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海外クライアント・海外サービス利用時の消費税と外貨売上の円換算

海外の取引先への請求と、海外サービスへの支払いで、消費税がどう変わるかを、輸出免税・リバースチャージ・円換算の3点に分けて整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

海外の会社から仕事を受けたり、海外のサービスに料金を払ったりすると、「消費税はかかるのか」「ドル建ての金額は何円で計上するのか」で迷います。このページは、取引の相手が国外にある場合の消費税と円換算を、国税庁とe-Govの原文にもとづいて整理します。

動画や広告の収益を国内向けのプラットフォームから受け取る場合とは主題が異なります。ここで扱うのは、海外クライアントへの請求と、海外サービスの利用料の支払いです。

売上と仕入れの判定表

売上は「相手が非居住者か」、仕入れは「国外事業者からの事業者向けの電気通信回線を使った役務か」で見ます。どちらも該当しなければ、通常の国内取引と同じ扱いです。
取引消費税の扱い見る場所
海外の非居住者への役務の提供(デザイン・翻訳・開発など)輸出取引として免税(課税事業者の場合)輸出免税
国内で直接便益を受ける役務(国内での宿泊・飲食・国内資産の運送や保管など)非居住者向けでも免税にならず、課税輸出免税
国外事業者から受ける、事業者向けのインターネット経由の役務(クラウド・広告配信など)受けた側が「特定課税仕入れ」として申告・納税する場合がある(リバースチャージ)リバースチャージ
外貨建ての売上・経費所得税の円換算の取扱いに従って計上した金額が課税標準円換算

海外クライアントへの請求:輸出免税になる役務

国内で事業を行う課税事業者が、非居住者に役務を提供するときは、原則として消費税が免除されます。ただし国内で直接便益を受けるものは対象外です。

国税庁のNo.6551「輸出取引の免税」は、課税事業者が行う輸出取引等として、次を免税の範囲に挙げています。

  • 国内からの輸出として行われる資産の譲渡または貸付け
  • 国内と国外との間の通信または郵便・信書便
  • 非居住者に対する鉱業権、工業所有権、著作権、営業権等の無体財産権の譲渡または貸付け
  • 非居住者に対する役務の提供

ここでいう「非居住者」は、外国為替及び外国貿易法に規定する非居住者で、日本国内に住所または居所を有しない個人と、日本国内に主たる事務所を持たない法人が該当します。非居住者の日本国内の支店や出張所は、その主たる事務所が外国にある場合でも扱いが分かれるため、国税庁の原文で確認してください。

非居住者への役務の提供でも、国内に所在する資産に係る運送や保管、国内での飲食や宿泊など、非居住者が国内で直接便益を受けるものは免税の輸出取引になりません。たとえば、海外の会社から依頼された作業でも、その成果を日本国内の拠点で直接利用する形なら、免税とならない場合があります。契約の相手と、便益を受ける場所の両方を確認してください。

免税の対象は、消費税法第7条のとおり、消費税の納税義務が免除されていない事業者(課税事業者)が国内で行う課税資産の譲渡等です。免税事業者は、そもそも消費税の納税義務がありません。

輸出免税を受けるための証明書類

消費税法第7条第2項は、輸出取引等であることを財務省令で定めるところにより証明した場合でなければ、免税を適用しないと定めています。国税庁のNo.6551によると、役務の提供や無体財産権の譲渡・貸付けでは、契約書その他の書類で一定事項が記載されたものを保存します。保存期間は納税地等で7年間です。

  • 物品を輸出する場合は、輸出許可書など。
  • 非居住者への役務の提供の場合は、契約書、請求書などで、相手が非居住者であることが分かる書類。

令和8年10月1日以後は、物品の輸出で代金を現金などで受け取る場合に、輸入許可書といった輸入の事実を証する書類の保存が加わります。銀行振込などで取引相手から受け取る場合は、この追加の対象になりません。

輸出取引でも、その取引に対応する課税仕入れの消費税は、申告の際に仕入税額控除ができます。インボイス制度のもとでは、原則として帳簿と適格請求書等の保存が要件です。登録や請求書の書き方はインボイス登録の方法で整理しています。

海外サービスの利用料:リバースチャージの対象か

申告が必要なのは、一般課税で、その課税期間の課税売上割合が95%未満の事業者に限られます。簡易課税や課税売上割合95%以上の課税期間は、特定課税仕入れがなかったものとされます。

電子書籍・音楽・広告の配信など、インターネット等を介して行われる役務は「電気通信利用役務の提供」とされ、国内の事業者や消費者に向けたものは、国内外のどちらから行われても国内取引として消費税が課されます。

このうち、役務の性質や取引条件から、受ける人が通常は事業者に限られるものが「事業者向け電気通信利用役務の提供」です。国外事業者から受けた場合は、提供した国外事業者ではなく、受けた国内事業者が「特定課税仕入れ」として申告・納税します。

これがリバースチャージ方式です。国外事業者が国内で行う芸能・スポーツ等の役務の提供(特定役務の提供)も、同じ扱いです。

ただし国税庁の質疑応答事例は、次の課税期間は「当分の間」、特定課税仕入れがなかったものとされるとしています。

  • 一般課税で、課税売上割合が95%以上の課税期間
  • 簡易課税制度が適用される課税期間

これらに当たる場合は、申告に含める必要がなく、仕入税額控除だけを行うこともできません。したがって、リバースチャージ方式で申告するのは、一般課税の事業者で、その課税期間の課税売上割合が95%未満の事業者に限られます。課税売上の大半が課税取引である個人事業主は、多くの場合、課税売上割合が95%以上になり、実務上は申告不要になります。

