割払い(売買とされるリース取引)で令和8年10月に引き渡した例です。令和7年4月1日以後の引渡しなので、旧リース譲渡の経過措置の対象外です。消費税率は10%とします。
| 課税期間 | 課税標準に含める額 | 消費税額 |
|---|---|---|
| 令和8年4月〜令和9年3月(引渡しの日を含む) | 600万円(全額) | 60万円 |
| 令和9年4月以後 | この取引の売上は残らない | 0円 |
代金の回収は5年にわたっても、売上に計上するのは引渡しの課税期間です。資金繰りと納税の時期がずれるため、引渡しの課税期間の納付額が大きくなる点に注意してください。
なお、所得税法上の現金主義の適用を受けている小規模事業者は、対価を受領した日を資産の譲渡等の時期とできます(タックスアンサーNo.6141)。
注意点
- 経過措置を使うかどうかの確認:旧リース譲渡の経過措置は、延払基準の方法で経理することが前提です。申告書への付記も必要です。
- 賃借人側は別の整理です:リース資産を借りた側の仕入税額控除の時期は、課税仕入れの時期で扱っています。
- リース取引の法人税の処理:所有権移転外リースの売買処理などはリース取引の法人税・消費税の扱いで扱っています。
- 免税事業者・簡易課税:免税事業者の売上には消費税の納税義務がありません。簡易課税は、課税売上に対する消費税額からみなし仕入率で控除額を計算します。いずれの場合も、課税売上をいつの課税期間に入れるかの判断は同じです。
まとめ
- 分割払いで売っても、消費税は引渡しの日の属する課税期間に全額を売上にするのが原則。
- 長期割賦販売等の特例は平成30年4月1日、リース譲渡の特例は令和7年4月1日に廃止された。
- 旧リース譲渡の経過措置は、個人事業者は令和12年12月31日以前、法人は令和12年3月31日以前に開始する課税期間まで。
- 10年均等計上を選んでいる場合、事業を廃止すると残りは一括計上になる。
売上全般の時期の考え方は売上計上の時期で確認できます。
次に知りたいこと
売上計上の時期:商品・請負・家賃などの引渡しの日の考え方
課税仕入れの時期:買う側がリースや割賦で資産を受け取ったときの控除の時期
リース取引の法人税・消費税の扱い:所有権移転外リースの売買処理
公式情報
- 国税庁「No.6141 納税義務の成立の時期」(引渡しの日が原則。長期割賦販売等の特例は平成30年4月1日から廃止)
- 国税庁「No.6163 リース取引についての消費税の取扱いの概要」(リース譲渡の特例の廃止と経過措置)
- 国税庁「リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(経過措置)の詳細について」(延払基準で計算する場合の対価の額)
よくある質問
- 分割払いで売った代金の消費税は、いつの売上にしますか?
- 原則は、課税資産を引き渡した日の属する課税期間です。代金の決済時期は関係ありません(出典:国税庁タックスアンサーNo.6141)。
- 割賦販売の延払基準は、今も使えますか?
- 長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例は、平成30年4月1日から廃止されています。経過措置の適用を受けていた場合は、賦払金の残額について10年間の均等計上ができます(出典:国税庁タックスアンサーNo.6141)。
- リース譲渡の延払基準は、いつまで使えますか?
- リース譲渡の特例は令和7年4月1日に廃止されました。令和7年4月1日前に旧リース譲渡を行っていた事業者は、経過措置課税期間(個人事業者は令和12年12月31日以前に開始する課税期間、法人は令和12年3月31日以前に開始する事業年度に含まれる課税期間)まで延払基準で計算できます(出典:国税庁タックスアンサーNo.6163)。
- 経過措置で延払基準の経理をしなかったときはどうなりますか?
- その年または事業年度の末日の属する課税期間で、未計上部分を一括計上するか、その課税期間以後10年間で均等計上するかを選べます(出典:国税庁タックスアンサーNo.6163)。
- 現金主義の小規模事業者は、いつの売上になりますか?
- 所得税法上の現金主義の適用を受けている小規模事業者は、対価を受領した日を資産の譲渡等の時期とすることができます(出典:国税庁タックスアンサーNo.6141)。

