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リバースチャージ方式の申告が必要な場合と不要な場合

海外のクラウドや広告サービスの利用料で、消費税を自分で申告するのはどんな場合か。対象の役務と、申告が不要になる「当分の間」の経過措置を、国税庁の案内と消費税法で整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

海外の会社が提供するクラウドサービスや広告配信の利用料を払うとき、請求書に日本の消費税が載っていないことがあります。この場合に、支払う側が消費税を申告する仕組みがリバースチャージ方式です。ただし、多くの事業者は経過措置で申告が不要になります。

リバースチャージ方式の対象になる役務

対象は、国外事業者が行う「事業者向け電気通信利用役務の提供」と「特定役務の提供」です。この2つを国内で受けると、受けた側にとって「特定課税仕入れ」になります。

消費税法2条1項8号の4は、事業者向け電気通信利用役務の提供を、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、役務の性質や取引条件等から、役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものと定めています。

国税庁のNo.6118も、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供は、「事業者向け電気通信利用役務の提供」とそれ以外に区分されると説明しています。

特定課税仕入れについて、No.6118は「国内において国外事業者から受けた『事業者向け電気通信利用役務の提供』および『特定役務の提供』をいいます」としています。

個々のサービスが事業者向けに当たるかは、サービスの性質と契約条件で決まります。一覧表で一律に決まるものではないため、判断に迷う場合は所轄の税務署または税理士に確認してください。

誰が申告・納税するのか

通常は役務を提供した事業者が申告しますが、事業者向け電気通信利用役務では、受けた国内事業者が「特定課税仕入れ」として申告・納税します。

消費税は、課税資産の譲渡等を行った事業者が申告・納税するのが原則です。国税庁のNo.6118は、事業者向け電気通信利用役務の提供については、国外事業者から役務の提供を受けた国内事業者が、特定課税仕入れとして申告・納税するとしています。

特定課税仕入れに係る消費税の課税標準は、支払対価の額です(消費税法28条2項)。

海外取引全体の消費税(輸出免税・外貨建ての円換算)は、海外クライアント・海外サービス利用時の消費税で整理しています。

「当分の間」申告が不要になる課税期間

一般課税で課税売上割合が95%以上の課税期間と、簡易課税が適用される課税期間は、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされます。

No.6118の「リバースチャージ方式に関する経過措置」は、特定課税仕入れを行った国内事業者には申告・納税の義務が課され、仕入税額控除の対象にもできるとしたうえで、次の課税期間は当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされると説明しています。

  • 一般課税で、その課税期間の課税売上割合が95パーセント以上である課税期間
  • 簡易課税制度、ならびに小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)が適用される課税期間

No.6118によると、2割特例は令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間が対象で、個人事業者には令和9年・令和10年の課税期間に3割特例が設けられています。いずれも「小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置」にあたります。

これらに当たる場合は、特定課税仕入れを行っても、その課税期間の確定申告に特定課税仕入れを含める必要はありません。根拠として、No.6118は平成27年改正法附則42条・44条などを挙げています。

申告に含めないため、特定課税仕入れについて仕入税額控除だけを行うこともありません。結果として、リバースチャージ方式で実際に申告が必要なのは、一般課税で課税売上割合が95%未満の課税期間に限られます。

自分はどれに当たるかの判定表

その課税期間の状況特定課税仕入れの申告
免税事業者消費税の確定申告等を行う必要がないため、申告は不要
簡易課税を選んでいる当分の間、なかったものとされ、申告は不要
2割特例を使う課税期間当分の間、なかったものとされ、申告は不要
一般課税で課税売上割合が95%以上当分の間、なかったものとされ、申告は不要
一般課税で課税売上割合が95%未満特定課税仕入れとして申告・納税が必要(仕入税額控除の対象にもなる)

簡易課税の仕組みは簡易課税制度、2割特例はインボイスの2割特例で説明しています。

消費者向けの役務との違い

国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、事業者向け以外のもの(消費者向け)は、リバースチャージ方式の対象ではありません。No.6118は、電気通信利用役務の提供を「事業者向け」と「それ以外」に区分しており、課税方式もこの区分で分かれます。

消費者向けの役務の提供の課税関係(国外事業者による申告・納税や、プラットフォーム課税)は、国税庁のNo.6118と国境を越えた役務の提供に関する案内で確認してください。

公式一次情報

まとめ

  • 事業者向け電気通信利用役務の提供は、役務の性質や取引条件から、受ける者が通常事業者に限られるもの。
  • 国外事業者から受けたこの役務は、受けた国内事業者が特定課税仕入れとして申告・納税する。
  • 一般課税で課税売上割合95%以上、または簡易課税・2割特例の課税期間は、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされる。
  • 実際に申告が必要なのは、一般課税で課税売上割合が95%未満の課税期間。免税事業者は申告自体が不要。

よくある質問

リバースチャージ方式とは何ですか?
事業者向け電気通信利用役務の提供など、国外事業者から受けた役務について、提供した側ではなく受けた国内事業者が特定課税仕入れとして申告・納税する方式です(出典:国税庁 No.6118)。
事業者向け電気通信利用役務の提供とは何ですか?
国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、役務の性質や取引条件等から、提供を受ける者が通常事業者に限られるものです(消費税法2条1項8号の4)。
簡易課税を選んでいる場合、申告は必要ですか?
簡易課税が適用される課税期間は、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされ、確定申告に含める必要はありません(出典:国税庁 No.6118)。
課税売上割合が95%以上なら申告は不要ですか?
一般課税で、その課税期間の課税売上割合が95パーセント以上であれば、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされます(出典:国税庁 No.6118)。
免税事業者もリバースチャージで申告しますか?
免税事業者は消費税の確定申告等を行う必要がないため、特定課税仕入れを行っても申告は不要です。
特定課税仕入れの消費税の計算の基になる金額は何ですか?
特定課税仕入れに係る支払対価の額です(消費税法28条2項)。
本記事について。税理士監修前の概説です。役務が事業者向けに当たるかは、サービスの性質と契約条件で変わります。経過措置は「当分の間」とされており、改正される場合があります。個別の判断は税務署または専門家へご確認ください。