クレジットカード決済の売上・手数料・印紙の税務
お客さんがカードで払ったとき、売上はいつの分か、引かれる手数料に消費税はかかるか、領収書に印紙は要るか。国税庁の資料で4点を確認します。
国税庁の制度お店や事業でクレジットカード決済を受け付けると、入金は後日になり、入金額は手数料が引かれた金額になります。このとき帳簿と税金で迷うのは、売上の計上日、手数料の消費税、領収書の印紙、カード会社の明細書の扱いの4点です。
国税庁の質疑応答事例とタックスアンサーで原文を確認できた範囲だけを書きます。決済サービスごとの手数料の税区分は契約内容で変わるため、最後に確認の手順を載せています。
4点の結論早見表
| 論点 | 国税庁の整理 | 根拠 |
|---|---|---|
| 売上の計上日 | 代金の決済時期に関係なく、資産の引渡しやサービスの提供があった時 | タックスアンサーNo.6165 |
| 加盟店が払う手数料の消費税 | 債権額と加盟店への支払額の差額は非課税 | 質疑応答事例「クレジット手数料」 |
| 領収書の印紙 | クレジット利用の旨を書いた領収書は印紙不要。書かないと受取書に当たる | 質疑応答事例(印紙税) |
| カード会社の請求明細書 | 買い手の仕入税額控除に使える請求書等には当たらない | 質疑応答事例(消費税) |
この記事の内容を申告書に落とすときの本PR
記事で確かめた内容を、申告書の記入や帳簿の付け方まで一冊で追いたいとき向けです。
売上は入金日ではなく引渡しの日
国税庁は、消費税の課税資産の譲渡等の時期を、原則として資産の引渡しやサービスの提供があった時としています。未収金がある場合も、代金の決済の時期に関係なく、引渡しやサービスの提供があった時が売上げの時期です(タックスアンサーNo.6165)。
クレジット決済では、お客さんが払った日と、カード会社から店に入金される日がずれます。No.6165の考え方に沿えば、入金日ではなく、商品を渡した日やサービスを提供した日が売上の時期になります。
例えば12月28日に商品を渡してカードで決済し、カード会社からの入金が翌年1月10日だった場合、売上は12月分です。入金日で数えると、12月の売上が1月に回ってしまいます。
所得税・法人税の収入の時期も、物の販売なら引渡しがあった日が基本です(所得税基本通達36-8、法人税基本通達2-1-2)。個人の現金主義の特例を使っている小規模事業者は、売上の時期を収入した日にできると、No.6165の注に書かれています。
なお、売上の計上日の判断は、クレジット決済に限らず共通です。工事や家賃など、取引の種類別の判断は「消費税の売上はいつ計上する?」で整理しています。
加盟店手数料は消費税が非課税
国税庁の質疑応答事例「クレジット手数料」は、信販会社が加盟店から譲り受ける債権の額(100)と、加盟店への支払額(90)の差額(10)を、消費税法施行令第10条第3項第8号に該当し非課税としています。つまり、店が信販会社に払う手数料(債権を譲渡する代金が安くなる部分)には消費税がかかりません。
同じ質疑は、お客さんが信販会社に払う手数料も扱っています。包括信用購入あっせんまたは個別信用購入あっせんに係る手数料や賦払金のうち利子に相当する額は非課税です。分割払いの利息が非課税になる話は、買い手側の論点です。
この質疑は、信販会社が加盟店の債権を譲り受ける取引を前提にした一般的な回答で、事案によって課税関係が異なることがあると注記されています。決済代行会社を挟む場合や、決済サービスの手数料に別の名目が入る場合は、請求書や加盟店規約の記載で税区分を確認してください。
手数料が非課税のため、帳簿では課税仕入れではなく非課税の仕入れとして区分します。会計ソフトの勘定科目「支払手数料」に課税の税区分が初期設定されている場合は、手数料の行だけ非課税に直します。
計算例:税込110,000円の売上
税込110,000円(税抜100,000円、消費税10,000円)の商品をカードで売り、手数料率を3%、入金は後日と仮定した例です。手数料率は説明のための数字で、実際の率は契約で異なります。
| 項目 | 金額 | 消費税 |
|---|---|---|
| 売上(引渡し日に計上) | 110,000円 | 課税売上(10%) |
| 加盟店手数料(110,000円×3%) | 3,300円 | 非課税(控除の対象外) |
