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有価証券を売ったときの消費税と課税売上割合

会社が株式などの有価証券を売ると、消費税は非課税です。ただし課税売上割合の計算には、売却額の5%だけを入れます。仕組みを国税庁の通達と政令で整理します。

消費税
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

株式や社債などの有価証券を売っても、消費税はかかりません(非課税)。それでも、本則課税で仕入れの消費税を引くときの課税売上割合には、売却額の5%を分母に加える決まりがあります。大きな株式売却があった年は、この5%で割合が下がることがあります。

  • 株式などの有価証券の譲渡は、消費税の非課税です(消費税法別表第二第2号、消費税基本通達6-2-1)。
  • 株式や社債などの売却額は、課税売上割合の分母に5%だけ入れます(消費税法施行令48条5項)。
  • 配当金は、消費税の対価に当たらず、計算に入りません(消費税基本通達5-2-8)。

有価証券の譲渡は非課税

消費税法別表第二第2号は、有価証券等の譲渡を非課税としています。消費税基本通達6-2-1は、非課税になる有価証券等の範囲を示しており、国債、地方債、社債、株式などが該当します。

合同会社の社員の持分や協同組合の組合員の持分など、法人の出資者の持分の譲渡も非課税です(消費税法施行令9条1項2号)。ただし、この持分は5%の特例の対象に入っておらず、売却額の全額が分母に入ります(同令48条5項)。この記事の5%は、株式や社債などの有価証券の話です。

一方、消費税基本通達6-2-2は、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権等は、有価証券等に含まれないとしています。ゴルフ会員権の売却は、非課税にならない点に注意が必要です。

課税売上割合には5%だけ入れる

課税売上割合は、総売上高のうち課税売上高が占める割合です(詳しくは課税売上割合とは)。有価証券の売却は非課税なので、分子には入りません。

分母には、売却額の全額ではなく、売却額の5%に相当する金額を入れます。消費税法施行令48条5項が、有価証券等や金銭債権を譲渡したときの対価の額を、譲渡の対価の額の百分の五に相当する金額と定めているためです。

分母に入るのは「売却額の5%」で、売却益の5%ではありません。簿価が高く売却損が出た場合でも、売却額が基準になります。

計算例(売却額と割合の関係)

金額は税抜の例です。

項目例1:売却が小さい例2:売却が大きい
課税売上高8,000万円1,000万円
株式の売却額1,000万円5,000万円
分母に入れる額(売却額の5%)50万円250万円
分母の合計8,050万円1,250万円
課税売上割合約99.4%80%

例1は95%以上なので、課税売上高が5億円以下なら、仕入れの消費税を全額控除できる範囲です。例2は95%未満なので、個別対応方式か一括比例配分方式で、控除できる額が割合に応じて減ります。

仮に売却額の全額を分母に入れる決まりだったなら、例1は約88.9%まで下がります。5%という決まりがあるので、売却が小さい年は、95%の判定に響きにくくなっています。

割合が大きく動いたときの調整は、課税売上割合が著しく変動したときの調整で確認できます。

計算に入らないもの・課税になるもの

  • 配当金:株主や出資者の地位に基づく出資への配当で、資産の譲渡等の対価に当たりません。分母にも分子にも入りません(消費税基本通達5-2-8)。
  • 自社の売掛金の譲渡:商品を売った代金として取得した売掛金を譲渡しても、計算に含めません(消費税法施行令48条2項2号)。
  • ゴルフ会員権:株式・出資・預託の形態のものは有価証券等に含まれず、非課税になりません(消費税基本通達6-2-2)。
  • 個人事業主が事業と関係なく持つ株:消費税の対象は「事業として」行う取引です(消費税法2条1項8号)。事業と関係のない個人の株式の売却は、この前提から外れます。

簡易課税を選んでいる場合は、売上げに係る消費税額にみなし仕入率を乗じて仕入れの税額を出すので(国税庁No.6505)、課税売上割合で控除額を決める場面はありません。免税事業者の場合も、仕入税額控除の計算をしません。

早見表

場面消費税の扱い課税売上割合の計算
株式・社債・国債の売却非課税分母に売却額の5%
株式の配当金対価に当たらない入れない
合同会社などの持分の売却非課税分母に全額
自社の売掛金の譲渡金銭債権の譲渡入れない
ゴルフ会員権の売却課税課税売上に入る

非課税・不課税・免税の区別は消費税の課税・非課税・不課税・免税の違いで整理しています。

よくある質問

株式を売ると、消費税はかかりますか?
かかりません。有価証券等の譲渡は非課税です(消費税法別表第二第2号、消費税基本通達6-2-1)。
株式の売却で、課税売上割合はどう変わりますか?
分母に売却額の5%に相当する金額が加わり、分子には入りません。そのため売却額が大きい年は割合が下がります(消費税法施行令48条5項)。
売却益が出ていないと、分母には入りませんか?
入ります。分母に加えるのは売却額の5%で、売却益や売却損とは関係なく計算します(消費税法施行令48条5項)。
配当金は課税売上割合に入りますか?
入りません。出資に対する配当は資産の譲渡等の対価に当たりません(消費税基本通達5-2-8)。

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公式一次情報

本記事について。税理士監修前の概説です。個別の取引は条件によって扱いが変わるため、実際の申告は税務署や税理士へ確認してください。出典:国税庁、e-Gov法令検索。