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飲食料品の消費税率1%|値札・総額表示の特例と誤認防止措置

令和9年4月から税率1%になる案の飲食料品について、値札の貼り替えが間に合わないときに旧税率や新税率の税込価格を表示してよい4つの期間、「困難な事情」の例、棚の掲示や値札の色分けといった誤認防止措置を、国税庁のQ&Aで整理します。

国税庁の案内
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

国税庁は、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる案を公表しています。令和8年9月15日に閣議決定された大綱の内容で、法案が国会で成立した場合のものです。

店頭やチラシで価格を示す小売店は、税率が変わる日に値札を一斉に貼り替えなければなりません。案では、その負担に配慮して、総額表示の義務に特例が設けられます。この記事では、特例が使える期間、使える事情、必要な掲示を説明します。

総額表示の義務とは

国税庁の回答:免税事業者を除く事業者が、不特定かつ多数の消費者に価格をあらかじめ表示するときは、消費税額(地方消費税を含む)を含めた税込価格を表示する義務があります(消費税法63条)。

表示の媒体は問われません。店頭の値札、チラシ、新聞やテレビの広告のどれでも対象です(消費税法基本通達18-1-7)。一方、価格を表示していない場合にまで、税込価格の表示を義務づけるものではありません(同18-1-8)。

税率が変わる日には、陳列されている商品の値札や、すでに配ったチラシの表示が実際の税率と合わなくなります。この負担を減らすため、案では飲食料品の価格表示に限った特例が設けられます。

特例が使える4つの期間

特例は、税率が下がる前後と、1%が終わる前後の4つの期間にあります。いずれも、総額表示に直ちに対応することが困難な事情があり、後述の誤認防止措置をとっている場合に限ります。

期間実際の適用税率表示してよい税込価格
令和9年2月1日〜3月31日8%税率1%による税込価格
令和9年4月1日〜5月31日1%税率8%による税込価格
令和11年2月1日〜3月31日1%税率8%による税込価格
令和11年4月1日〜5月31日8%税率1%による税込価格

引下げの前は新しい税率の表示を先に出す準備ができ、引下げの後は古い値札のまま売り続ける猶予が認められる形です。どちらの場合も、レジでは実際の税率で精算します。

対象は飲食料品の譲渡に係る価格表示です。酒類や外食など、10%が適用される商品は対象外です。何が飲食料品に当たるかは、対象品目とギフト・福袋・おまけ付きの判定で確認できます。

「困難な事情」に当たる例・当たらない例

国税庁のQ&Aは、「直ちに対応することが困難な事情」を次のように説明しています。

  • 当たる例:夜間の値札の貼り替え作業に対応できない。カタログや商品パッケージに価格そのものが印字されている。税率が変わる日に、適切な税率での総額表示が間に合わない場合が該当します。
  • 当たらない例:税率が下がった後に、税率1%で表示できない具体的な事情がないのに、値札は随時貼り替えているにもかかわらず、新しく貼った値札にも税率8%の表示を続けているような場合。

特例は、切り替えの時期に間に合わない商品のための猶予です。貼り替えができるのに旧税率の表示を続ける使い方は想定されていません。

誤認防止措置の例

特例を使うには、消費者が商品を選ぶときに価格を誤認しないよう、明瞭に認識できる方法で表示する必要があります。Q&Aには、令和9年4月1日以後に販売する場合の例が2つ載っています。

  • 例1:棚全体の掲示。飲食料品が並ぶ棚全体が税率8%の価格で表示されているとき、棚の近くの目につきやすい場所に「この棚の商品は、税率8%に基づく税込価格で表示しています。レジでは税率1%で精算いたします。」と掲示します。
  • 例2:値札の色分けなど。税率1%の表示の値札に「(1%)」と書く、値札の色を変える、シールを貼るなどして、8%の値札と1%の値札を消費者が区別できるようにします。そのうえで、店内の目につきやすい場所に「税率1%での税込価格が表示されている値札は、赤色の値札となっています。その他の値札では、税率8%での税込価格が表示されている場合がありますが、レジでは税率1%で精算いたします。」のように、区別の方法を明記して掲示します。