国外事業者が提供する、事業者向けでない電気通信利用役務(消費者向け)は、原則として提供する国外事業者が申告・納税します。令和7年4月以降は、プラットフォーム課税の対象になるものについて、特定プラットフォーム事業者が申告・納税します。

外貨建ての売上・経費の円換算

外貨建ての売上は取引日の電信買相場、経費は取引日の電信売相場で換算できます。ただし継続適用が条件で、原則は電信売相場と電信買相場の仲値です。

所得税基本通達57の3-2は、外貨建取引の円換算を、取引を計上すべき日の対顧客直物電信売相場と電信買相場の仲値によると定めています。ただし、不動産所得、事業所得、山林所得または雑所得の計算では、継続適用を条件として、売上その他の収入や資産は取引日の電信買相場、仕入その他の経費や負債は取引日の電信売相場によることができます。

  • 相場は、原則として主たる取引金融機関のものを使います。合理的なものを継続して使っている場合は認められます。
  • 継続適用を条件に、取引日の属する月・週の前後の末日や初日の相場、または1か月以内の期間の平均値も使えます。
  • その日に相場がない場合は、直前の最も近い日の相場を使います。

消費税の課税標準も、これと同じ円換算額です。国税庁の質疑応答事例は、外貨建取引の対価の額は、所得税または法人税で円換算して計上すべき金額によるとしています。

課税仕入れに係る支払対価の額も同様です。所得税の売上と消費税の課税売上で、別々の為替レートを使うことは想定されていません。

支払いが日本円で行われると決められている取引は、通達57の3-1により、金額が外貨で表示されていても外貨建取引には当たりません。契約で支払通貨を確認してください。

免税事業者・簡易課税の人の注意点

免税事業者は輸出免税もリバースチャージも関係なく、簡易課税の人もリバースチャージの申告は不要です。判定の前に、自分の課税期間の区分を確認します。

国税庁のNo.6118は、免税事業者は消費税の確定申告等を行う必要がないため、特定課税仕入れを行っても申告等を行う必要はないとしています。簡易課税を選んでいる課税期間も、上のとおり特定課税仕入れはなかったものとされます。

インボイスを機に課税事業者になった人は、納付税額を売上税額の2割にできる2割特例を使える場合があります。

2割特例は令和8年9月30日までの日の属する課税期間の経過措置で、個人事業者には令和9年・10年の課税期間に3割特例が設けられています。詳しくはインボイスの2割特例を参照してください。簡易課税の仕組みは簡易課税制度、課税事業者になる時期の判断は消費税の特定期間で整理しています。

国外事業者から受ける役務が、事業者向けかどうかの判定は、サービスの性質や契約条件で決まります。判断に迷う場合は、所轄の税務署または税理士に確認してください。

公式一次情報

まとめ

  • 非居住者への役務の提供は、課税事業者なら原則として輸出免税になる。国内で直接便益を受けるものは対象外。
  • 免税には、契約書など証明する書類の保存が必要で、保存期間は7年。
  • 国外事業者から事業者向けの電気通信利用役務を受けても、リバースチャージで申告するのは、一般課税で課税売上割合が95%未満の事業者に限られる。
  • 外貨建ての売上は取引日の電信買相場、経費は電信売相場で換算できる(継続適用が条件)。消費税の課税標準も同じ円換算額。

よくある質問

海外の会社に請求する報酬には、消費税をかけますか?
課税事業者が非居住者に行う役務の提供は、原則として輸出取引として消費税が免除されます。ただし、国内で直接便益を受ける役務は免税になりません(出典:国税庁 No.6551)。
輸出免税を受けるために必要な書類は何ですか?
非居住者への役務の提供では、契約書その他の書類で一定事項が記載されたものを、納税地等に7年間保存します(出典:国税庁 No.6551)。
海外のクラウドサービスの利用料は、リバースチャージで申告が必要ですか?
事業者向け電気通信利用役務の提供に当たる場合でも、申告が必要なのは、一般課税で課税売上割合が95%未満の課税期間だけです。簡易課税や、課税売上割合が95%以上の課税期間は、特定課税仕入れがなかったものとされます(出典:国税庁)。
ドル建ての売上は、何円で計上しますか?
原則は、取引日の電信売相場と電信買相場の仲値です。事業所得では、継続適用を条件に、売上は取引日の電信買相場、経費は電信売相場によることもできます(出典:国税庁 所得税基本通達57の3-2)。
消費税の課税売上の金額も、所得税と同じレートで換算しますか?
はい。外貨建取引の対価の額は、所得税で円換算して計上すべき金額によります(出典:国税庁 質疑応答事例)。
免税事業者でもリバースチャージの申告は必要ですか?
免税事業者は消費税の確定申告等を行う必要がないため、特定課税仕入れを行っても申告は不要です(出典:国税庁 No.6118)。
本記事について。税理士監修前の概説です。非居住者への該当や、役務が事業者向けかどうかは、契約と取引の実態で変わります。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は税務署または専門家へご確認ください。