ガイド

法人の印紙税(契約書・領収書)の税額と非課税|領収書は5万円未満非課税・業務委託契約書は内容で判定・電子契約は課税対象外

法人が作る契約書と領収書に収入印紙が要るかどうかを、国税庁のタックスアンサーで整理します。請負(第2号)・継続的取引の基本契約書(第7号)・領収書(第17号)の税額、消費税額の書き分けで記載金額が変わる点、電子契約の扱い、貼り忘れたときの過怠税を扱います。架空条件の計算例つき。

法人化(法人成り)
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人成りして取引先と契約書を交わしたり、領収書を発行したりすると、収入印紙を貼る場面が出てきます。印紙税は、契約書や領収書など、法律で決められた文書を作ったときにかかる税金です。

この記事は、法人がよく作る文書について、印紙が必要になる条件と税額を整理します。印紙税は法律で課税される文書が決まっており、文書の名前ではなく内容で判断されます。個別の文書の判断は、税務署か税理士へ確認してください。

印紙税がかかる文書と納める人

印紙税は、印紙税法に定められた課税文書を作ったときにかかります。国税庁のタックスアンサーNo.7140・No.7141は、課税文書を第1号から第20号までに分けて税額を示しています。

納めるのは、課税文書を作成した人です。通常は、文書に所定の額面の収入印紙を貼り、印章または署名で消印をして納めます。

契約書を2社で交わす場合など、複数の人が共同で作った文書は、全員が連帯して納める義務を負います(国税庁の質疑応答事例)。

法人の設立のときに作る定款の原本(第6号文書)にも、4万円の印紙税がかかります(No.7141)。

契約書の税額(請負・基本契約書)

事業でよく出てくるのは、請負に関する契約書(第2号文書)と、継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)です。令和8年4月1日現在の税額は次のとおりです。

第2号文書(請負)の記載金額印紙税額(1通)
1万円未満非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円超200万円以下400円
200万円超300万円以下1,000円
300万円超500万円以下2,000円
500万円超1,000万円以下1万円
契約金額の記載がない200円

1,000万円を超える金額の区分は、No.7140で確認してください。第2号文書の例には、工事請負契約書、広告契約書、物品加工の注文請書などがあります。

第7号文書は、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものを除いて、1通につき4,000円です。例には、売買取引基本契約書、代理店契約書、業務委託契約書などが挙がっています。

業務委託契約書は何号になるか

法人成りした一人社長が結ぶ契約は、「業務委託契約書」という名前が多いです。ただし、国税庁は、課税文書に当たるかどうかは文書の名称ではなく、記載された内容で判断するとしています(No.7100)。

請負は、仕事の完成を約束し、その結果に対して報酬を支払う契約です。国税庁の質疑応答事例は、委任事務の処理に対して報酬を支払う契約は、請負に当たらないとしています。委任契約書などは、課税文書に該当しない文書の例としてNo.7130に載っています。

No.7141の第7号文書の例には、業務委託契約書が入っています。営業者の間で、請負などの取引を継続して行うための基本的な条件を決める契約書は、第7号文書(4,000円)になる場合があります。

つまり、同じ名前の契約書でも、1回きりの仕事の完成を約束する内容なら第2号、継続的な取引の基本条件を決める内容なら第7号、委任の内容なら課税文書に当たらない場合がある、という整理になります。どれに当たるかは契約の中身で変わるため、判断に迷う場合は税務署へ確認してください。契約書の書き方は法人成りと業務委託契約で扱っています。

領収書の税額と非課税

金銭や有価証券を受け取ったことを書いた領収書(受取書)は、第17号文書です。売上代金の受取書の税額は、記載された受取金額が5万円未満なら非課税です。

売上代金の受取書の記載金額印紙税額(1通)
5万円未満非課税
5万円以上100万円以下200円
100万円超200万円以下400円
200万円超300万円以下600円
300万円超500万円以下1,000円
500万円超1,000万円以下2,000円

売上代金以外の受取書(たとえば借入金の受取書)は、5万円未満が非課税で、5万円以上は200円です。

営業に関しない受取書は、非課税です。国税庁は、株式会社などの営利法人の行為は営業になり、商人以外の個人の行為は営業に当たらないとしています(No.7125)。つまり、会社が出す領収書は、営業に関する受取書として扱われます。

クレジットカード払いの領収書は、金銭の受領の事実がないため、第17号文書には当たらないとされています。ただし、クレジットで支払われた旨を領収書に書いていることが条件です(国税庁の質疑応答事例)。