例2では、8%の値札のほうを区別できるようにしておく方法でも差し支えないとされています。上の文言は国税庁の例示で、これと同じ文言である必要はありません。

イートインのある小売店で、店内飲食と持ち帰りの価格を表示する場合の考え方は、国税庁の個別事例編(軽減税率制度に関するQ&A)の問121に載っています。税率の線引きそのものは、イートイン・持ち帰り・出前の線引きで整理しています。

引き続き認められない表示

特例があっても、税込価格を示さない表示は認められません。国税庁のQ&Aは、次の2つを例に挙げています。

  • 税抜価格(本体価格)だけを表示する方法
  • 税抜価格に続けて「+税」とだけ表示する方法

特例で選べるのは、あくまで「税率8%による税込価格」か「税率1%による税込価格」のどちらを表示するかです。

計算例:税抜100円の商品の表示

税抜100円の飲食料品で、税込価格を比べます(金額は説明用の例です)。

適用税率税込価格使う場面
1%101円令和9年4月1日以後のレジの精算額
8%108円令和9年4月1日〜5月31日、貼り替えが間に合わない値札の表示

この期間に8%の値札で売る場合は、108円の表示でも、レジでは101円で精算します。掲示がないまま108円の値札だけが並ぶと、消費者が支払額を誤認するおそれがあるため、誤認防止措置が条件になっています。

次に知りたいこと

公式情報

まとめ

  • 飲食料品の消費税率1%は令和9年4月1日から令和11年3月31日までの案で、法案の成立が前提。
  • 総額表示の特例は、令和9年2月〜3月と令和11年4月〜5月は1%、令和9年4月〜5月と令和11年2月〜3月は8%の税込価格で表示してよい、という4つの期間。
  • 使えるのは、値札の貼り替えが間に合わないなど、直ちに対応することが困難な事情があり、誤認防止措置をとっている場合だけ。
  • 誤認防止措置の例は、棚の近くの掲示と、値札の色分けやシールに区別の方法を添えた掲示。レジでは実際の税率で精算する。
  • 税抜価格だけの表示や「+税」とだけの表示は、引き続き認められない。

自店の表示がこの特例に当てはまるか迷う場合は、国税庁のQ&Aを確認し、税務署または税理士に相談してください。

よくある質問

税率が1%になる日までに、値札を全部貼り替えなければなりませんか?
案では、夜間の貼り替えに対応できない、パッケージに価格が印字されているなど、直ちに対応することが困難な事情があり、誤認防止措置をとっている場合に、令和9年4月1日から5月31日までは税率8%の税込価格の表示が認められます(出典:国税庁Q&A 問3-9)。
引下げ前に、先に1%の価格を表示してもよいですか?
令和9年2月1日から3月31日までは、困難な事情があり誤認防止措置をとっている場合に、税率1%の税込価格を表示できる案です。この期間の実際の適用税率は8%なので、レジでの精算額との違いが分かる掲示が必要です(出典:国税庁Q&A 問3-9)。
税抜価格だけの表示にしてもよいですか?
認められません。税抜価格のみの表示や、税抜価格に「+税」とだけ続ける表示は、特例の期間中も引き続き認められないとされています(出典:国税庁Q&A 問3-9)。
値札は随時貼り替えているが、新しい値札も8%のままにしてよいですか?
当たりません。税率1%で表示できない具体的な事情がないのに、貼り替えた値札にも税率8%の表示を続ける場合は、困難な事情があったとは考えられないとされています(出典:国税庁Q&A 問3-9)。
本記事について。税理士監修前の概説です。2026年10月17日時点の国税庁の案内にもとづく一般的な整理で、法案の内容や取扱いは今後変わる可能性があります。個別の取扱いは税務署または税理士にご確認ください。

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