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総額表示義務の対象|税込価格の表示が必要な場合と例外

消費税法63条の総額表示義務は、すべての価格表示に及ぶわけではありません。義務がかかる事業者と相手、対象になる表示媒体、義務のない場合、認められる表示例と端数の扱いを、国税庁の通達とタックスアンサーにもとづき整理します。

消費税法63条
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

総額表示が義務になるのは、課税事業者が、消費者などの不特定かつ多数の者に向けて、あらかじめ価格を表示するときです。免税事業者や、専ら事業者だけを相手にする取引、価格を表示していない場合は対象になりません。

義務の根拠は消費税法63条です。値札、チラシ、ホームページの料金表がどこまで対象になるのか、どんな書き方なら認められるのかを順に確認します。

総額表示義務とは(63条の要件)

国税庁は、総額表示義務を「事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額(地方消費税額を含む)を含めた価格(税込価格)を表示することを義務付けるもの」と案内しています。

消費税法63条の文言から、義務がかかる条件は次の3つに分けられます。

条件63条の文言
誰が消費税の納税義務が免除される事業者(9条1項本文)を除く事業者。つまり課税事業者
誰に対して不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合(専ら他の事業者に行う場合を除く)
どんなときあらかじめ資産または役務の価格を表示するとき

3つがそろったときに、税込価格(消費税額と地方消費税額の合計額を含めた価格)で表示する義務が生じます。課税事業者になる基準は課税事業者の判定(基準期間1,000万円)で説明しています。

義務がかからない場合

条文と通達(消費税法基本通達18章)から、義務の対象外になる場面を整理します。

場面扱い根拠
免税事業者が価格を表示する63条の義務の対象外63条の括弧書き
専ら他の事業者に売る取引対象外。建設機械の展示販売や、事業用資産のメンテナンスなど、およそ事業にしか使われないことが客観的に明らかな取引が例63条・通達18-1-3
価格を表示していない表示を義務付けるものではない通達18-1-8
口頭で伝える価格対象外タックスアンサーNo.6902
メーカーなどが設定する希望小売価格消費者への価格表示ではないため対象外通達18-1-5

免税事業者は、総額表示の義務からは外れています。自分が課税事業者か免税事業者かは、基準期間の課税売上高などで決まります。

会員制の店舗でも、会員の募集が不特定かつ多数の者を対象にしている場合は「不特定かつ多数の者」に当たります(通達18-1-2)。会員限定だから対象外、とは言えません。

対象になる表示媒体と価格のかたち

通達は、表示の媒体を問わないとしています(18-1-7)。次のような表示が対象です。

  • 値札、商品陳列棚、店内表示
  • 商品、容器、包装、添付物に書いた価格
  • チラシ、パンフレット、カタログ、説明書面(ダイレクトメール、ファクシミリを含む)
  • ポスター、看板、ネオン・サイン、アドバルーンなど
  • 新聞、雑誌、放送、映写、電光による表示
  • 情報処理の用に供する機器による表示(インターネット、電子メールを含む)

ホームページの料金表やネットショップの商品ページも、消費者に向けた価格表示であれば対象です。

最終的な取引価格そのものを示さない表示も含まれます。資産や役務の単価、手数料率など、事実上、価格を表示しているに等しい表示にも総額表示が必要です(通達18-1-4)。

認められる表示例と端数の扱い

国税庁のタックスアンサーは、税率10%の商品の例として、次の表示を総額表示として認めています(本体価格10,000円の場合)。

表示例
11,000円
11,000円(税込)
11,000円(税抜価格10,000円)
11,000円(うち消費税額等1,000円)
11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
11,000円(税抜価格10,000円、消費税率10パーセント)
10,000円(税込価格11,000円)

通達18-1-1によると、税込価格が表示されていれば「税込価格である」という表示は不要です。税込価格のほかに、税抜価格や消費税額等を併記しても差し支えありません。

ただし、税抜価格をことさら強調して消費者に誤認を与える表示は、総額表示に当たりません。「10,000円(税込11,000円)」のような書き方でも、税込価格より税抜価格が目立つ作りにしないよう注意してください。

税込価格を設定するときに1円未満の端数が出る場合は、四捨五入、切捨て、切上げのどれで処理してもよいとされています。端数を処理せず、円未満の端数を表示しても、税込価格が表示されていれば義務に反しません。

判断に迷いやすい4つの場面

  • メーカーの希望小売価格が税抜のとき:小売店が、メーカーが商品本体に印字した価格をそのまま販売価格にする場合は、その価格が総額表示義務の対象です。希望小売価格が税抜価格なら、小売店は棚札などに税込価格を表示する必要があります(通達18-1-5)。
  • タイムサービスの値引き表示:「30%引き」のような値引き前の価格に対する割引率や割引額の表示は、総額表示義務の対象ではありません。値引き後の価格を表示する場合は、その価格が対象になります(通達18-1-6)。
  • 単価や手数料率の表示:1時間あたりの料金や手数料率だけを掲げる場合も、事実上の価格表示として総額表示が必要です(通達18-1-4)。
  • 会員制の店舗:募集が不特定多数に向けて行われていれば、会員のみの店舗でも対象です(通達18-1-2)。

飲食料品については、国税庁が令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、消費税率が引き下げられ、総額表示の特例が設けられると案内しています。特例の内容は飲食料品の消費税率1%|値札・総額表示の特例にまとめています。

次に知りたいこと

公式一次情報

よくある質問

総額表示義務は免税事業者にもありますか?
消費税法63条は、納税義務が免除される事業者(9条1項本文)を義務の対象から除いています。課税事業者が、消費者などに向けて価格を表示するときの義務です。
事業者向けの価格表は税抜でもよいですか?
専ら他の事業者に売る取引は対象外です。通達は、建設機械の展示販売や事業用資産のメンテナンスなど、事業にしか使われないことが客観的に明らかな取引を例に挙げています。
「10,000円(税込11,000円)」という表示は認められますか?
国税庁は総額表示として認めています。ただし、税抜価格をことさら強調して消費者に誤認を与える表示は、総額表示に当たりません。
税込価格の端数はどう処理しますか?
1円未満の端数は、四捨五入、切捨て、切上げのどれでも構いません。
価格を表示していなければ税込価格を示す必要はありませんか?
総額表示の対象は、あらかじめ価格を表示する場合です。価格を表示していない場合や、口頭で伝える価格は対象になりません。
ホームページの料金表も対象ですか?
表示媒体は問われません。インターネットによる価格表示も、消費者に向けたものであれば対象です。
本記事について。専門家監修前の概説です。2026年10月26日時点の国税庁の公開情報にもとづく一般的な案内で、個別の判断に代わるものではありません。実際の価格表示は、税理士または所轄の税務署へご確認ください。