| カード会社からの入金 | 106,700円 | ― |
入金が106,700円でも、売上は手数料を引く前の110,000円で計上し、手数料3,300円は別に費用に入れます。入金額で売上を差額計上すると、売上が少なく見え、消費税の課税売上も実際より小さくなります。
手数料が課税仕入れなら3,300円のうち消費税分を控除できますが、非課税なので控除の対象になりません。ここを間違えると仕入税額控除が過大になります。
領収書に印紙は要るか
国税庁の質疑応答事例(印紙税)は、クレジット販売の場合の領収書について、次のように答えています。
- クレジット販売は信用取引で商品を引き渡すもので、領収書でも金銭または有価証券の受領事実がないため、売上代金に係る金銭の受取書(第17号の1文書)には該当しない
- したがって、題名が「領収書」でも印紙の貼付は不要
- ただし、クレジットカード利用の旨を領収書に記載しないと、第17号の1文書に該当する
つまり、カード決済のお客さんに領収書を出すときは、「クレジットカード利用」と分かる記載を必ず入れます。記載がないと現金受領の受取書とみなされ、金額によっては印紙が必要になります。印紙税の全体像は契約書・領収書の印紙税を参照してください。
カード会社の請求明細書はどう扱うか
これは店ではなく、カードで払う側の論点です。国税庁の質疑応答事例(消費税)は、カード会社が利用者に交付する請求明細書は、課税資産の譲渡等を行ったカード加盟店が作成・交付する書類ではなく、加盟店の名称と登録番号も書かれていないため、請求書等に該当しないとしています。
したがって、買い手の事業者が請求明細書を保存しても仕入税額控除は受けられず、加盟店から受け取った適格請求書等を保存する必要があります。
店の側から見ると、お客さんが事業者で仕入税額控除を受けたい場合、カード会社の明細ではなく、自分(登録事業者)が出す領収書や適格請求書が必要になるということです。登録番号の記載などは適格請求書の書き方を確認してください。買い手として法人カードを使う側の整理は法人カードと個人カードの経費処理にあります。
公式情報
- 国税庁「No.6165 前受金や前払金などがあるとき」(引渡しやサービスの提供があった時が売上げの時期)
- 国税庁 質疑応答事例(消費税)「クレジット手数料」(加盟店が払う手数料・消費者が払う利子相当額は非課税)
- 国税庁 質疑応答事例(印紙税)「クレジット販売の場合の領収書」
- 国税庁 質疑応答事例(消費税)「クレジットカード会社からの請求明細書」
- 国税庁 所得税基本通達36-8(事業所得の総収入金額の収入すべき時期)
- 国税庁 法人税基本通達2-1-2(棚卸資産の引渡しの日の判定)
まとめ
- 売上は入金日ではなく、商品を渡した日やサービスを提供した日に計上する。
- 信販会社に払う加盟店手数料は消費税が非課税で、仕入税額控除の対象にならない。
- 売上は手数料を引く前の総額で計上し、手数料は別に費用に入れる。
- クレジット利用の旨を書いた領収書には印紙が要らない。記載がないと受取書に当たる。
- カード会社の請求明細書では仕入税額控除を受けられない。加盟店の適格請求書等が必要。
よくある質問
- カード決済の売上は、入金された日に計上しますか?
- いいえ。消費税の売上げの時期は、代金の決済の時期に関係なく、資産の引渡しやサービスの提供があった時です(出典:国税庁No.6165)。
- カード決済の手数料に消費税はかかりますか?
- 信販会社が加盟店の債権を譲り受ける取引では、債権額と加盟店への支払額の差額は非課税です。契約先や手数料の名目によって異なる場合があるため、請求書や規約で確認します(出典:国税庁質疑応答事例「クレジット手数料」)。
- カード払いのお客さんに出す領収書に収入印紙は必要ですか?
- クレジットカード利用の旨を記載した領収書は、売上代金の受取書に当たらず印紙は不要です。記載しないと受取書に該当します(出典:国税庁質疑応答事例(印紙税))。
- カード会社の請求明細書を保存すれば仕入税額控除を受けられますか?
- 受けられません。請求明細書は請求書等に当たらず、カード加盟店から受け取った適格請求書等の保存が必要です(出典:国税庁質疑応答事例(消費税))。
あわせて読む
代金をでんさいなどで受け取るときの受取書と印紙税:でんさい(電子記録債権)で代金を受け取るときの受取書と印紙税

