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領収書をなくしたときの経理|保存期間とインボイス

領収書を紛失しても、保存義務の対象だった書類は変わりません。保存期間、消費税の仕入税額控除への影響、再発行を頼むときの印紙税を、国税庁の資料と条文で整理します。

国税庁の資料と施行規則で確認
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

領収書は、支払の事実を示す証拠書類です。なくしても、保存すべき書類だったという扱いは変わらず、消費税の仕入税額控除では帳簿と請求書等の保存が原則の要件です。紛失に気づいたら、再発行の依頼や、代わりになる記録の保存を早めに進めます。

「領収書がなくても経費にできる」と国税庁が定めている資料は、今回確認できませんでした。この記事では、確認できた保存の決まりと、消費税の扱いに絞って書きます。

領収書の保存義務と期間

青色申告の法人は、取引で相手から受け取った領収書などの書類を、起算日から7年間保存します(法人税法施行規則59条)。国税庁のタックスアンサーNo.5930では、確定申告書の提出期限の翌日から7年間で、繰越欠損金などが生じた事業年度は10年間とされています。

青色申告の個人事業主は、帳簿と、領収書などの現金預金取引等関係書類を7年間保存します(所得税法施行規則63条)。それ以外の書類は5年間です。

白色申告の個人事業主は、国税庁の「帳簿の記帳のしかた」で、領収書などの書類が5年間、法定帳簿が7年間とされています。ただし同じ資料で、消費税の課税事業者が仕入税額控除の要件として保存する請求書等は、上の期間にかかわらず7年間とされています。

区分領収書などの保存期間
青色申告の法人7年間(繰越欠損金が生じた事業年度などは10年間)
青色申告の個人事業主領収書など現金預金取引等関係書類は7年間、それ以外の書類は5年間
白色申告の個人事業主5年間(法定帳簿は7年間。消費税の課税事業者が仕入税額控除に使う請求書等は7年間)

保存期間は、紛失した領収書にも関係します。期間内に失くした書類は、あとで探す手間や再発行の依頼が必要になります。保存の全体像は法人の書類の保存期間一覧で整理しています。

消費税の仕入税額控除への影響

課税事業者が仕入税額控除を受けるには、原則として、帳簿と請求書等の両方を保存します(消費税法30条7項)。インボイス制度の開始後は、請求書等が適格請求書などであることが前提です。

ただし、条文のただし書には、災害その他やむを得ない事情で保存できなかったことを事業者が証明した場合は除くとあります。単なる紛失がこれに当たるかは、国税庁の資料では確認できませんでした。条文の例示は災害です。

領収書を保存しなくてよい取引もあります。タックスアンサーNo.6496では、次のような取引は帳簿のみの保存でよいとされています。

  • 3万円未満の公共交通機関の運賃
  • 自動販売機での購入
  • 従業員の出張旅費や通勤手当
  • 基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者の、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの税込1万円未満の課税仕入れ

最後の項目の対象は、課税事業者の場合です。免税事業者は、そもそも仕入税額控除を受けないため、この保存要件の影響を受けません。インボイスの保存の考え方は適格請求書(インボイス)の基礎で整理しています。

取引先に再発行を頼むとき

国税庁のインボイスQ&A(問24-5)では、売り手が適格簡易請求書などを一度交付していれば、後日あらためて交付する義務は生じないとされています。買い手が紛失した場合に、売り手が再発行に応じる法的な義務は、この資料から読み取れません。再発行は、売り手の好意による対応になります。

再発行を頼むときは、印紙税にも注意します。国税庁の質疑応答(印紙税19-44)では、再発行した受取書も第17号文書に該当するとされています。受取金額が5万円以上の領収書では、再発行分に印紙税がかかる場合があります。

売り手にとっては、元の領収書と再発行分の両方が課税文書になるため、再発行を渋られることもあります。印紙税の考え方は領収書・契約書の印紙税にまとめています。

領収書以外の記録で支払を示す

国税庁の質疑応答(消費税18-7)には、家賃を口座振替で払い、請求書も領収書もない事例があります。契約書と、支払の事実を示す通帳を併せて保存すれば、仕入税額控除の保存要件を満たすとされています。口座振込なら、銀行が発行した振込金受取書の保存でも足りるとされています。

これは消費税の仕入税額控除の話です。所得税や法人税の必要経費として認められるかどうかを、この質疑応答から言い切ることはできません。

領収書の代わりに残しやすい記録は、次のとおりです。

  • 請求書、見積書、契約書、注文書
  • 通帳、振込の控え、クレジットカードの利用明細
  • 支払の日付、相手先、金額、目的を書いた社内の記録(出金伝票など)

出金伝票の扱いについて、国税庁の資料に明記された記述は確認できませんでした。補助的な記録として、他の証拠と組み合わせて残すのが現実的です。接待や香典の記録は交際費・接待費でも触れています。

紛失に気づいたときの進め方

  1. 支払の相手先、日付、金額、目的をメモし、通帳やカード明細で支払を確認します。
  2. 請求書や契約書など、取引を示す書類が残っていないか探します。
  3. 課税事業者でインボイスが必要な取引は、取引先に再発行を依頼します。印紙税の負担が出る場合があることも伝えます。
  4. 再発行を受けられなければ、支払を示す記録を揃えて保存し、仕入税額控除の扱いは税務署か税理士に確認します。
  5. 今後は、受け取ったらスキャンやスマホで撮影し、紛失しても元の内容を確認できるようにします。

よくある質問

領収書をなくしても、経費にできますか?
国税庁の資料で「領収書がなくても経費にできる」と定めたものは確認できませんでした。支払の事実を示す通帳、請求書、契約書などを保存し、個別の判断は税務署や税理士に確認してください。
領収書は何年間保存しますか?
青色申告の法人は7年間、青色申告の個人事業主は領収書などの現金預金取引等関係書類を7年間、白色申告の個人事業主は5年間です。ただし消費税の課税事業者が仕入税額控除に使う請求書等は、申告の種類にかかわらず7年間です。
領収書がなくても、消費税の仕入税額控除は受けられますか?
原則は帳簿と請求書等の保存が必要です。公共交通機関の3万円未満の運賃など、帳簿のみの保存でよい取引もあります。契約書と通帳を併せて保存することで要件を満たすとした質疑応答もあります。
取引先に領収書の再発行を頼むと、印紙税がかかりますか?
国税庁の質疑応答では、再発行した受取書も第17号文書に該当するとされています。受取金額が5万円以上の場合などは、印紙税が必要になる場合があります。

まとめ

  • 領収書などの保存期間は、青色申告の法人と個人事業主の現金預金取引等関係書類が7年間、白色申告の個人事業主が5年間。
  • 仕入税額控除は、原則として帳簿と請求書等の保存が要件で、3万円未満の公共交通機関など帳簿のみでよい取引もある。
  • 売り手に再発行の法的義務は、国税庁の資料から読み取れず、再発行分には印紙税がかかる場合がある。
  • 契約書と通帳の保存で要件を満たすとした質疑応答があるが、所得税・法人税の経費の可否とは別の話。

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本記事について。税理士監修前のプロトタイプによる整理です。保存の扱いは事業の状況で変わることがあり、個別の判断は税務署や税理士によります。出典:国税庁、e-Gov法令検索。

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