クラウドファンディングの消費税と収入計上時期|購入型・寄付型の違い
購入型と寄付型で消費税の扱いがどう分かれるか、支援金をいつの収入にするかを、国税庁の資料で確認できる範囲に絞って整理します。
国税庁の制度クラウドファンディングで集めた支援金は、リターンを返す購入型か、見返りのない寄付型かで税金の扱いが変わります。消費税は「対価があるか」で分かれ、所得税・法人税の収入は「いつの分として数えるか」が論点になります。
ここでは、国税庁のタックスアンサー・通達・税務大学校の論叢で原文を確認できた範囲だけを書きます。クラウドファンディングそのものについて国税庁が示した公式の取扱いは、今回は確認できませんでした。確認できなかった点は、その旨を明記しています。
購入型と寄付型の消費税
消費税の課税対象は、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等です。国税庁は、寄附金や補助金は一般的には対価と認められないため、受け取っても原則として課税対象にならないと説明しています(タックスアンサーNo.6105)。
| 型 | 消費税の扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 購入型 | 課税取引 | 支援金とリターン(商品・サービス)に対価性があり、反復・継続・独立して行えば「事業」に当たるため |
| 寄付型 | 課税対象外 | 支援金と寄付の間に対価性が認められなければ「事業」に当たらないため |
この整理は、税務大学校の論叢(第100号)に載っています。論叢は執筆者個人の研究で、国税庁の公式見解ではない旨が付されています。ただし根拠にしている条件は、タックスアンサーNo.6105の「対価を得て行う」「事業として」の説明と同じです。
個人が購入型を行う場合、「事業として」に当たるかは反復・継続・独立して行うかで決まります。論叢は、これらを満たす限り金額の多寡にかかわらず事業に該当するとしています。一方、給与所得者がたまたま自家用車を売る行為は事業にならないという国税庁の例(No.6105)があり、単発の企画がどちらに当たるかは個別の事情で変わります。
課税取引になっても、すぐ納税が必要になるとは限りません。基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として納税義務は免除されます。詳しくは課税事業者になる1,000万円の判定と簡易課税制度を参照してください。
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支援金を収入にする時期
購入型で気をつけたいのは、支援金を受け取った年や事業年度と、リターンを届ける時期がずれることです。国税庁の通達は、物を売る取引の収入を「引渡しがあった日」で数える形で定めています。
| 税目 | 物(棚卸資産)の販売 | 根拠 |
|---|---|---|
| 消費税 | 引渡しの時。前受金を先に受け取っても、現実に引渡しや役務の提供をした時が譲渡等の時 | タックスアンサーNo.6141 |
| 所得税(事業所得) | 棚卸資産の販売は、その引渡しがあった日 | 所得税基本通達36-8(1) |
| 法人税 | 引渡しがあった日の属する事業年度。出荷日・検収日・使用収益できる日など、合理的な日のうち継続して使う日 | 法人税基本通達2-1-2 |
役務(サービス)を返す場合、所得税基本通達36-8(5)は、人的役務の提供による収入を、その役務の提供を完了した日としています。ただし、期間の経過や役務の提供の程度に応じて報酬を受け取る特約や慣習がある場合は例外です。
したがって、リターンが商品なら、支援金を受け取った年ではなく商品を届けた年の収入、というのが通達から読める基本の形です。年をまたいで発送するプロジェクトでは、受け取った支援金が年末時点でまだ収入にならないケースが出ます。
寄付型を受け取った側の税金
寄付型には消費税がかかりません。所得税・贈与税の扱いは、受け取る側が個人か法人か、寄付をした側が誰かで変わります。国税庁は、贈与税は個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金で、法人から贈与により財産を取得したときは贈与税ではなく所得税がかかると説明しています(No.4402)。
個人から贈与を受けた場合の贈与税は、1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産の合計額から基礎控除110万円(暦年課税)を引いた残りにかかり、合計額が110万円以下なら申告は不要です(No.4402)。
ただし、クラウドファンディングの寄付型の支援金が、この贈与や所得のどちらに当たるかについて、国税庁が個別に示した取扱いは確認できませんでした。事業の資金として集める場合は、金額が大きいほど、実際の募集内容に即して税務署か税理士に確認してください。
確認できなかった点
- クラウドファンディングの支援金を、入金時とプロジェクト成立時のどちらで収入にするかを定めた国税庁の公式資料。上の通達は物の販売や役務の提供に関する一般的な定めで、クラウドファンディングを名指ししたものではありません。
- プラットフォームの手数料を、誰の売上・経費としてどう計上するかの国税庁の取扱い。
- 寄付型の支援金を法人が受け取った場合の法人税の扱い(今回は一次資料の原文を取れていないため書いていません)。
これらは、募集ページの規約(返金の条件、リターンの内容、運営会社が資金をいつ引き渡すか)によって実態が変わります。申告前に、規約と入金の記録を手元に残しておくと確認しやすくなります。
公式情報
- 国税庁「No.6105 課税の対象」(事業として対価を得る取引・寄附金は原則対象外)
- 国税庁「No.6141 納税義務の成立の時期」(前受金を受け取っても引渡しの時が譲渡等の時)
- 税務大学校論叢第100号「シェアリングエコノミーと消費税」(購入型は課税・寄付型は対象外。研究者の見解)
- 国税庁 所得税基本通達36-8(事業所得の総収入金額の収入すべき時期)
- 国税庁 法人税基本通達2-1-2(棚卸資産の引渡しの日の判定)
- 国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」
まとめ
- 購入型はリターンとの対価性があり、反復・継続・独立して行えば消費税の課税取引になる。
- 寄付型は対価性がなければ消費税の課税対象外になる。
- 物のリターンは、受け取った時ではなく引渡しがあった日の収入になるのが通達の基本。
- 入金時かプロジェクト成立時かなど、クラウドファンディング特有の計上時期の公式資料は確認できなかった。
よくある質問
- 購入型クラウドファンディングの支援金に消費税はかかりますか?
- 支援金とリターンに対価性があり、反復・継続・独立して行う場合は課税取引になります。ただし基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として納税義務は免除されます(出典:税務大学校論叢第100号、国税庁No.6105)。
- 寄付型の支援金に消費税はかかりますか?
- 支援金と寄付の間に対価性が認められない場合は、消費税法上の事業に当たらず課税対象外です(出典:税務大学校論叢第100号。研究者の見解)。
- 年末に支援金を受け取って、リターンを翌年に送る場合はいつの収入ですか?
- 物のリターンなら、所得税・法人税・消費税とも通達は引渡しがあった日を基本にしています。前受金を先に受け取っても、消費税は引渡しの時が譲渡等の時です(出典:国税庁No.6141、所得税基本通達36-8、法人税基本通達2-1-2)。