消費税額の書き方で記載金額が変わる

消費税額が分かるように書くと、印紙税の記載金額から消費税額を除けます。この取扱いがあるのは、第1号・第2号・第17号の文書に限られます(No.7124)。

消費税額を「うち消費税額等100万円」と書く場合や、税込価格と税抜価格の両方を書く場合は、消費税額等が明らかなので、記載金額に含めません。一方、「税込」とだけ書く場合は、消費税額等が明らかとは言えないため、含めた金額が記載金額になります。

次の架空の例で比べます。

契約書の書き方(請負契約)記載金額印紙税額
「請負金額330万円(うち消費税額等30万円)」300万円1,000円
「請負金額330万円(税込)」330万円2,000円

消費税額が区分されていれば、300万円以下の区分に収まり、税額が1,000円で済みます。税額は上の第2号文書の表で確認できます。

領収書も同じです。国税庁の例では、「商品販売代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円」と書いた領収書は、記載金額が48,000円となり、5万円未満の非課税文書になります。なお、免税事業者が書いた消費税額は、記載金額に含めます(No.7124の注)。

電子契約・電子メールの扱い

国税庁の質疑応答事例は、印紙税の課税対象は課税物件表に掲げられた文書で、電磁的記録は文書に含まれないため、電子署名を付した電磁的記録を電子メールで送る場合は印紙税が課税されないとしています。

一方、紙で作った契約書は、課税文書に当たれば印紙税がかかります。写し・副本と表示した文書でも、契約の成立を証明する目的で作られるものは、課税対象になります(No.7120)。

電子データで契約を交わす場合の帳簿書類の保存は、電子帳簿保存法や法人の帳簿書類の保存期間で扱っています。

貼り忘れ・消印忘れの過怠税

印紙を貼らずに文書を作ると、納めなかった印紙税の額とその2倍の額との合計、つまり本来の税額の3倍の過怠税が徴収されます(No.7131)。

調査があったことで過怠税の決定を予知する前に、印紙税不納付事実申出書を税務署へ出した場合は、1.1倍に軽減されます。印紙を貼ったのに消印をしていない場合は、その印紙の額面と同額の過怠税です。

過怠税は、法人税の損金には算入できません。会計では、貼った印紙代は租税公課の経費として処理します。

消印は、文書と印紙にまたがって、作成者や従業者の印章または署名で行います(国税庁の質疑応答事例)。

まとめ

  • 印紙税は、法律で決まった課税文書を作ったときに、作成者が納める。共同で作った文書は連帯して納める。
  • 請負の契約書は第2号文書で、記載金額により200円〜。継続的取引の基本契約書は第7号文書で4,000円。
  • 業務委託契約書は、名前でなく内容で判断される。請負・基本契約・委任のどれかで変わる。
  • 売上代金の領収書は、5万円未満が非課税。会社の領収書は営業に関する受取書になる。
  • 消費税額を区分して書くと、記載金額から除ける。「税込」とだけ書くと含まれる。
  • 電磁的記録を電子メールで送る契約には、印紙税が課税されない。貼り忘れは本来の税額の3倍の過怠税になる。

よくある質問

領収書に収入印紙が必要なのは何円からですか?
売上代金の受取書は、記載金額が5万円以上のときに、200円からの印紙税がかかります。5万円未満は非課税です(出典:国税庁タックスアンサーNo.7105)。
業務委託契約書には、必ず印紙が必要ですか?
必ずではありません。文書の名称でなく内容で判断されます。請負なら第2号文書、継続的取引の基本契約なら第7号文書(4,000円)になる場合があり、委任の内容なら課税文書に当たらない場合があります(出典:国税庁タックスアンサーNo.7100・No.7141・No.7130)。
電子契約にも印紙税はかかりますか?
電磁的記録は文書に含まれないため、電子署名を付してメールで送る場合は印紙税が課税されません。紙の契約書は、課税文書に当たれば課税されます(出典:国税庁の質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」)。
消費税を書くと、印紙税は安くなりますか?
第1号・第2号・第17号の文書では、消費税額等が区分して書かれているか、税込価格と税抜価格の両方が書かれていれば、消費税額等は記載金額に含めません。「税込」とだけ書くと含まれます(出典:国税庁タックスアンサーNo.7124)。
印紙を貼り忘れたら、どうなりますか?
本来の税額の3倍の過怠税が徴収されます。自主的に申出書を出した場合は1.1倍です。過怠税は損金に算入できません(出典:国税庁タックスアンサーNo.7131)。

公式一次情報

本記事について。税理士監修前の概説です。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は税務署・税理士へご確認ください。